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08

私は、早く兄の元へ帰ろうとした。

だが。

ふと、私は思う。

闇の精霊王と契約したはいいが、兄の許可なくやってしまった、と。


『そういえば、汝の名は何という?』

『名、ですか』

闇の精霊王は少し考えるような素振りをした。

『忘れました。というより、最初からなかったような気がします。私は長らくほかの者との接触を断っていましたので』

『そうか。だが名がないと不便だ』

『では、主がつけてはくださいませんか?』

『・・・適当なのでいいか?』

『できればかっこいいのを』

(そこは何でもいいって言ってほしい)

『じゃあ・・・『クロ』とかそどうだ?』

『・・・』

(いやそう・・・わかったよ、ほんとめんどくさい。でも名前とかどうやってつければいいのかわからない)

『・・・』

(そういえば、この人・・・アレに似てるなあ。あの黒いツヤツヤした髪とか)

『決めたぞ。『黒曜』はどうだろうか?』

『黒曜、ですか』

『いやか?』

『いえ。この世界では珍しいのではないかと』

(そういえばそうだな。でもこれ以外思いつかないぞ?)

『ですが、クロと比べれば最高ですね』

(どんだけ嫌だったんだよ・・・)

『じゃあ、黒曜でいいな?』

『はい。私は今日から黒曜です。末永く宜しくお願い致します』

そういうと背中が熱くなったような気がした。

『名を主から頂いたことにより、契約がより強まったのでございます。しばらく焼けつくような痛みが続きますがご容赦を』

『別に痛くはない』

そう言うと、一瞬黒曜は驚いたような顔をした。

だが、すぐに驚いたような顔は消え質問してきた。

『主はなぜこの名前を私に?』と。

私は答える。

『似ていたからだ』と。

『誰にですか?』と、また黒曜は聞いてきた。

だから今度は私が、

『なぜそんなに気になるんだ?』

と尋ねたところ、

『主がこの名を呼んだ時、優しい顔をしておりましたので。なにか思い入れでもあるのではないか、と』

(優しい顔?していただろうか、そんな顔?)

『まあ、ある奴の名ではあるが』

『ある奴ですか?・・・男、でしょうか』

『ああ、まあそうだな』

そう答えた瞬間、少し、黒曜の顔が歪んで見えた気がする・・・まあ気のせいだろう。そう思い、続きを話す。

『正確にはだが』

黒曜が次の瞬間間抜けな顔をした。

目が点になっていた。埴輪にそっくりだ。

『雄・・・ですか』

『ああ、汝は道端で倒れているところを助けたところ仲良くなったが数日後動物園に引き取られていったゴリラによく似ている(髪が)そいつの名が黒曜と言った』

何かがガシャーンと音をたてたような気がしたが、気のせいだろう。




その1時間後、屋敷に戻ろうとまた上空へあがろうとした時、黒曜が私の国の言葉を喋れるかが気になった。

『そういえば、黒曜』

『・・・・はい』

少し遅れて返事が返ってきた。何かショックなできごとでもあったのだろうか。少しやつれている気がしないでもない。

『人類の言葉は使えるか?』

「はい。この言葉でしたら、使うことが可能です」

黒曜が発した言葉は、私の国の言葉だった。

「では、そちらを使うように」

私も元の言葉と口調に戻す。

精霊語の方が少し乱暴なというより、偉そうな口調になってしまうので、違和感があり、つらい。

できればそんなに使いたくはない言葉だ。

「わかりました」

そう言って、黒曜は私の前に膝をつき

「我が主に永遠の忠誠を。いついかなる時も私は主の盾となり矛となりましょう。主の命令には決して逆らわず、主のためだけに働くことを誓います」

最後に今までで一番美しい顔で。

「ご命令を。我が主」

と言われた。




タッタラー闇の精霊王が僕になった♪

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