孤独
少女が砂の上を裸足で歩く。
玉のような汗が顔を伝って落ちる。
ギラギラ輝く太陽の直射日光が少女の体力を奪う。
ふらりふらりとおぼつかない歩み。
されどもあなたは歩くことしか知らないように、ただ前へと一歩進める。
少女のちっぽけな歩幅はこの砂の世界では米粒にも満たないのに。
歩いてもこの世界には何もないのに。
やがて限界がきたのか、がくりと糸が切れた操り人形のように彼女が倒れる。
労わるように風が撫でるように吹く。
あなたは嬉しそうに喉を振るわせて音を出す。
「────」
例えドンナニ優れた情報伝達手段でも相手がいなければ意味がないように。
あなたが出した音も意味のない波として空気を振動させて消えていく。
あなたは首をもたげて、歩んできた先を見る。
どこまでも代り映えないこの世界を朧げな意識の中どう見えたのかは少女しか知らない。
ふと、眩しく感じて瞼を開けた。
見たことがない/記憶してない景色。
なのに、どこか私には懐かしいモノだった。
目の前にあるモノの名前も知ってる。
「き」
私は知らず言葉に出していた。
別に私以外いないのならコレの名前なんてどうでもいいはずで。
けれど私は目に付くものすべての名前を言葉する。
『草、枝、葉、空、太陽、雲……』
私はそれが虚しい行為だとわかっていたけれど続けた。
草木は何も返さずただ私を見守るだけ。
やがて、羅列する言葉も消える。
私の言葉は伝わらない。
私の胸の中で渦巻くこの感情も理解されることもない。
結局、分かりきったことは分かっただけ。