レッツ、美人エルフ先生の個人授業!地理&歴史編
「ふぁ、ぁ〜」
あれから俺はガイに与えられた部屋でぐっすり眠りについたのだった。
ベッドはすごく柔らかく体が沈む。それがまた心地よく寝心地抜群だった。なのですぐに眠ることができた。普通、見ず知らずのしかも異世界に飛ばされてこんな魔物というかラスボスが間近にいて寝られるはずなんてないのにぐっすり眠ってしまった。それぐらい疲れてたのだろうか。
なんだか布団の中がぬくぬくしていたので剥いで見てみるとお腹のところにフジサンが眠っていた。それにいつもと違って冷やくない。むしろ暖かくていい感じに温い。例えるなら冬場にベッドにこもってる時ほど。スライムって変温動物の種類に入るのかな?
俺はこりゃまたぐっすりなフジサンを抱き上げる。まだ起きる気配はなく身動き一つしない。しかしその体温は人肌と同じくらいに温い。俺はフジサンを今度は抱きしめるようにして寝る。すると、ぐにーんとちょっと伸びて抱きやすい形になる。
(これはすごいなぁ〜)
まだ微睡んでいたためさして驚くこともなくそのまま眠りに落ち…。
「あら、お寝坊な魔王さんですね」
どこからともなく心地いい声が聞こてくる。扉を開ける音はしなかったしおそらく幻聴だろう。そう決めつけて俺は二度寝をするのだった。
「あら、またお眠りになるのですか?」
そんな声に俺は瞼を閉じたまま、寝ぼけてコクリと頷くのだった。
「あらあら、それは困ります。せっかく頑張って用意したのにこれでは…。あ、では」
夢現に聞いてるとまた眠気が効いてきた。どんどん誰かの声が遠のいていく。
「………なら、…す……ますよ?よろしいので……?」
そんな途切れ途切れに聞こえてくる声に俺は無意識に首を縦に降っていた。
「ふふ、なら……しちゃいます。いまさら……しても……」
ダメだ、もう意識が。と、既に八割手放していた意識がふとした感触に覚醒する。何か柔らかい感触がほっぺたから感じる。何事かと思って重たい瞼を開けるとそこには…。
「!?&¥@/:」
目の前にはフレイヤの顔があった。というか近すぎてその綺麗なまつ毛と閉じられた瞼しか見えない。
え?え?俺今何されてんの?てゆいうかこの感触ってまさか…。
「あら、私としたことがはずしてしまいました。次はちゃんとしますので動かないでくださいね」
「!?ちょっ!ちょっとまった!!」
「はい?」
そこには俺に馬乗りになって座っているフレイヤがいた。若干スカートがいい感じにめくれてて…見えるようで見えなかった。というか、いきなり朝から刺激的な光景で頭の回転が追いつかない。
「な、何しようとしてたの?」
「なにとは、なんですか?」
はて?と疑問に顔をかしげるフレイヤ。いやいやまてまて、確かにドアをノックする音も開ける音も聞こえなかったはずだ。いくら微睡んでいたからって意識はハッキリしてるのだ。なのになんでこんな状況になってるの?
「さ、さささっきほ、ほっぺに…」
「ちゅーのことですか?」
「そうそれ!」
年齢=童貞な俺がこんなハプニングを収拾できるはずが無い。どころか、目の前のふ、フレイヤのパンツが見えそうで見えないちょっともどかしい。いやそうじゃない!お年頃の俺としてはちょっと危ないんじゃないかな!?
「先程、カイ様は起きないのでしたら私がちゅーして起こしますと申しましたら頷いたじゃないですか」
「ん?ん!?」
「その後はこうも言いました。今更反抗してもダメですからねーと」
え!?え!?頷いたっけ?そこだけ意識ないんだけど!
「ですので、今度はじっとしていてくださいね」
そう言ってフレイヤはその綺麗な顔をどんどん近づけてくる。馬乗りにされてるせいで逃げることが出来ず抵抗さえもできない。フジサンはまだ寝てるのか助けてくれそうにない。このままじゃ初キッスがフレイヤに!
