2話 陰キャ、撃沈
翌日、ワクワクしながら学校に来た俺だったがそういえば俺、このクラス随一のぼっち陰キャだった...
待て!そんな可哀想な目で俺を見るな!読者よ!!
確かに俺には友達もいないし、恋人も居ない。
しかし、一生懸命話しかければきっとクラスメイトも聞いてくれるはずだ。
俺は頑張って、教室の窓側に集まっていた数人のクラスメイト達に声をかけた。
「あ...あ...」
「ギャハハwやばいww死ぬww」
「あ...あ...」
「マジで!?すげーじゃんそれ!この前さー」
頭では何度もシュミレーションした言葉、それがリアルだと全く思うように出てこない。
その後何度も話しかけたが声が小さすぎてクラスメイト達は全く気付いてくれなかった。
昔ならこんな時、学級委員長だった櫻井が俺によく話しかけてくれたのに...
って違う違う!今はそんな昔の話なんてどうでもいいんだ。
今日は調子が悪かっただけ!明日や明後日でもチャンスはあるはずだ。
翌日。
「あ...あ...」
「ギャハハ」
1週間後、
「あ...あ...」
「やばーw」
しかし、毎日調子が悪い俺は話しかけられずに2週間、1ヶ月、2ヶ月...ついには今日で3ヶ月も経ってしまった。
もう今日話しかけられなければ絶対に無理な気がする...
「あ...あ...」
「やばー、マジで?」
「あ、そういえばこの前のニュースの女の子がさあ...」
「あの!!!」
諦めかけていたその時なんの奇跡か、俺は大声を出すことに成功した。
「...」
「あ...なんでもないです...」
しかし、せっかく声が通ったのに陽キャから返ってきたのはは?何お前?みたいな冷たい目付きだけだった。
その無言の圧に俺は萎縮して、絶好のチャンスを逃してしまう。
◇◇◇
「今日も...駄目だった」
あれからあの陽キャ達の目が完全にトラウマになってしまい、俺は心が折れた。
絶望しながら重たい足取りで帰る途中、
ピコン
「ん...スマホ?あ!」
カレンダーを設定しておいた携帯から通知が来る。
友達のいない俺は普段通知などほとんど無いので、その音だけで何の通知なのか分かった。
「あれから...もう1年経ったのか」
今日は1年前に遠くに行った旧友のとある記念日だった。
そうだ...いいこと思い付いた!
もう誰でも良いから話を聞いて欲しかった俺は今から旧友の元にサプライズで会いに行くことに決めた。
今日は金曜日で明日は休みだし、お菓子を持って行って久しぶりに近況を報告しに行こう!
さっそく俺は近所のスーパーに行ってコントリーマアムとフェンタを買ってバスに乗り込み、旧友の元へ突撃するのだった。