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カルト・オブ・ヴェノム-最強テロリストが裏社会のマフィア共をぶっ潰す!-  作者: 朧塚
ハートレス・アンデッド、児童売春組織『オルガン』のポロック
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第三十四夜 オルガン、ポロックの宣戦布告 1


「へえぇ。そうかあぁ。メテオラと残月が? へえぇ。そりゃ、良かった」

 邪悪な笑みを称えている童女が、部屋の中央で高価な椅子に座していた。


 ポロックはソファーに深く腰掛けながら、配下達にカメラを回させていた。


 全裸の男と女の子供二人が部屋の中央にいた。

 まだ、七、八歳児といった処だろうか。

 彼らは全身、傷だらけでボロボロだった。

 拷問じみたスナッフ・ポルノによって、顔や身体の一部が欠損しているものまでいる。彼らは他の生き方を知らないし、ポロックやオルガンによって、


 ポロックの配下のマフィア達が、子供二人を性行為させてビデオを回しているのだ。世界中の変態に高く売れる。


「今、野暮用なんだけどさー。ポロも今からそっちに向かう」

 マフィア達はズボンを脱ぎ始める。

 次は、男女共に大の大人達に犯されていく、という事だ。ビデオは回り続けている。

 ポロックは一通り満足げに配下と上玉の子供二人の光景を見た後に、部屋を出ていく。

 今後の戦争に備える為に。



 薬物中毒にされた子供達は、脳がドラッグの味を覚えている為に、それに縋る。虐待的だと言える大人達の拷問じみた強姦行為も、媚薬と称したドラッグをキメられた脳が快楽として覚えている。


 彼らは解放されても、自由にはならない。

 また、夜の街にドラッグを求め、大人達と虐待じみた性交渉を行い続ける。そういう風に壊されて、そういう風に生かされる。


 そして、オルガンはそんなマフィア達の児童売春、児童ポルノを取り仕切っている組織カルテルでもあった。


 

 ××××年、四月後半、某日

 メリュジーヌの××公園付近にして、暴君一味とコミッションの各組織のボスである『ヘルツォーク』のムルド・ヴァンス。『ハイドラ』の残月。『アルレッキーノ』のメテオラ。調停者であるレスター。そして、マイヤーレに代わり、新たに売春斡旋組織のボスを任されたヴァシーレの計九名が集まる事となった。


 それぞれ、ムルド・ヴァンスとレスターがペアでメリュジーヌに到着。

 残月は単独で。


 グリーン・ドレスとラトゥーラ、シンディは公園付近のバス停のベンチで待機。

 暴君は昼ご飯を買い物して帰るとの事だった。呑気なものだ。


 メテオラも単独行動だ。

 ヴァシーレの方も、メリュジーヌに到着するらしいが、ヴァシーの考えはよく分からない本当に来るのだろうか……。メテオラは小さく溜め息を吐く。


 全ては、この美しき国であるメリュジーヌの街を『オルガン』のポロックから守る為の戦いだった。既に、各地で惨状が頻繁に起こっていると聞かされている。


 メテオラは暴君ウォーター・ハウスとスマートフォンで、電話をしていた。

 マフィアの現状を、そして、メリュジーヌの現状をだ。


「今やマフィア組織ってのは、爆弾や戦車だって持っている。軍隊顔負けの武装ってわけだな。だがよおぉー。“この俺”には勝てねぇ。そして、暴君、テメェらにもな。ポロックはどんな武器を有しているか分からねぇが。全力で潰すぜ。ちなみに奴が使う武器ってのは……」

 メテオラが話し始めている途中だった。

 メリュジーヌのあちらこちらで、閃光弾が爆裂し、その後、幾つかの場所が火災に見舞われる。炎の中心部からは、空飛ぶムカデのようなものが空を徘徊していた。ムカデは爆炎を撒き散らしている。


「始まりやがったぜ。畜生が」

 メテオラは携帯のメールを見て、舌打ちする。


<どうしたんだ?>

 ウォーター・ハウスが電話の向こうで訊ねる。

 彼は本当に買い物に向かっているみたいだった。

 やはり、呑気なものだ…………。


「おそらく、オルガンが隠し持っていた生物兵器が、メリュジーヌの街中にバラ撒かれてやがる。此処は戦場になるぜ」

 彼はとてつもなく、忌々しそうに言う。


「じゃあな。暴君よおぉー。また、連絡するぜ。俺は西の辺りに向かう。レスター、ムルド・ヴァンスの二人と合流してくるぜ」

 そう言うと、衣装を脱ぎ捨てて、今やメイクと帽子だけになったピエロは、空中の何も無い空間を走り駆けていった。



 昼ご飯の買い物を終えたウォーター・ハウスは、グリーン・ドレス達の下へと向かう。

 大きな橋があった。

 

