01
あぁ。
死にたい。
私は、何で生きている?
別に生まれたくて生まれたわけじゃない。
『天才少女』
そう呼ばれるたびに、過去がよみがえる。
過去。
気味悪がって近づくこともしなかったくせに。
両親も。
他の誰も。
私に近づくことはしなかった。
だが、今。
あいつらは、醜くゆがんだ顔で私に愛想をふりまいている。
『天才少女』と呼ばれ始めてから。
まわりの態度は一転した。
私は、もう嫌になった。
そう思っていたら。
私の願いは、唐突にかなえられた。
神の『暇つぶし』という形で。
あっけなく。
私の人生は幕を閉じた。
「すまなかったのぉ・・・その・・・・殺してしまって・・・・・」
「別に構わない。死にたかったのだから。感謝してるくらいだ」
「そう・・・かの・・・それはそれで悲しいの・・・」
「あぁ。じゃぁ、その残り少ない髪を私にくれ。はじっこだけ残すんじゃなくて全部そっちゃえばいい。なんか気になるから」
「・・・・・・・あ・・・・・えぇ・・・・・それは・・・・いやじゃ・・・・」
「なぜ?」
「・・・・・いや。なんでお前は神の髪をそりたいんじゃ・・・・?よくわからないのぉ・・・・」
「・・・・・・何故と聞かれると困るが・・・・しいて言うなら・・・・そりたいから?」
「・・・・・・理由になっておらぬし、最後疑問形で同意を求められても・・・わしは残り少ない髪を大事にしたいからのぉ・・・・」
「・・・・・・・・・・・そうか・・・・」
「お主、他になんか要望はないのか?・・・・その・・・・暇でつい、手助けのつもりでやったら・・・うっかりころしてしもうて・・・・すまなかったのぉ・・・だがわざとじゃないんじゃよ・・・・ほんとに・・・偶然なんじゃ・・・・・(テヘペロ)」
「・・・・・・・・・うぅ・・・・おえー・・・・トイレはどこにある?ちょっと吐いてくる・・・・」
「・・・・・・・・・失礼な奴じゃの・・・・今若い子の流行りじゃろうが・・・」
「・・・・・若い子の流行りをはげじじぃがやってみろ。キモイの一言で終わる・・・・おえ」
「・・・・・・・・・・・まだはげてはおらぬ・・・・」
「・・・・・・・・・(じゃぁもうすぐはげるのか・・・・)」
「・・・・・まぁ、よい。お主。現世で叶えられなかった夢とかはないのか?来世ではそれを叶えられるようにすることもできるぞ?」
「願いなら叶った。お前が殺してくれたおかげでな・・・私の願いは『死にたい』だから」
「・・・・・・・・・・そうか。じゃぁほしいものはないのか?何でもしてやるぞ?」
「・・・・・・・・・愛が欲しい。前世では何かわからなかったから・・・・」
「・・・・・転生すればそれも可能じゃろう・・・・よし。お主にはもう一度、命をやろう。『永遠』のな」
「・・・・・命・・・・?」
「そうじゃ。本来、死んだ命は、何億年とかけないと、もう一度生まれることはできないのじゃ」
「・・・・そうなのか・・・・転生させてくれるなら、今までいた世界はやめて欲しい。あそこは嫌だ。異世界かなんかはあるか?」
「あるぞい。そこに送り込めばいいのか?」
「ああ。そうしてもらえると嬉しい」
「おやすいごようじゃ。・・・・お主には詫びもこめて、永遠の命ともう2つ『千里眼』と『たくさんの種類の魔力』をやろう」
「・・・・・・なに?それ?・・・・私は普通に、普通の人間に生まれて普通に家族の愛を知りたいんだが・・・・?」
「まぁ、遠慮するな。大サービスで、記憶もそのまま、家もお金持ちで位の高い家にしてやろう」
「だから、普通の・・・え・・・?」
その時。
額が熱くなった。
「なんだ、これ?」
「千里眼じゃよ。もう一つのお主の目じゃ。これは隠すことが可能じゃから安心せい。」
「・・・・だからそんなのいらな
「最後に。・・・・お主、神を信じるか?」
「なんだ、急に」
私の言葉をさえぎって。
そう、聞いてきた。
真剣な目で。
「いいから、答えるのじゃ」
答えは、
「いいや。信じない」
否だ。
「・・・・くくく。何故じゃ?神を信じないのなら何を信じる?」
笑いながら私に問う。
「なにも。何も信じない」
私はそれに答える。
「そうか・・・・おましろいのぉ・・・ありがとう」
最後の言葉を私は理解できなかった。
『ありがとう』
意味はわかるが、なぜそこでそう言ったのか。
謎である。
そうして、私は闇にのまれていった。