6 (回想シーン続き)
前に消した内容から、どんどん膨らんでいる状態です。
これで良いのだろうか…
ちなみに、村長は魔術師養成学校に僕を推薦入学させた功績を認められて、領主様から「子爵」の爵位をもらえたらしい。
それでなくても、水のおかげで収穫が他の村よりも倍以上に増えて、領主様は他の村の税も併せて減らして、住民からはもの凄く信頼される事になった。
よっぽど嬉しかったのだろうなぁ、領主様。
前後をあまり考えない性格だから…
魔術師養成学校では、体力が無くて悔しい思いをした以外は、特に問題無く14歳で卒業した。
最後の5年間くらいは、教える事が無いからって、魔術の実践の先生をやらされていたし…
卒業した理由は、領主様から呼ばれたからだ。
どうやら、隣の小国の領主が、戦争の準備を進めているらしく、魔術師として仕える様に、との手紙が来た。
領主様からは、魔術師養成学校の費用を全額出してもらっていたから、この話を嫌だとは言えなかった。
学校からは、物凄い引き留めがあったが…
領主様のお抱え魔術師になってからは、戦争に次ぐ戦争だった。
最初の戦争では、僕がオリジナルで作った、殺傷力の無い電撃魔法「ショック」で、相手方の戦力を一気に無力化させて、死者をほとんど出さない(普段あまり鍛えていなかった貴族のボンボンや老齢の魔術師、それに戦争を吹っ掛けて来たバカでぶ領主などは、それだけで心臓が止まって死んでしまったが)、平和的な解決方法で兵士や文官らを捕虜に出来た。
結局併合した戦争を吹っ掛けて来た領主の領地の住民からは、占領されたにもかかわらず、自分たちの息子や旦那らが殺される事無く帰って来て、しかもこれまでの重税からも解放されると知って、物凄く喜ばれた。
だが、その領地の周囲の領主からは、一年ごとくらいに戦争を吹っ掛けられる事になった。
どうやら、相手方をほとんど殺さない事が、弱腰に思えたらしい。 また、税が少なく済んで、しかも職業軍人だけで、徴兵もせずに軍隊を編成している事も、周囲に舐められる原因だったろう。
結局、毎年戦争をしている状態だった。
それから年月が過ぎ、僕は40歳になった。
元々所属していた国と同じくらいまでに領土を広げた領主様は、ある日僕にこんな話をし始めた。
「本当にお前には、感謝以外の言葉も無い。 これまで、俺のわがままに付いて来てくれて、本当にありがたかった。 戦争に次ぐ戦争で、こうしてゆっくり酒を飲み交わす事すら、ほとんど無かった。 これからは、こうしてゆっくり出来る様になるはずだろう」
「実は昨日、王様から手紙が届いて、俺の独立が認められた。 王家の末席の辺境伯でしか無かった俺が、こうして新しい王家を作る事が認められたのも、お前の魔術師としての力が、飛び抜けて凄かったからだ」
「そこで、新しい国でお前に宮廷魔導師長をやってもらいたい。 魔術師ではなく魔導師なのは、新しい国の魔術師養成学校の校長兼教授もやって欲しいからだ」
確か、魔導師って名称は、魔術師養成学校の教師しか名乗れなかったなぁ。
分かりました、良いですよ。
「良かった。 お前に断られたら、他に当てが無いから、魔術師養成学校は作れなかっただろう」
「どうだ、この機会にお前もいい加減、嫁さんをもらったらどうだ」
って、あんたが言うか?
26歳の頃、面倒を見ていた美少女魔術師を、横からかっさらって行ったあんたが!!
彼女は、確実に僕に気があったから、そろそろ贈り物でも送って、婚約に持ち込もうと思っていたのに。
イケメンの領主様から告白されて、嫌だと言い切れる女の子が、一体何人居ると思っているのだか…
只でさえ行き遅れだった僕は、それから結婚を考えなくなってしまった。
求婚された事もあったが、彼女以上の女性はいるはず無かった。
唯一、ゴンド大陸一の美少女と言われる彼女の娘、あの娘を除いては…
「お前の才能を、次の世代に引き継げられないなんて考えられない。 どうだ、ウチの娘とかは」
って、ちょっと待て。
あんたの娘は、あの娘じゃないかぁ~!!