いやまて!それは普通にいいのではないだろうか?だってこんな美人にキスされるなんてそうそう無いことだぞ?
いやいや!その後を考えるんだ!仮にもフレイヤはガイの側近。それほどまでに親しい関係。両者とも思いあってる。=側近とはそういう関係でもあるはず。
結論、今ここでキスされると俺の命はない!
「〜!」
俺はとりあえずジタバタすることにした。
「あら、どうやらタイムリミットみたいですね」
そう言ってフレイヤは近づけていた顔を戻す。タイムリミット?と何事かと思い周りわ見渡すとあまりの驚きにベッドから転げ落ちた。ラストがその恐ろしく鋭い龍眼を窓の枠いっぱいに寄せていたからだ。まじでジュラシッ〇・ワールドかよってぐらいめっちゃビビった。
しかも、なにか怒ってるのか鼻息が荒くフレイヤを睨みつけてる。昨日から思ったけどこの二人は相性が悪そうだなー。
俺はあれから起き上がりにラストの元へ行く。
「おぉーよしよし」
「グルゥ」
さっきの殺意ありありな雰囲気とは一転、今は俺に甘えるようにその顔を擦り付けてくる。鱗がとても固くちょっと痛いが。それでも喉の部分は多少は柔らかいし、撫でられると気持ちいいのかラストは鳴いてくれる。うーん、これでさっきのことをちゃらにしてくれるといいんだけど。
「きゅー!」
そんなラストを撫でていると、頭上から聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。その鳴き声の方へ視線を向けるとそこにはフジサンがラストの頭に乗っていた。そのまま俺と視線があったのを確認して飛び降りてきた。そんなフジサンを優しく俺はキャッチする。ひんやりしてプニプニで気持ちがいい。いまや、まだ三日ぐらいしか経ってないこの世界での一日一回はやらなくちゃいけないことリストにフジサンをプニるが乗っちゃってるんだよなー。俺はやわやわなフジサンをプニプニして頭に乗せる。そして気づいた。ラストが嫉妬してない。というか、さっき忽然とフジサンが姿を消したけどラストと一緒にいたのだろうか?さっきラストの頭の上にいたし。
「グルゥ?」
ラストの性格からしてちょっと嫉妬しやすそうな子だと思ってたんだけどフジサンは別なのかなー?とラストを見てたら首を傾げられた。
どうやらフジサンは大丈夫らしい。
うーん、どういう基準なんだろうか?
「はい、それじゃあ今からこの世界、レムリアについてのお勉強をします」
「はい先生、質問いいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「その格好は?」
今俺は、特別に備えられた部屋でフレイヤと二人でいた。その部屋には黒板らしきものがある。俺の座ってる場所は俺達の世界にもあった学習机があり、俺はそれに備えられた椅子に座っている。
そう、授業である。まさしく、部屋自体は狭いとはいえ個人レッスンとしては十分の広さがある教室だ。まるで塾のワンツーマンみたいだ。それはいいんだ。昨日フレイヤがこの世界について教えてくれると約束してくれたから。わかるんだ。でもな、なんでそんな美人教師のお決まりな格好してるんだろうか?
