最初の味方は美少女じゃなくてスライムでした。
えぇ、どうしよう。マジでここがわからない。誰か助けを呼ぼうにもスマホ持ってないし。第一、服装が部屋で着ていたジャージじゃなくなってる。
「なんだこの衣装、まるで本物の魔王みたいだな!」
そう、俺は真っ黒なダークローブにところどころ宝石が散りばめられた服を着ていた。しかし、動きやすいようにちゃんと考えられて作られたような衣装だった。しかし、自分の姿には変わりがないように思える。手や足を見ても人間の手足だ。そこにはホッとする。
「つか、仮にここがゲームの世界でここに異世界召喚みたいなことされたとして、それはまだ俺は冷静に考えられるとしてだ。なんで森の中なんだよ!普通は協会とか街の中央とかさ!そういうところに召喚するもんじゃないのか!?」
思いっきり愚痴っていた。自分が見てきた異世界召喚系のラノベと全くもって予想しない場所に移されたからだ。
「しかもそこには美少女がいてって言うのがセオリーだと思うんだが…」
全く筋違いである。そんなことベラベラと一人で喋りながら森を散策していると。すぐそばの茂みを注視する。何故かわからないがあそこになにかいるのがわかる。なんでかわからないけど、頭の、こう、なんか第六感的なやつが反応してるのがわかる。そして、注意深く見ていると。ガサッ!となにか水色の丸い物体が飛び出してきた。それをみてみると、ポヨンポヨンと跳ねてこちらに近づいてきた。
「って!スライムじゃねぇか!」
そうどっからどうみてもRPGで超有名モンスターのスライムだった。なぜスライムだとわかったかというと。頭の中に自然と情報が流れ込んできたからだ。
(これでもう確定していいんだよな?アマゾンじゃなくて異世界でいいんだよな?)
もういろいろと疑いようがなかった。さっきから勝手に頭がいろいろと反応するし、情報もなぜかわからないがわかってきている。推測できるのは、ハイドアビリティの観察眼。その効果が自動で発動してるのではないかと思う。よくある主人公補正というやつである。それにして、目の前のスライムは俺の前でぴょんぴょん跳ねるだけで全くもって攻撃してこない。どゆこと?
「うーむ、ちょっとぐらいならいいよな?」
俺はそろーっとスライムに手を伸ばす。何を察したのかスライムは跳ねるのをやめてその場に留まる。俺はそんなスライムを触ってみる。ぽよんってした。それにすべすべで冷たくてむっちゃ気持ちいい。あまりの気持ちよさに俺はスライムを掴んで持ってみる。俺の知ってるスライムなんだったらここでドローっとなって原型を崩してしまうがこのスライムはそんなことにはならなかった。そのまま手にフィットしていて形が崩れることは無かった。
「おぉー」
あまりの驚きに声が出てしまった。手でぐにぐにと押しつぶしてみたりもするがすぐに元の球体に戻る。試しに頭に乗せてみることにした。うむ、ぴったりだった。スライムもスライムでなんだか和んでる気がする。それに、あのベチャーという不快な感覚はなく頭に冷えピタ貼ってるみたいな感じだった。どうしよう、この子むっちゃ飼いたい。俺は再度、そのスライムを手に取って目の前まで来させる。そしてじっと見る。スライムにはあの伝説のドラゴンを倒しに行く依頼に出てくるスライムみたいな目も口もないが愛嬌があるように感じてきた。
「どうやったら仲間に出来るだろうか…」
そんなことを本気で考え始めた。というか、初段で出てくるモンスターを仲間にするとか普段の俺だったら考えられないがこれはもうそんなんじゃなかった。普段は何気なく倒しているがなんだか倒すのが勿体なくなってきた。俺は数分ぐらいスライムとにらめっこする。スライムが少し斜めに体が傾いて頭に?マークを浮かべてるように見えた。そして、俺は仲間にするための案をだしていくのだった。
「スラスラ?」
「?」
ダメだ。名前を付けて読んでみれば反応してくれるかなと思ったが無理だった。それじゃあ次は。
「ふはは!我の仲間になってくれたら世界の半分をくれてやろう!」
あの有名なセリフで勧誘してみた♡すると、急にスライムが手から飛び出してポヨンポヨンと目の前で元気よく飛び跳ね始めた。え?どゆこと?なんて疑問に思っていると頭の中に情報が入り込んできた。
『ジョブを更新しました。
次のジョブに転生可能です モンスターテイマー Lv.1
パラメーター
STR 3
DEF 4
AGI 4
INT 3
CHR 8
スキル
モンスターへの優しさ
効果・味方にしたモンスターのパラメーターを上昇させます。(10%)
レアアビリティ
優しき主人
効果・モンスターに好かれやすくなります。
以上が取得パラメーター、スキル、アビリティになります。パラメーターは転生しないと継承は不可能です。スキル、アビリティは上乗せされていきます。以上を持って現在のパラメーターを更新及び解説を終了します。』
おぉ、なんか更新された。モンスターテイマーになれたってことはつまり…
『パーティーを更新しました。情報を提示します。
パーティー
フレパートナー
名無し 種族 スライム
Lv.5
パラメーター
STR 70
DEF 130
AGI 700
INT 0
CHR 10
スキル
取り込み
効果・物質を吸収・分解して稀にその効果を得ます。
アビリティ
物理無効
効果・物理攻撃を無効化します。
以上が現パーティー状況と味方パラメーターです』
おぉ!?
