第118.5話「越境」
「境界」を越えることには意味がある。
国と国を分かつ一線を越えること。
大晦日から正月への狭間となる時間を越えること。
旧元号から新元号に乗り越えること。
越えたからといって、目に見えるなにかが変わるわけではない。
日常は日常のままで、非日常は非日常のまま、滞りなく進んでいく。
ではなにをもって意味の発生とするか。
それは「歴史」だ。
境界を越えた時、歴史のベクトルは変化を起こす。
その時代を生きる者では、体験することも、気づくこともできないが、100年後には越境が転換期となってしめされる。
だから今日、彼がついにこの街に足を踏み入れたからといって、それは大したことではない。
人々の意識は変わらないし、生きる者は生きて、死ぬ者はそのまま死んでいく。
しかし10年、100年、1000年と時が流れたとき。
彼のこの跨いだ一歩は初めて、歴史的意味を見いだすだろう。
※
(――なんとか無事に入国できたな)
ハーレンス王国の中枢である王都。
ここには王族や四大公爵といった主要貴族の本家があり、最も多くの平民が暮らす。
教育制度も充実しており、かの王立魔法学園もここに門を構える。
5人目の異世界人、真野彰吾は深くかぶったフードの下から周囲を見回す。
ただし自然にだ。
コートを着ることで身体的特徴や武器を隠せているが、やはり黒づくめなのはそれだけ目立つ。
プラスアルファで人の目を引くことは回避しなくてはいけない。
(まずは拠点の確保か……)
ようやくと王都に侵入できたばかり。
行動を起こすにはまだ早い。
性急にならず、一旦体制を整えることを選ぶ。
自分の予想が当たっているのなら【敵】が来るまでにまだ猶予が――
「――――」
拠点を作るため、観光客にまぎれダウンタウンから外れのエリアに向かう最中。
彼は2人の女性を視界に捉えることになる。
グレーっぽい髪の女性と、ブロンドの髪をなびかせた女性だ。
遠目から見ても、顔とプロポーションの素晴らしさが窺えるが、それは驚いた理由にならない。
働いたのは、いわゆるシックスセンスだった。
これまでの辛い日々で培った、防衛能力ともで呼ぼうか。
真野は圧倒的強者に対し、出会った際は一種の警報器のようなものが脳に鳴るよう最適化されていた。
「……っ」
だが相手には気づかれていない。
すぐさま視線を切り、彼女らと逆の方向に歩き出す。
戦ったところで勝ち目は1つもない。絶対にない。そういう確信があった。
「……あんなの聞いてないぞ」
自分が警戒して来た敵は――もっと別のものだ。
ではあの2人の女性はイレギュラー?
目的はなんだ? その正体は? 武器は? 能力は?
考えたところで答えはでるはずもないけれど。
しかし不確定要素の出現、これで計画に1つの綻びが生じたのは確かだった。
彼は戦争を回避させるためにここに来た。
だが要素A、要素Bのほかに要素Xが現れてしまう。
王都はまもなく――滅びるかもしれない。
「――鍵となるのは、やはりハーレンス魔法学園文化祭、か」
どうも、東雲です。
遅れてすいません。
春休みという時期に入ったものの、なぜか休めている気がしない……。
休みの期間でいえば確かに、大学時代が一番長いのかもしれませんが。
思い返せば中学生の時の夏休み(冬休み)が一番充実していたかもしれません。
期間が短いだけあって、なんとかギリギリ一杯まで時間を使ってやろうと躍起になっていた記憶があります。
といっても宿題は最終日にまとめてやりますし、当時の部活はあっても午前中には終わったので。
友達がさして多くないこともあり、ほとんど本屋にいました(たまにブックオフ)。
そして7~8時間ラノベを立ち読みしているわけです。これが誇張なしのリアルな話でして……注意の1つもせず、立ち読みを許してくれた書店員さんには感謝をするばかりです。
あそこで怒られ読むのを止めてしまっていたら、ボクはラノベを書こうなんて思わなかったでしょう。
既に地元から離れ、その本屋に行くことはめっきりなくなりました。
ラノベを語り合った数少ない友人たちも、サブカルチャーを卒業し今では立派な社会人に。
時が経つごとに、身近にあった物事が遠ざかっていくような感覚があります。
いつまでそんな事やってるんだと言われることも多いけれど、いつまでもやり続けたい今日この頃です。