「これですか?これは人間界での教える立場の人が着る正装だそうです。私も長くこの世界を生きていますがこんな服を着るのは初めてです」
「そ、そうなのね」
なんだろう、すごいこの世界に親近感湧いてきた。
しかも、フレイヤは超絶な美人エルフだから正直いうとやばい。なぜかって言うとあの美人教師の服は体のラインが強調されるタイプだ。それ故に巨乳とも言えるフレイヤのお胸がおっかなびっくりものすごくわかる。しかも、スカートもものすごく短くしていて…。
なんというか、セクシーだ。
「何か問題でもありましたか?」
「いいえ、ありません」
眼福です。
「ですので、このレムリアには大まかな種族と大陸。そして次元が構築されて成り立っています」
「一つ疑問に思ったんだけどいい?」
「はい、なんでもお聞きになってください。私の知ってることなら教えいたしますので」
「なんで机の上に乗ってるの?」
「人間族の授業とやらはこうするのが一番効果的だとお聞きしましたので」
うーん、実は俺は異世界には飛ばされてないんじゃないだろうか?どう考えても俺がいた世界と同じ思考をしてるようにおもえるのだけど。
フレイヤは俺の勉強机に座ってまるで色っぽく教えてくれるのだ。それはもう、勉強に集中出来ないほどに。
「えーと…」
「それともカイ様はこれではご不満でしたか?」
「いやいや!別にそういうわけじゃないんだけど!」
「ならよかったです」
そんなフレイヤの笑顔に俺はもうそれ以上何も言えなくなった。
「まず一つ、人間族には二種類の人種がいるとこちらは把握しています。その一つが王国派の人間、もう一つが帝国派の人間。そしてこれは例外なのですがそのどちらにもつかない海国派の人間がいます」
「それってどう違うの?」
フレイヤは俺のそんな素朴な疑問に首を捻らせる。
「うーん、詳しくは私にも分からないのですがガイ様が言うには帝国派の人間には近寄るな、海国派の人間には姿を隠せ、王国派の人間は安心して良いと言っておりました」
なるほど、もし言葉通りの意味なら帝国派の人間はおそらく野蛮なのだろう。
いつもラノベなど出てくる帝国っていうのは悪側の人間だったからな。この世界もそれに乗じてるのだろう。
王国派の人間はそのまま、穏健なのだろうか。少なくとも帝国派とは違って秩序は取れてるだろう。そして、最後の海国派だけどこれはよく分からない。関わるな、ではなく身を隠せとはどういうことだろうか?
「その海国派って言うのはどういうところなの?」
「端的に言いますと海好きですね」
「海好き?」
「はい、帝国派や王国派の掲げる権力とやらに全くもって興味がなく船でひたすらに海をさまよってるような人間族です」
海国派ってそのままなの?ていうか、この世界についての人間がどんな存在なのかよくわからん。
「ですがまぁ、そんなことばかりしてるせいかはよくわかりませんが海国派が持つ力はどちらともの国と均衡しているため、言わば中立国として成立してるみたいですね」
なるほど、それでわかった。ようは武力系統の帝国派と穏健で秩序が遵守されてるであろう王国派。そのどちらにつくこともなくまた全くの興味が無い海国派。
いつの時代もどの世界の人間がやることは一緒なのだろう。おかげではっきりとわかった。ただ、実際にみてみないことにはなんともいえない。
「えとさ、魔人族にもそういう派閥ってあったりするの?」
「もちろんです」
まじかー。最初のジョブで俺は勇者とかそこら辺の王道なものを選んでたら戦う羽目になってたのかもしれないな。その数しれない魔人族達と。なんだかいまさらジョブが魔王で良かったと思うよ。
「ですがまぁ、醜い人間のように互いに争うことなどないのでご安心ください」
フレイヤの唐突に放った醜い人間という言葉にドキリとする。今は一応ジョブは魔王と言えど、心は人間だ。その自覚もあるからこそ少し臆してしまう。
「それはそうと、カイ様はなんだか魔王様というより人間族に似てますね?」
ギクッ!と思わず声が出そうになるところを必死に抑える。俺が今ここに居られるのは魔王だと認められているからだ。それがまさかの人間だとバレたらどうなるか。この世界は俺が知ってるラノベ展開とはちょっと違うが、それでもあらかじめの設定だったりと通る道筋はまんまそのままなのだ。つまり、魔人族が人間族と戦っていることも。もしのその王道な展開がだったとする場合、それ即ち死。というか、人間の魔王とかいないのだろうか?ガイは見た目は俺とおんなじすぎるくらいだけど、目も耳も髪も紅いこと以外を除いては人間と何ら変わりない姿をしている。そこら辺どうなのだろう?
「ふふ、少し驚かせてしまいましたね。ごめんなさい」
俺のあまりの慌てっぷりにフレイヤがクスクスと笑って謝る。
「カイ様とガイ様はまるで瓜二つのように似てらっしゃいます。それに、人間族と特徴が全く同じなのです。それはもう寸分違わずに」
「ほ、ほかの魔王も俺たちみたいな感じなのかな?」
「いえ、人の姿をした魔王様はガイ様とカイ様を除いてはこの世界には現存しません」
えぇーーー!!?