 彼は橋の上を歩いていく。


「…………っ!?」

 橋の上が水浸しだった。

 今日は晴れだ。


 メテオラ達は、オルガンが雨や雪などの混乱に乗じて、仕掛けてくると予想していたみたいだが、今日は晴れだ。太陽が照り付けっている。真昼だ。


 今日は、雨は降っていない。


「橋の掃除の為に、水を撒いたってわけじゃあなさそうだな」

 向こう岸に渡る為には、遠回りしなければならない。ウォーター・ハウスは、グリーン・ドレス達に遅れる旨をスマートフォンで連絡しようか迷った。


 気のせいだろうか……。

 河の水が増えているような気がする。


「ふん。やはりな。出てきたらどうだ? この俺を暗殺するつもりではなく、正面から始末する為に現れたんだろう?」

 彼は河の水の底を見据える。


 水草に混ざって、髪の長い女が水の中から顔を出す。


「貴様は何だ?」


 女はブクブク、と、口から泡を吐く。


「私の名はフロルティナ。オルガン戦闘員の一人。ポロック様によって、ウォーター・ハウス、貴様を始末するように言われている」

 そう告げると、女は河の底へと潜っていく。


「何か知らんが…………」

 ウォーター・ハウスは踵を返して、先程の橋の上へと戻る。

 そして、水浸しの橋の上を走っていく。


 大量の水がまるで次々と、剣山のように鋭く尖っていく。ウォーター・ハウスは、自身の脚に多少のダメージを受ける事にも怯まず、橋を渡り切る。


「成る程。液体をこのような形で攻撃する事が出来るんだな」

 周り道はしない方がいい。

 すぐに合流して、可能ならば、グリーン・ドレスの能力によって焙り殺した方が早い敵だろう。もっとも、敵の目論見としては、一人になった彼を襲撃して始末する事を考えているのだろうが。


 近くの排水溝から、無数の水で作られた腕が伸びていく。

 ウォーター・ハウスは、その腕達を避けていく。


 ……何処かに潜んで、遠隔攻撃で此方を始末しようと考えているのだろうが。


 彼はこの敵と戦うのではなく、逃げる事を選択した。

 今は、とにかく仲間達と合流する事を優先させなければならない。……あるいは、既に、他の三名も敵に襲われている可能性さえある。



「畜生。これ、あれだよな。あいつ、戻ってくるの遅いよな? こんな事、前にも何度かあったよな? なあ? おいっ!」

 グリーン・ドレスはベンチに腰掛けながら、ラトゥーラとシンディの二人を見据える。


「以前のメリュジーヌでも港町でも、合いましたよね…………」

 シンディは小さく溜め息を吐く。


「はっ! 慣れたくねぇぜ。畜生がよ」

 グリーン・ドレスは悪態を付く。

 周りは公園だ。


 そして、明らかに人間では無い、何かの気配を感じる。


 木、だった。

 公園の樹木の一本が歪み、木の内部から機関銃が生えてくる。そして、クルクル、とガトリング・ガンは回転して、容赦無く三名を襲う。ドレスは瞬時にその攻撃を見切り、シンディとラトゥーラの二人を掴んで、地面へと叩き付けるようにかがみ込んだ。


「い、い、痛いです、ドレスさん…………っ!」

 ラトゥーラはモロに顔面を地面に打ったみたいだった。


「ハチの巣の穴飽きチーズになるより苦痛は大分、マシだろ。それより、敵の野郎がよおぉ。今度は、TV見てぇえのを公園の木から生やしやがったぜ。しかし、この辺りの公園は家電の実でもなるのか?」

「銃火器の実だって、成ってましたし、ロクなものじゃないです」

 シンディは敵意や悪意を探知する蝶を生み出していく。


「完全に私達、囲まれています。どうします?」

「それよりも、TVだ。何か、映っているぜ?」


 スクリーンの中には、まだ十歳にも満たない少女が映し出されていく。髪型はマッシュルームヘアと言った処か。


<やあやあー。クククッ。あたしの名はポロック。臓器売買組織『オルガン』のボスをしている。あんた、グリーン・ドレスでしょ?>

「そういうテメェは、幼女じゃあねぇな? 一体、本当のトシは幾つなんだよ? ああ? このクソババアがッ! 最近のメイク技術じゃあ、三、四十歳くらい若く見せられるのかよ?」

<ひひひひひっ、ひーひひひひひっ! よくよく気付いたわねっ! まっ、あたしから言わせると、残月なんてのも小便臭い女だよ。さてぇー、あたしはこれから、オルガンで秘密裏に作り上げていた生体兵器を使って、この国を乗っ取るつもりだけど? そして、マフィア達の利権は全部、あたしのモノにするっ!>

「随分な強欲なクソババアじゃあねぇえか。テメェが敵対している相手には、私や暴君だけじゃあなく、仮装大会のメテオラや、カマ野郎のレスターがいる。悔しいが、奴らの実力は私も暴君もお墨付きでねぇ。テメェみてーなジャンキーが適う相手じゃあねぇーんじゃあねーのかあ?」

 まるで、壊れたように幼女は笑い転げる。


<あたしは何年も計画していてね。その点は問題ないよ。逆だよ。ずっと、奴らを観察していた。そして、今日、奴らをまとめて叩き潰せる。糞尿に纏わり付く小蝿程度の分際で、よくも、このポロを散々、下に見てくれていたもんだ。臓器売買や児童ポルノくらいじゃ大して儲からねぇー。あたしは古き良きマフィアを取り戻したくてね。コミッションなんて、仲良しグループなんて早く潰して、力が一番、上の奴一人がピラミッド的に全部、利権ブン取るカルチャーを復古させたいんだ。そして、ピラミッドの頂点は、このポロ様だっ!>

 意気揚々と話を続けるポロックは、どことなく異様なまでの邪悪さを感じた。

 ドレスが見ると、シンディが怖気で震えている。彼女から出される蝶の量が尋常じゃない。悪意、悪意、悪意……。眼の前にいる年齢不明の女は、そこまでに邪悪な何かなのか……。あるいは、周囲は敵ばかりに囲まれているという事か?


<まあいいや、面倒、面倒。取り敢えず、三名共。まずは死ねやっ!>

 公園の木から、民間人を巻き込んで、銃弾や小型爆弾が雨あられとなって三名に降り注いでいく。


 何名かの人間が、肉塊になっていく音が公園中に響き渡っていった。


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