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二人の魔王の世界征服  作者: 魔王
3/7

封印された魔王は解き放たれた。

森の中に神殿があった。それはとても奥が深くいまであまり人通りがないのかコケや蔦が生い茂っていた。そんな神殿の奥底にたった一つの像が立っていた。それは昔、この地を統べていた。世界を飲み込もうとしていた魔王の一柱。この大地に名を馳せていた紅眼の魔王ガイ。最悪の魔王の一人としてこの大地を蹂躙していたガイはある日、三人の勇者にこの地に封印されたとしている。その時に建てられたのがこの魔王ガイをかたどった像だと言われている。そして、その像にはいくつものヒビが入っていた。いくつものヒビや亀裂が入っていた。そしてまた、その像にまた一つ、亀裂が入った…。



「うーん、あれから数時間もこのジャングル彷徨ってるけど一向に出口が見当たらないんだが…」

「きゅぅ〜」

俺はあれからずっとこのジャングルを彷徨っているのだがモンスターにも出会わなければ人にも出会わないし村や町なんかも見当たらない。なにこれ、ほんと待遇悪くないですかね?ちなみにフジサンはどこに声帯があるのか調べたが伸び縮みするだけで全くわからなかった。そんなフジサンをふにふにしながらジャングルを歩いていると、ふと、開けた場所に出た。そこには…。

「おぉ、神殿とか初めて見たわ」

そう、蔦やコケが伸び放題生え放題している神殿があった。あまりのすごさに感動していると目の前になにか反応があった。そしてその先を見てみると神殿の入口の中央でスライムがこちらをみていた?なにせ、目がないからどこ向いてるのかわからないがなんとなくこっち見てる気がした。なんだろ、感覚的に。けれどなんかちょっと警戒してる気がする。フジサンと違ってなんかこう、戦うオーラを出してる気が…。そんな予感は的中。目の前のスライムは俺に向かって突進してきた。

「うお!?」

あまりの速さに反応が遅れてこのままスライムの突進を受けるのを覚悟して目を瞑ると、予想された衝撃は来なかった。

「きゅぅ!」

なんと、フジサンが俺の頭から飛び上がりそのスライムと同じく突進攻撃をして相殺したのだ。そして、スライムと同じくスライムでえるフジサンが相対する。そして、じっと見つめ合うこと数十秒。俺はフジサンのサポートをしようにもまだ自分が何の技があるのかさえわかってない状態で何も出来ない。

(なに、魔法ってどうやってだすんだ!?)

一応、カイには魔王サタニック革命リボルドという魔法を詠唱なし、ノータイムで連発できるというスキルを持っているがなにせ魔法の出し方がわからないが故にどうやってやるのかわからなかった。しかし、目の前のスライムとフジサンはそんなテンパるカイの姿を見ていた。テンパっていたカイがそれに気づき二匹の並んでこちらを見ているスライムを見返す。

「いつのまに仲直りしたんだ」

なんだかいろいろと間違ってる気もするがそれは置いておくとしよう。それよりも、スライムは神殿の中へと消えていった。フジサンはというとあのスライムと一緒に神殿の中に入っていった。その際に、ちらりとこちらを見てきた。恐らく、ついてきてっていったのだろうか。なんかそんな感じだし、ここにいても何も起こらないことは確かなので自分も神殿の中に入ることにした。中は薄暗く、とても気味が悪かった。ジャングルの中はそこそこ暑かったのにここは涼しいを通り越して寒かった。そうして、どんどん奥に進んでいくと一つ像があった。その前にスライムとフジサンはいた。

「これは…」

俺が来たのに気づいたのかフジサンが俺に向かって跳ねる。俺はそれをキャッチする。すると、フジサンがなにか訴えかけるように俺に向かって叫ぶ。

「きゅう!きゅぅぅ!」

その必死さはわかるのだが俺には何を言ってるのか全然わからない。それが伝わったのかフジサンがその像の上乗り移りに飛び跳ねる。それにいままで像の下で佇んでいたスライムが「きゅぅ!」となんだか怒り出した。それを気にせずフジサンは俺に視線を向けて飛び跳ね続ける。試しに俺はその像をじーっと睨むが…。おかしなことに俺に似てる気がしてならない。顔とか身長とかいろいろ。それはまごうこと無きカイそっくりの像だった。すると、唐突に頭の中に『情報』が入り込んできた。

『魔王の像

大昔にこの大地を全て飲み込もうとした魔王の一柱、紅眼の魔王ガイの封印された像。封印解除可能です。』

えぇぇ、封印解除可能とか言われても解除しちゃっていいの?そんな大魔王を。すくなくとも今の俺じゃ戦える自身ないよ…。昔に習ってた柔道や空手ぐらいしか…。けど、目の前のフジサンは解除して欲しくて跳ねてるのがなんとなくわかった。その行動の意味が。うーつ、解除すべきかしないべきか…。

