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カルト・オブ・ヴェノム-最強テロリストが裏社会のマフィア共をぶっ潰す!-  作者: 朧塚
ハートレス・アンデッド、児童売春組織『オルガン』のポロック
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第三十四夜 オルガン、ポロックの宣戦布告 2

「携帯がジャミングされてやがる。畜生がっ!」

 メテオラは街の惨状を見て、怒りを露にしていた。


 レスターとムルド、それに残月との連携を取りたい。


原子力利権や大企業の株を操作している組織『ゴースト・カンパニー』のケイトは、この件には関わらないつもりでいるみたいだった。


 突如、何者からか、連絡が入る。


<やあ。メテオラ。御無沙汰しているねえ>

 声を聞いて、メテオラは首を傾げる。

「何の用だあ? 警察署長さんよおー」


<はっきり宣言させて貰う。もし、この戦いで、君が死亡したなら、次期、アルレッキーノのボスの座は、この私でいいかな?>

「好きにしろよ。元々、俺はテメェの上司をブッ殺して、今の地位にいるからな。利権も興味ねぇーよ」

<ありがとう。私は君が生き残る事を願っているよ。何しろ、NO2の方が何かと動きやすいからね>

 そう言って、警察署長は電話を切る。


 ……こいつ、ポロックとグルかあ? そうでないにしても、混乱に乗じて、何かをやらかすつもりかあ?


 メテオラが疑心暗鬼になっている処だった。


「よう。道化師、随分と苦労しているようじゃあねぇか? アタマ使うの苦手って顔しているぜえ!」

 聞き覚えのある声を聞いて、メテオラは振り返る。


 見ると、ヴァシーレが憎々しげに立っていた。


「おい。俺の命を狙ってやがるんじゃあなかったのか?」

「売春斡旋利権のボスの座をくれてやるんだろ? この俺になっ! 俺は有能だし、役に立つぜ」

 ヴァシーレは、生体兵器の爆撃によって、煤けた鉄骨と化したビルの残骸と残骸を跳躍していた。


「メテオラ。ピエロキャラってのは、アタマが切れるってコミックの設定で多いだろ? お前はホント、逆! もっと、クールでドライにイケないのかよ? ええ?」

「まあ。含みのある性格じゃあねーしな。おい、変態両性具有。何しに来た?」

「協力してやるっつーんだよ」

「…………、信用出来ねぇが」


「残月に会ってきたぜ。此処から近い。合流したいんじゃあねえのか?」

 それを言われて、メテオラはヴァシーレと協力しなければならない事を確信した。


「それにしても、だ」

「ああ」

「この街一帯が奴の領域になってやがる。このままだと、メリュジーヌ国民が本気で皆殺しにされかねないぜ」


 瞬間。

 メテオラとヴァシーレの二人の死角から、何かが狙撃されてきた。

 メテオラは攻撃に気付き、自身の能力を発動させる。

 空間がバラバラに砕け散り、二人を狙った“弾丸らしきもの”は辺りへと霧散していった。


「避けられたぜ。それに俺は分身の一体がダメージを受けても死んでも、生き残る事が出来る。余計な御世話だよ」

 その言い草にメテオラは人差し指をヴァシーレの口元に突き立てた。


「おい。テメェ。俺達は今からチームだ。ポロックがどんな手段で攻撃しているか分からない以上、どんな隠し玉を持っているか分からない以上はなあ、慎重に行くべきだろうがよおっ! それにテメェはもうコミッションの一員だ。死ぬ事は許されない」


 どろりっ、と、何かが溶ける音が聞こえる。

 民間人の一人である中年男性に空から射撃された弾丸が命中してみたいだった。

 弾丸は男の肩を貫通した後、男は急激に膨れ上がっていく。

 男の全身から血液が吐き出されるが、どうやらそれは、アメーバ状になっているみたいだった。男の肉体は急速に肥大化していく。別の男が路地裏で倒れていた。男達は肥大化した肉体を震わせながら、メテオラ達の下へと向かっていく。


「おい。見ろよ。ヴァシーレ。なんだ? ありゃ?」

「……撃たれた者を生体兵器に変えちまう弾丸なんじゃあねえのか?」

「お前の分身の死体ってさあ。消せるの? あれに撃たれてよお」

「仮に消せなかった場合、俺の命のストックは無くなる。何より、死体を再利用されるなんてごめんだ」


 二人はその場から跳躍して距離を取る。

 男達二人は融合して、頭が二つある肉塊の化け物へと変わっていく。腕も四つ。足は神話のケンタウロスのような形状になっていた。手には、そこら辺で手に入れた鉄棒などを得物にしている。


「逃げるか? 始末するか?」

 メテオラは訊ねる。

「距離を置いて始末しようぜ。畜生が。ウォーター・ハウスやグリーン・ドレスなら毒殺、焼殺出来るだろうし、ムルドなら閉じ込められる。俺達の苦手なポイントを絶妙に掴んでいる敵なんじゃあねえのかあ? おい?」

 ヴァシーレは悪態を付く。


 メテオラは両手を交差させる。


 道路中に停車していた車やダンプカーなどが、雨あられのように奇形の巨人の下へと落下させる。グチャグチャの肉塊になりながらも、肉体を修復させようとしている。身体から伸びた鉤爪のある触手を伸ばして、近くの女に歩行していた通行人の女を肉体に溶かしながら取り込んでいく。怪物は一段と肥大化していく。


