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転生なんて出来ない俺  作者: 毬藻 下呂
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俺と居酒屋


東京、一人暮らし、フリーター、27歳、もちろん独身。

友達もいない、もちろん彼女もいない、田舎の親とも疎遠。

転生モノの小説を読み漁り現実逃避をする毎日。


いっそのことここから飛び降りれば勇者にでもなれるんじゃないか、とタバコをふかすバイトの休憩。

あーあ、そろそろ戻らないとな。

室外機の生ぬるい空気が慰めるかのように舐めてくる。うっとうしい。

古いビルのエレベーター、インクの掠れた"4"のボタンを押す。


「もう、遅いですよ、何本吸ってたんですか?」

「・・・いや、いつも通りだよ」

休憩が終わるや否やいつもケチをつけてくる大学生のバイトの女。俺もバイトだけど。

「店長〜ま〜たこの人タバコ臭いんですけど」

「まぁまぁ、お前、そこにあるスプレーしとけよ」

「・・・すいません」


このビルにはいくつもの居酒屋店が入っている。

うちの店もそのひとつ、大学生が多くやってくる安いチェーン居酒屋だ。


--ピンポーン

「7卓さん行ってきま〜す」

あそこの卓は大学生の集団だ。楽しそうで羨ましい。


「お待たせしました〜」

「すみません、ネズミがさっきからここ通るんですけど」

「えっ、すみません、少々お待ちください」


ここ最近ねずみが出るようになった。

以前は退勤時間に1匹見かけるくらいで不自然には思わなかったが、異常なまでにねずみが増えた。

今日はもうすでに6組のお客さんから報告を受けている。


「店長、またネズミです」

「おい〜またかよ、どうしたもんかね〜、お前、ねずみとり倉庫にあるから帰りに増やしておいて」

もうすでにこの店にはいくつものねずみとりが仕掛けられている。

が、1匹も捕まっていない。

「了解っす」


俺は帰りにねずみとりをどこに仕掛けようか、頭の中でぼーっと考えていた。



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