「きゅぅぅ…」

俺が迷ってるのを悟ったのかフジサンが悲しい声を上げる。

「やめろばか、そんな声出されると解除したくなっちゃうじゃないか!」

そんな、いまにも泣きそうな声を出されてカイの判断が揺らぐ。もうどうにでもなれー!とカイはその像に触れる。

「あれ?というか解除ってどうやってするんだ?」

そんな疑問にどうしようか迷っているとビキッとなにかがひび割れる音がした。試しに像を見てみるとそこには幾多の亀裂が入っていた。

「えぇぇ」

ただ手を像に置いただけでヒビが入っていた。えぇ、どうしよう解除じゃなくて破壊とかしちゃったら…。そんな不安を感じながらもどう解除しようか迷っていたが、それは杞憂に終わった。いきなり像が真っ二つに割れたからだ。

「おぃぃ!?」

あまりの事に大量の冷や汗がでる。しかし、次の瞬間。真っ二つに割れた像の隙間から禍々しいオーラが一気に出始めた。

「うわ!?」

あまりのことに目を覆う。まるでここだけ気流が荒れ狂ってるように風が吹く。後ろでは柱が何本か崩れた。

(だ、大丈夫なのか、これ?)

下手したら神殿に潰されるんじゃないかと不安があったが、それは聞こえてきた声によって掻き消えた。

「主が我の封印を解いたのか?」

そんな声が聞こえて目を開けると。そこには、俺がいた。いや、性格には俺に似た人が。そいつも俺の姿を見てその紅い目をパチくりさせている。すると、『情報』がまた頭の中に入り込んできた。

『 相手のパラメーターを表示します。


紅眼の魔王 ガイ EXジョブ 魔王 Lv.120


パラメーター

STR 45300

DEF 56000

AGI 32100

INT 54700

CHR 32500


スキル


魔王主義

効果・自国の民のパラメーターを底上げします(80%)


サタン・リボルド

効果・自国の民の力を一時的にパラメーターの半分を吸収し、スキルを全て行使することが可能です。


アビリティ


紅眼の魔王

効果・自国の民を完全に統治し全てをコントロールします。民が死亡した際に覚醒します。(覚醒状態 通常パラメーターの十倍)


以上が紅眼の魔王ガイのパラメーター、スキル及びアビリティになります。』


な、や、やばいぞこいつ!パラメーターはバランス型でスキルが俺と同じくらいおかしい!サタン・リボルドとか特に!つまり、自分の配下がいればいるほど自分のパラメーターを底上げすることが出来るしスキルがあればそれさえも全て使用可能になるのだから。やばい、今の俺が確実に勝てる相手じゃない!パラメーターだけ見るなら俺の方が強いかもしれないが魔法の使い方さえも知らない俺と一体何人の配下がいるともわからない未知数の相手に勝てるはずがない。しかも、こいつの配下を倒した場合にはこいつ自身のパラメーターが十倍に跳ね上がるとか…。俺はあまりの力の差に硬直してしまった。そんな俺を、目の前の魔王ガイはじっと睨む。もはや蛇に睨まれたカエルだ。体が動けない。しかし、そんなこともいざしれず魔王はことを進める。魔王ガイは自分の足元にいる二匹のスライムを見下ろす。

「すまぬな、いくら緊急時とはいえお前達をその中に閉じ込めてしまって」

「きゅ!」

「きゅぅ」

スライムたちはそれぞれガイに返事をする。そして、なにやらぶつぶつと唱え始めた。そして、言い終えたのかその右腕をスライムたちの頭上で振るう。すると、なにかキラキラと輝いたものがスライムとフジサンに降りかかる。次の瞬間、光が爆ぜた。急な閃光に俺は目を潰されうずくまる。全くもって現状が理解出来ない。というか、ゲームやろうとしてまさかの転生されとして、いきなり魔王にぶち当たるとかどういうケース?もしかして伝説のゲームの真似でもしてんの?ってレベルだった。しばらくして、視力が戻ってきた。俺は何度も目をぱちくりさせてさっきまでスライムとフジサンがいた場所を見る。そこには、魔王ガイの他にスライムが二匹とさっきまでいなかったはずの美少女が二人立っていた。そして、三人とも俺を見つめていた。

(まじか、まさかとは思うが…)