なんだこれ、AGI(簡単に言うと素早さ)が700って、それ以外はDEFぐらい目を見張るものはないけど。スライムってこんなに強かったっけ!?俺は目の前のスライムを驚き混じりに見つめる。そんなスライムポヨンポヨンとなんとなくだけど嬉しそうにはねてる気がする。にしても、やっぱり普通は二桁がノーマルなパラメーターなんだろうか?とりあえず街を目指そうか。そしたらきっとわかるはずだ。それにしても俺のステータスは異常だろ。スライムのステータスが普通にこれだとしたら万単位のステータスは確実にチートだよな。あ、そういえば名前の欄が名無しだったけどはたしてつけられるのだろうか?試しにスライムに言ってみる。
「今日からお前は、富士山だ!」
「!」
うーむ、ふざけてしまった。というかこんなんでつけられてたら…。
『スライムのネームが確定しました。スライムパラメーターを更新します。
名前 フジサン 種族 スライム
以上が更新情報になります。』
ついちゃったよぉ、どうしよう。富士山とか絶対に嫌だろ。と、思ってスライムを見てみると…。めっちゃ喜んでるよ。さっきと飛び跳ね方が違って激しくなってるよ。怒ってるように見えないんだけど。ていうか喜びすぎてるのか知らないけど跳ね上がり方半端ないんだけど。いまとか軽くジャングルの木を超えた気がする…。試しに名前を呼んでみることにした。
「えと、フジサン?」
ちょっと疑問形だったが、その言葉にスライムは反応して俺の元まですぐに駆け寄ってくれた。どうやら、名前はフジサンで決定らしい。俺は目の前に来てくれたスライムもといフジサンを抱き上げて頭の上に乗せる。
「よし、とりあえず行こうかフジサン」
このまま放置しておくと空にまで飛びそうだったからとりあえず頭の上に乗せてこの辺りを散策することにした。フジサンは頭の上で2、3回跳ねて大人しくなった。意外に物わかりがいい子なのかもしれない。まさか最初のパーティーになるのが美少女じゃなくてスライムになるとはな。まぁ、気持ちいいから許すけど。
「これからよろしくな、フジサン」
「きゅぅ!」
………喋ったぁぁぁぁぁぁあ!?
わからない人のための簡単なパラメーター説明
個人的な見方なのでそこらへん大目に見てくれると嬉しいぞ!
『STRは筋力、力。攻撃力を示します。
DEFは防御力を示します。
AGIは素早さ、敏捷を示します。
INTは魔法に関する知識及び、今回は魔防の役割も果たします。魔法知識にかんしてはそれがそのまま魔法の攻撃力になることを示します。
CHRは第六感、簡単に言えば戦闘時の鋭い感や相手の居場所を特定するものを示します。
以上がパラメーターの主な説明になります。ということで読者の皆様、私、ナビがときたまこうして説明させていただきます。それでは今後とも私の主ともう一人の主様の紡ぐ物語「二人の主様の世界征服」日記をよろしくお願いします。そして、読んでくれた皆様ありがとうございます。それでは私はこれで、みなさんではまた今度』
ということで、読んでくださってる皆様方ありがとうございます!ちなみに勝手にタイトルを改変されたが「二人の魔王と世界征服」今後ともよろしく頼むぞ!ちなみに不定期で上げるがそうおそくならないとおもうぞ、たぶん…
ということでさらばだ!人間ども!