9 (ポンテの嫁)
「あの人の気配が、確かに感じられたのだけれども」
「お母様、気のせいですわ!!」
「貴女は、あの人の魔力の気配って、分からないのですの?」
「私はまだ小さいうちに、父上『ポンテ・ヒラト』様に会えなくなりましたから、父上の気配が分からないままでも、仕方ないですわ!!」
「でもいつも思うのだけれど、チキュウのニホンって場所から転生した貴女が、何故かあの人の転生と入れ替わりに来たのですの!? 5年も経過した後だったのに…」
「私が転生する前に、向こうに居た天使に聞いたら、地球の時間の流れとこちらの時間の流れは、何だか違っているらしいのですの。 一年の長さも438日で、地球とは違っていますし、1日の長さもだいたい20時間くらいみたいですから、色々と転生の時には、違って来るみたいですよ」
「そんなものらしいのかな」
「そんなもの、みたいですよ」
そう言って、彼女らは笑い出した。
「あの人が亡くなった後、あの人の遺体から漏れて来た魔力の痕跡に当てられて、貴女が意識不明になったのには驚かされたわ。 その後、貴女が意識を取り戻して、異世界の話をし始めた時には、本当に驚いたわ!!」
「異世界なんて、信じられないですよね」
「信じられる訳無いじゃない。 この世界の事ですら、全然分かって無いのですから」
あの娘マリアとその娘エヴァは、話に夢中になって、僕があわてて気配を消す魔術を使った事には、気付いていない様子だった。
まだあの二人には、「ポンテ・ヒラト」だった、って気付かれたく無いもんなぁ。
その後、
「お邪魔したわね!!」
と言って、あの娘マリアは部屋から出て行った。
もう妙齢の女性なのだが…
まだ美人だなぁ。
娘と姉妹みたいに見えるし。
そんな事があった日から、数ヶ月が経過した…
1年の長さを、438日に修正(7/18)しました。
ここで1年の日数を出していた事を忘れていました。
すみませんm(__)m