俺は嫌な予感がしてならなかった。だってこのタイミングで現れる奴がいるとするのなら…。

「ずっとお待ちしておりました、魔王様」

「ずっと、ずっと待ってたんだから、ばかぁぁぁ!」

一人は恭しく魔王にお辞儀をして、もう一人は泣き叫びながら魔王に抱きついていた。俗に言う側近というやつだろうか。二人とも美少女だった。地球では絶対にお目にかかれないであろうぐらいに。魔王に泣き叫び抱きついてる美少女は少々派手な衣装を着ていたが淫乱というよりも綺麗という言葉が先に出てくる程に美少女だった。長く紅い髪の毛を二つに括りツインテールにしている。その顔は童顔ではあるが目鼻も整っていてその赤い瞳が綺麗だった。しかし、その犬歯は自分たちのよりも長い。スタイルはスレンダーだがすらっとしていてモデル体型というやつだろう。もう一人は、同じく長いその金髪のロングをのばしたままにしており、片方を三つ編みにしていた。耳が俺よりも、というかこの中で一番長い。その翡翠の瞳は全体のオーラを感じさせる。ツインテの子とは違って大人びていて妖艶ということばが似合う美少女だった。美少女というより美女である。そして、三人ともがこちらを向く。逃げようにもきっと逃げられないだろう。どうしようもない…。

(さすがにデッドエンドは嫌だなぁ)

まだこの世界についての痛覚は試したことがないから痛いのかどうかなんてわからないが触覚が働いてるということは恐らく痛覚もあるだろう。そう、俺がたじろいでいると。金髪の子が俺に近寄ってきた。それとともにその下にいたスライムもついてきた。

『相手の情報を表示します。


名前 フレイヤ 種族 エルフ EXジョブ 神癒術師 Lv.100


パラメーター


STR 800

DEF 500

AGI 200

INT 32000

CHR 70


スキル


神の癒術

効果・味方全体に常時リジェネの状態。回復力を底上げします

(3倍)


アビリティ


側近

効果・主の半径5キロメートル以内にいる場合、主のそばにいつでもテレポート可能です。その逆も可能です。


以上がパラメーター、スキル及びアビリティの情報になります。』


な、こいつもこいつでスキルがおかしい。常時リジェネ状態って、無敵かよ!なんだよこのチートの集団は!俺は近づいてくるフレイヤとスライムにどう対応するか迷っていると…。

「助けてくれてありがとうございます。カイ様」

「へ?」

いきなり礼を言われた。いきなりのことにびっくりして変な声が出てしまった。しかし、フレイヤは恭しく両手でスカートの端をつまみお辞儀する。俺はどうすればいいのか迷う。

「あ、えと…」

「お見受けしたところ、カイ様も魔王様のお一人でございますよね?」

「え?あ、あぁ…」

頭の整理が追いつかない。なんだろ、今までのゲームのチュートリアルが今更ながらありがたく思えてきたんだけど…。そんなフレイヤの言葉にガイが反応する。

「うむ、それにしても我は主のようなやつは見たことがないぞ?」

どう答えるべきか本気で悩む。こういう場合なら大抵誤魔化すか真実を打ち明けるパターンに分かれるんだけど…。間違ったら死ぬよな?怖いぃ、むっちゃ怖いぃ、けど、どっちか選ばないとそれはそれで殺されそうなので答えようとするが、上手く口が回らない。そんな俺の態度に魔王ガイはより一層その目を鋭くさせた。そして…。

「ふむ、まさかこんなことはあろうとはな…」

「どうしたのよ?」

ガイがなにやら意味深なことを呟く。それに反応した赤髪ツインテの子が聞く。

「おぬし、われの分身体だな」

「分身体?」

「しかも、この世界に存在しなかった」

「それってどうゆうことよ?」

「ふむ、つまりは異世界と呼ばれる場所からこいつは来たのではないかと我は予想するが、違うか?魔王カイ」

「え!?じゃあこいつは別の世界のガイなの!?」

「ふむ、そうだと思うのだが…。違うか?うぬよ」

えぇ、すっごい急展開なんだけど。というか、俺が本当のこと言うか言うまいか悩んでたのに、まさか向こうから当てられるなんて思ってもいなかったよ。しかし、ここで答えなかったら本気でアウト。俺は若干焦りながらも本当のことを話すことにした。それに、ちょっと会話を聞いてる限り、そんな悪そうなやつじゃなさそうだし。

「えっと、俺が君の分身体かどうかはわからないけど。確かに俺はこの世界を見たことない。それに、俺の世界には、えと、その悪いけど、君みたいに耳の長い子や犬歯がそんなに鋭い子はいなかった」

「あら、そうなのですか?」

「ま、私は希少だからね!レアだから!」

と、それぞれコメントをしてくる美少女二人。それに、思案顔のガイ。俺はガイの答えが出るまで待つが…。あれ、下手したら殺されるんじゃね?今更ながらの危機感である。そんな冷や汗かいてるとガイが語りかけてきた。

「カイよ、異世界への召喚術など聞いたことがないがお主は本当にこの世界を知らないのか?」

「あ、あぁ、何も知らないよ。そもそもここがどこかなのかも」

「ふむ、いいだろう。我をあのくそいまいましい封印から助けてくれた礼だ。少しばかし我がいろいろとレクチャーしてやろう。ついてこい、カイ」

「あ、は、はい」

俺は歩き出したガイの後ろに大人しくについて行くのだった。あれ、そういえば俺名乗ったっけ?


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