「ですので、カイ様を初めてお目にかかった時は心臓が止まるぐらいにびっくり致しました」
「そ、そうなのか」
まてまてまて!じゃあ俺は他の魔王の封印を解いてたら今のガイみたいに会話すらままならない気がする。俺はなんだか今までのことを振り返って運が良かったのだろうかと見返すのだった。
「ふふ、ですがまあこの世界、いつ何が起こるのか生きてみないと分からないものですね」
「あ、ちなみにフレイヤは何歳なの?」
あまりにもちょっとした現実から逃げたくて話をそらす。しかし聞いた質問が悪かった。
「まぁまぁ、女の人に歳を聞くのはどの種族を通してもタブーですよ」
「あ!えっとごめん!」
どこの世界でもに付け替えておいてくださいフレイヤ先生。
「ですが、カイ様至っての質問です。特別にお答えしてあげましょう」
そう言ってフレイヤがどんどん顔を近づけてくる。そのまま耳の近くまで来て息を優しく吹きかけられた。
「ふぅー」
「ひぁ!?」
「ふふ、可愛い反応しますねカイ様は。ちなみに私の年齢は…。そうですね、ざっと換算して千七百歳ぐらいでしょうか」
「せっ…!」
ゲームでもラノベでもエルフは長寿というお決まりな設定があるが千七百って流石に長くないか?お決まりな場合だと大体が五百歳程度が限界だったはず。
「あ、私はガイ様の御加護の元で暮らしていますので他のエルフより断然長生きです。ですのでそこら辺は勘違いなさらないでくださいね?」
よ、よかったぁー。エルフってみんなそんな長寿なのかとビビっていたがどうやらそうじゃないらしい。恐らく、フレイヤにはガイの影響による何かを受けているため長く生きているのだろう。
「ちなみにですが、普通のエルフ族ですと長くても三百歳が限度です。それでも神の御加護なければそこまで生きられませんが」
「神の御加護?」
「はい、エルフには代々仕える神が居られます。その神のご加護により私たちエルフは森人としての力を授かり各森の門番をしているのです。もっとも、私はそんな森人としての使命を裏切り、神の御加護から離れた身ですので関係の無いことなのですが」
「…」
どうしよう、俺はなんと答えればいいのだろうか悩む。それはまぁ、ガイのもとにいるから何かあったんだろうかとか勝手な憶測は色々としてたけど、なんだか意味深っぽいな。今のフレイヤの言い方だと。そもそも気になるのがどうしてフレイヤのパラメーターはそんなにもチートなのかとか気になってた。基本的にはINT、つまり魔力以外はとくと言って目立ったものは無い。しかし、その魔力自体がもはやおかしい。俺のやってきたゲームの知識じゃリジェネという効果は基本即死無効、または常時回復の能力のはず。もしかしてそんなに強い力を持ってるから異端としてエルフから追い出された?それともほかの何かが…。ダメだ、考え出すとキリがないや。
「さて、それでは授業の続きをいたしましょう」
「あ、あぁ、うん」
「この世界については大まかに説明いたしましたが。カイ様からなにか聞きたいことなどございますか?」
「え、うーんと…」
さっきの考えが纏まらないままフレイヤにそう聞かれて少し切り替える。
まずはこの世界とまで言わず、この大陸の現状だけでも知っておこう。もし俺が何かしらにここから追い出されて…あるいは出ることになった時、困らないように何があってどんな種族がいるのか知っておきたい。
「えっと、じゃあまずこの魔界から教え致します」
「頼む」
はい、とニッコリと笑顔で答えてくれるちょっといやらしい美人エルフ教師。
「魔界は主に、固有種と呼ばれるそれぞれ強力な力を持った魔族が数多く住む場所です。例えばエリザのような吸血姫ですと、弱点はあるもののそれは地上界や天界といった光の加護を受けてる場所だけになります。魔界だけに限るとエリザはユーフィズの魔界ではトップクラスの魔族になります」