「さて。どうするよ? メテオラ?」

「俺の能力は、肉体をバラバラにしてやっても、あくまでも、別空間にルービック・キューブのように隠しているだけだからな。切断する事も可能だが、あんな風に再生されてはなあ」

「とにかくやっかいだぜ。どうするよ?」

「残月と合流したい。彼女の能力なら、あるいはな…………」



 幻想生物の伝承において、魚が空を泳ぐのはよく見られる事だとされているが……。


 ムルド・ヴァンスとレスターの二人は、しばし驚愕しながら、その光景を眺めていた。


 空飛ぶ巨大なクジラ。

 それが空を泳いでいる。

 明らかに有毒物質と思われるものを吐き散らしながら、クジラが空を泳いでいた。


「最悪ですよ」

「ああ。分かっている」

「メリュジーヌを越えて、MDの他の地域にも被害が拡大化していくでしょうね。食い止めなければ」

「だな。どうした方がいいと思う?」

「決まっているでしょう? 操作者である、司令塔のポロックを早急に見つけ出し始末する。化け物達の処理は後です。追加戦力がどれだけあるのか分からない。なら、ポロックを真っ先に始末した方が確実ですね」

「ああ、全くその通りだな」


 レスターは帯刀している剣の柄を強く握り締めていた。

 任務を果たさなければ、一国が、あるいは複数の国が壊滅するかもしれない……。



 フロルティナと言ったか。


 攻撃の猛攻が激しくなっていく。

 水を吐き出す場所なら、何処にだってある。それこそ、街路の用水路。水やりをする為のホースの蛇口。その水を通して、カッター状になったものがウォーター・ハウスに牙を剥いていく。敵は相変わらず、何処かに潜んでいて分からない。


 とにかく、今はグリーン・ドレス達と合流しなければならない……だが……。

 彼女達がいたであろう待ち合わせの場所は、硝煙の臭いが立ち込め、大量の薬莢が転がりおち、焼夷弾による爆撃が行われた跡だった。

 ドレスの方は大丈夫だろうが……残りの二人は分からない。


 そもそも水か。

 辺り一帯、何処を見てもある。


 こんな敵に足止めされるわけにはいかないが、厄介な敵と認めざるを得ないだろう。


 もし、雨にでも降られたら、どうする? ……非常にやっかいだ。


 ふと。

 ウォーター・ハウスは自身のいる場所が、少しずつ沈んでいる事に気付いた。そう言えば、コンクリートの地面ではなく、土の上に草が生えている場所にいる。


 地面が泥状になり、次第に沼が増え始める。


 彼は慎重に移動する場所を変えてみる。

 明らかにグリーン・ドレスやラトゥーラ達との待ち合わせ場所から遠ざかっている。だが、もはやそんな事を考えている猶予は無いかもしれない。


 ウォーター・ハウスはふと、道路を走って、こちらに向かっている何かに気が付いた。


 放水車だ。


「ふん。小手先の事を」

 彼は地面を蹴り上げて、なるべく距離を取る。

 放水車の水が辺り一面に広がっていく。


 ウォーター・ハウスはとにかく、敵の攻撃を受けない場所を探していた。ぽつり、ぽつり、と雨も降り続けている。

 …………、どんどんグリーン・ドレス達との待ち合わせ場所は遠ざかっていっている。




 グリーン・ドレスはラトゥーラを背負って、空を滑空していた。

 シンディは大量の蝶の絨毯の上に乗って飛んでいる。


「シンプルによお。どうする? あなた達?」

「私だって戦えます!」

 シンディは強く言った。


「いや。三人バラバラに分かれるか。それとも、同時に固まっていた方がいいか」

 グリーン・ドレスはサーチ・アイを機能させて、辺りに張り巡らせた。……そこら辺一帯が敵のテリトリーだ。敵を探すって発想がそもそも無駄なのだ。見えている場所、全てが敵だと思った方がいい。シンディのア・シンも、そんな解釈みたいだった。


「散り散りになって戦おう」

 グリーン・ドレスは空中から、一気に地面へと着地する。


 戦闘機。


 戦闘機が群生となって、此方側にやってきたからだ。

 グリーン・ドレスが指先から火花を散らして、一機、一機を撃ち落とそうとする。既に、炎の弾丸は発射されていた。戦闘機の装甲にブチ当たって、孔が空いていく。だが、燃えながらも、分解して、別の形状のものへと変化していく。何挺ものバルカン砲へと変形していく。


 路上にナパームが撒かれていく。

 明らかにグリーン・ドレスを挑発している。炎のエネルギーとして吸収出来るというのに、敵に塩を送るような真似をするとは思わない。ならば……、ラトゥーラとシンディの二人を先に始末し、ドレスの心を折る事を狙っているのか。


「おい。ラトゥーラ、シンディッ!」


「分かってます!」

 ラトゥーラの声が聞こえた。

「僕達もこの戦いで死ぬ覚悟で挑んでます。ですから、ドレスさんは、とにかく敵を倒す事をっ!」



「ひひっ。女児のケ×のア×はちゃんと器具で拡張しておけよ? 売り物としてその方が変態が喜ぶ。前と後ろ、どっちも使えるようにしたいって、客は多いからねえ」

 ポロックは椅子に座りながら、モニター越しに部下達に訊ねた。


「ああ。そうだ。そうだ。メリュジーヌなんだけど、奴らどうやっている? もう何名かおっ死んでいれば宜しいんだけどねえ?」

 この幼女の姿をした邪悪は、ペチャペチャと棒の付いた大きなキャンディを眺めながら食い入るようにモニターの映像に見入っていた。

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