狼人間と少女の物語

遥か昔、人間の娘に恋をした狼がいた。



狼は「人間になりたい」と月の神に願い、神はその願いを聞き入れた。



人間となった狼に娘も恋をした。



2人は夫婦となり子宝にも恵まれた。



しかし産まれた子供たちは普通の人間とは違い、耳や尾、鋭い牙や爪、そしてなにより人間離れした身体能力で恐れられるようになる。



その為一族は、人間の寄り付かない厳しい自然の深い森の中へ移住し、ひっそりと暮らす事にした。



「悪いことをすると狼人間がやってきて食べられてしまうよ」

「夜遅くまで出歩いていると、狼人間に拐われてしまうよ」



時が流れてなお、狼は悪の象徴として子供達に語り継がれている。





そんな狼人間と、1人の少女の物語。