色々な困難を乗り越えて、いざレベル2へ
響は弱いながらに努力を続け、モンスターに立ち向かうものの、ダンジョンの脅威が響に襲いかかる。
そして響のレベルはやっとのことで2に上がるがそれは単なるレベルアップではなかった……
「おーい、響、体調はどうだ?」
そう尋ねてきたのは俺たちを助けてくれた冒険者パーティのうちの1人「トラッシュ ローディウス」だ。
試しにステータスを鑑定で見てみると、
名前ー トラッシュ ローディウス
レベルー 89
HPー 30596
MPー 14687
SPー 26485
スキルー 双剣の使い手
とても同じ人間のものとは思いづらかった。
なんと言ってもこのローディウスがいる冒険者パーティが所属している王家のチームは、現在の国王様のチームでその中でも四天王と呼ばれるパーティらしい。つまり、冒険者の中でトップクラスの実力者という事だ。
「はい、体調はだいぶ良くなりました。」
ローディウスさんの他にも3人パーティメンバーがいる。全員80レベルを超えていて超一流だ。
「いつまでもお世話になるわけにはいかないのでそろそろここを出ていこうと思います。今までありがとうございました。」
もう1週間も滞在しているのでそろそろ出ていき冒険者になったりチームに入ったりしたい。
「おう、そうか!無理だけはすんなよ。何かあったらまた俺らのパーティやアースズトップを頼れ。」
アースズトップというのは国王様のチームの名前だ。
「ありがとうございます。」
そうお礼を言って冬香と一緒に町へ出ていった。
ーー「す、すごい!」
王都トータルアースはどこを見ても圧巻だった。夢にまで見た冒険者の街そのものだ。
「じゃあまず冒険者登録しに行こうか、」
と俺がいうと、
「うん、緊張するなー」
と返ってきた。
「冒険者ギルド」
「ここかな、ローディウスさんが言ってたところ。」
「そうだね、響と一緒なら知らないとこでも安心できる。」
「ははっ、ありがと!じゃあ入ろうか。」
そう言って入ると、そこは酒場と受付があるいかにもギルドという感じの内装だった。
壁にはローディウスたちのパーティ「白の立神」の張り紙がドンっっと張り出されていた。
「パーティレベル10に到達!!」
その内容を見てパーティ自体にもレベルがあるのかと知った
そんなこんなで受付にたどり着いたらとても綺麗な女性が受付をしてくれた。
容姿だけなら冬香と同じくらいだろう。思わずドキッとしてしまった自分を抑えて話しかけた。
「冒険者になりたいのですが、」
「はい、わかりました。チームには入っていますか?」
そう聞かれたので「いいえ、まだです。」と答えた。
「ではこの水晶に手をかざしてください。あなたのステータスがギルドカードに登録されます。」
「はい、分かりました。」
そういって、手をかざすと、
「か、鑑定スキルですか!?」
と聞かれた。
「はい、何かまずいですか?」
と問い返すと、
「いいえ、いや、はい、でも初めて見たもので……基本的にスキルは1つしか持てないので戦闘に向いてないかと思われます。本当に冒険者になられますか?」と聞かれた。
「えっ、スキルって1つしか持てないのですか?」
と慌てて問い返す。鑑定だけじゃ冬香を守っていけない。
そう思ったから。
「過去に一度だけスキルをいくつも持ったと言われる賢者様や勇者様、聖女様がいたとされていますがそれも確かな情報ではありませんし見たこともありません。 もう一度聞きます、冒険者になられますか?」
俺は冬香の方を見た。冬香は優しく微笑んでくれた。
「響なら大丈夫。信じてる。」と言わんばかりに。
それを見て決心した。
「冒険者になります!」
受付の人は少し驚きつつもギルドカードを用意してくれた。
「こちらがギルドカードです。ランクはH〜SSまであり、最初は皆さんHランクです。功績を上げたり、強いモンスターを倒す、またレベルにも関係してランクが上がっていくので頑張ってください。」
「頑張ります。」そう答えた。
確かローディウスさんたちはAランクって言ってたな。
トップクラスの人たちでもまだSに行ってないんだ。
そんなことを考えていると、
「うわぁーー!すごいですよ貴方。レベル1でこのステータスなんて見たことがありません。しかもスキルは火氷魔法の使い手、凄いスキルですよ!これならアースズトップにも入ることができますよ!」、と隣からさっきの受付の人の騒いでいる声が聞こえてきた。
冬香のステータスを見て驚いている。
やっぱりすごいなぁー。でも俺はこの子を守ると決めた。
「私は、響と一緒に他のチームを探します。そして誰よりも強くなります。」
冬香は言った。嬉しかった。
しかし、周りから
「そんなのと一緒にいたら宝の持ち腐れだろー」
「そんな弱っちいのといたら損だぞー」
など批判の声が聞こえてきた。
この空間が苦しい。そう思って下を向いていると、