エリザはああ見えてこの大陸の、それも魔界という強力な魔族がうじゃうじゃいる中でもトップクラスに入るほどの強者らしい。今の説明を聞く限り。
「魔界には魔界特有の瘴気というものがあります。この瘴気は弱い者の命を徐々に奪う危険な瘴気です。ですが、その瘴気に魔族はあてられても効果はありません。人間や他の天族や神族にはな大変強力な毒になります。逆に魔族が天界と神界に行く場合は逆のことが起こります。それが天界の光と神界の輝きと呼ばれるものです。これは魔族にとっての致命的な毒になります。ですので神界と天界とは魔界は不干渉のままでいるのです。そして、その魔界を治めるのは魔王様方なのです」
「なるほど、ちなみにだけど地上界はなにもないの?」
「地上界はより多くの種族が繁栄しています。その中でも人間が圧倒的に土地を支配しています。場所によっては魔族、天族関係なく毒となりえる場所はございますが基本的には何も無いところです。そのため、地上界は我々にとって中立の場所だと認識されています」
つまり、お互いの領土を侵略せずまた天族や神族にとって毒になる瘴気もなく、魔族達にとっての光や輝きもない人間やその他大勢の種族が住む地上界を中立として不干渉ということにしたと。
「もちろん、それでも小さいいざこざはありますしどの場所にも魔王様方が存在します。ですので小競り合いはあるのですが…」
「?」
フレイヤが説明している途中、少し息詰まる。少し不思議に見ていると、フレイヤは困った顔で説明を続けたのだ。
「ここ五百年ほど前の話です。人族は勢力を唐突に拡大させたのです。そのせいか、地上界に存在している魔族はほとんどやられました。あまつさえ、他種族さえも滅亡に追い込むほどに。その行為に神族は許せなかったのか神罰を実行したという記録もあります。そのおかげか、私たちが封印されて以来人族が特に目立った行動を行うことはありませんでした。ですが、酷いところはとても酷いものです」
五百年前。一体人間達になにがあったのだろうか?それに、現状何がどう酷いのかもよく分からない。そこが少し難点だ。まぁ、おいおい見ていくつもりなのだが、それでも予備知識は知っておいた方がいい。何事もまずは情報からだからな。
「そっか、色々教えてくれてありがとう」
「いえいえ、これは私がやりたくてしている事なので」
フレイヤは暗くしていた顔を上げてニコリと微笑む。うーん、眩しい。
まぁ、予備知識としてはこれぐらいで充分だろうし後は現地で見て知るしかない。それに、エルフということは魔法と弓が得意というイメージがある。もしそのファンタジーお決まりなド定番がこの世界にもつうようするのなら、ここからが本題なのだ。
「それじゃあさ、次に魔法について教えてくれないか?」
「魔法、ですか?」
フレイヤは首をかしげて不思議そうにこちらを見る。やばい、何かまずったかな?あ、それとも魔王なら魔法なんて使えて当たり前とかだった!?
「カイ様は魔法がお使えになるのですか?」
「え?」
魔法には使える使えないとかあるのだろうか?
俺のアビリティやスキルを見ると完全に魔法一直線なのだが。これで使えないとかないよね?
「あ、いえ、テレポートなどの魔法をあまりお知りではなかったのでてっきり…」
「あ、えーと…」
「あ、いえ申し訳ありません。出すぎたことを言いました」
何を察したのかフレイヤは頭を下げ謝ってくる。
「いやいや!謝らなくていいから!ただ、ちょっと魔法の使い方を教えて欲しいなって思ってただけだから!」
俺が慌てて顔を上げるように言うと、フレイヤは頭をゆっくりと上げる。その顔は何かを真剣に考えてるような顔つきだった。そして何を思ったのか急に俺に抱きつく。
「!?」
「すみません、カイ様。少し場所を変えましょう」
急な体の浮遊感に驚く。フレイヤが抱きつく感触だけが頼りの空間、そのまま俺の視界はホワイアウトする。