「何で下を向いてるの。みんなあなたの良さを知らないだけ。私は響の色んな面を見て一緒にいたいと思ってるんだから。これからあなたの良さを広めていけばいいんだよ。」
と冬香が言った。
そうだ、俺がここにきたのは冬香を守るためだ。
それからは批判の声を我慢した。
ーー冒険者になって1週間が過ぎた。
今日も陸のダンジョンの第一層でスライムを狩っている。
今の俺はスライム一体を倒すだけでも相当な体力を使う。
冬香はスライム狩りをしている間にレベル5まで上がっていた。1週間でレベル5に到達するのは相当早いらしい。冬香はこの1週間色々なパーティに誘われ続けて居たが、俺と一緒に行くと、何度も断っていた。
「俺がもっと強ければな……」
何度もそう思った。だから人一倍努力した。
1日のうちの8割以上はダンジョンに潜って戦った。
それでもレベルが上がることはなかった。
倒すモンスターが強ければ強いほど得られる経験値も豊富で
レベル上げもしやすいだろう。
だが俺は鑑定スキルしか持っておらずステータスも圧倒的に低い。
だからスライムしか倒せないんだ……
強くなりたい。
強くなりたい。
ただひたすら強くなりたい。
守らなければならない。
冬香を守らなければならない。
俺はこれからも努力し続ける。
ーーそれから2年が経った。
俺は1日としてダンジョンに潜らなかった日はない。
でも、、、
いまだにレベル1。
スライムしか倒せない。
でも、そんな俺に転機が来た。
「おい、そこの坊主、俺たちと一緒にダンジョンへ潜ろう。」
3人組の冒険者パーティが、なんと、俺を冒険に誘ってきた。
「あ、俺でいいなら。喜んで!」
俺は2年前冬香とある会話をした。
「響、私はずっとあなたと一緒にいるわ。」
「そのことなんだけど、冬香、一回離れ離れにならないか」
「なんで、私と一緒じゃ嫌?」
「違うんだ。俺と一緒にいたら冬香は強くなれない。
そして俺もいつも冬香を頼りっぱなしで強くなれない。だから、3年後、3年後にまた一緒に冒険をしよう。それまでに強くなって見せるから。そしたらずっと、君を守り続けるから。」
そんな会話をした。
だから何がなんでも強くならなければならない。
そのためならなんだって……
この冒険者たちと一緒に行けば少しは強いモンスターと戦えるかもしれない。そう思ったから俺は誘いに乗った。
この人たちのレベルは10〜15。
そこまで強くはない。潜れるとしたら5層までだろう。
「いやぁ、ゴブリン相手なら余裕だぜー」
「なんか事故に遭わなければ結構稼げそうだな」
「てか、あんな雑魚いの連れてきてよかったんですか?」
「荷物持ちに丁度いい。サポーターを買うよりよっぽど安いからな。」
その会話を聞いて少し寂しくなった。俺は荷物持ちで全然戦いに参加させてくれない。
「これじゃあ経験値を得られないじゃないか、」
そんなことを嘆いていた時、
ゴゴゴゴゴ、ゴゴ、ゴーゴーゴ
と地面が割れ出した。
「あ、うわぁぁぁー!」
俺は運悪くその地割れの中に落ちて遥か下の階層へ侵入してしまった。
「ここは、何層だ?」
俺はすかさずダンジョンを鑑定した。
「ー陸のダンジョン、15階層ー。」
俺は絶望した。こんなの生きて帰れるはずが……
「いや、諦めるのはまだ早い。」
そうだ、俺には守らなければいけないものがある。
生きる。生きて帰る。あいつの元へ。冬香の元へ。
俺は立ち上がり上の階層を目指した。
「うぉぉーーー!」
ゴブリンが現れた。
俺は短剣しか使えないためそれ一本に頼るしかなかった。
でも力無さは圧倒的だった。
レベル1の俺が勝てるはずがない。
棍棒で何度も殴られ、身も心もズタズタになっていた。
「もう……ムリ……」
そう思った時だった。
「ファン。レベル2に到達しました。(レベル1の呪い)から解き放たれたため、ステータスが大幅にUPします。そして呪い打破の特典として新たなスキルが追加されました。」
、と頭の中で声がした。
この2年間の努力がやっと形になって現れた。
今まで積み重ねてきたものが俺をレベル2に押し上げてくれた。
絶対生きて帰る。そう心に決めた。
「うぉぉー!」
ザクッという音と同時にゴブリンは倒れた。
ステータスが上がったおかげだ。
「ステータス。」
俺はそう言って自分のステータスを見る。
その瞬間俺は驚きのあまり目を疑った。
名前ー 鳴神 響
レベルー 2
HPー 974
MPー 244
SPー 675
スキルー 鑑定
エフージオ
とてもレベル2のステータスではなかった。
「これ、レベル20くらいのステータスじゃ、それとスキルが追加されてる。基本的に一つしか持たないはずじゃ……」
「エフージオかぁ、どんなスキルだろう。よし、鑑定!」
(エフージオ…… 倒した相手のスキルを自分のものできる。古代に封印され、その存在は誰も知らない。)
どういうことだ?
相手のスキルを……
それに、封印って……
まぁいいか!
とにかく俺は上に登るしかないんだ。
そして俺は様々なモンスターをなんとか倒しながら地上へ帰還することができた。