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さくらの季節   作者: 木内杏子
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予想外のこと

「あのね……、今日、公園……」


あたしが言いかけたとき、後ろから誰かが桜ちゃんを呼んだ。


「さくら!!」


その声を聞いて、桜ちゃんは嬉しそうに頬を染めて振り向いた。


「奏音くん!」


あたしは、絶句した。明希の、弟?


「どうしたの?あ、こんにちは!かれんさん……でしたっけ?」


あたしが明希の家に行ったときに出会った雰囲気の奏音くんではなかった。もっとおとなしそうな、そんなイメージだったけど……。


「う、うん!」


「ちょっと待っててね、奏音くん。すみません。かれんさん、続きお願いします」


どうしよう。こんなはずじゃなかった。

これは、ただの先輩と後輩の関係じゃない。

とりあえず、今日はダメだ。浦川くんにも連絡しなきゃ。

「あ、いや、その、どうしてるかなって思っただけ!じゃ、じゃあね!」

あたしは、適当にごまかして、その場を去った。


そして、急いでスマホを取り出す。


『件名 至急

ちょっと、予想外のことが起こったの、とりあえず、明希には適当にごまかしておいてくれる?ごめん!すぐそっち行くから!

かれん』



送信をタップして、スマホを片手に公園に向かった。既読がつかないメールが不便に感じた。どうしよう、どうしよう。あたしのせいで明希が傷つく!



-----------------&------------&------------&-------------



「で、どうしたのいきなり」

不機嫌そうな明希が僕を見た。

「いや、久しぶりに公園で遊ばない?」

用意していた言葉がとんでしまった。


変な空気が流れる。

「浦川大丈夫か?北高なんかに行くから、賢いやつらに囲まれて頭おかしくなったんじゃね?」


僕が北高に行ったことをちゃんと把握してくれていることに、僕は驚いた。


「よく……知ってたね」

「当たり前だろ、親友だっただろ」


「だった」か。まだ明希は僕のことを許してくれてないんだね。


「あのさ」

「なんだよ、公園行くんじゃねーの?」

明希が、歯を見せて笑った。

「うん!」

なぜか僕はそれだけで許された気になって、明希と公園へ向かった。



___チャッチャッチャーチャッチャッチ


その道中に、僕の携帯が鳴った。

「ん?」

僕はウインドウに表示された件名を見て、急いでメールの画面を開いた。



『件名 至急

ちょっと、予想外のことが起こったの、とりあえず、明希には適当にごまかしておいてくれる?ごめん!すぐそっち行くから!

かれん』


予想外?僕は返信しないで、とりあえず明希に向き直った。


「ごめん。ほんとは遊ぶために呼んだわけじゃない。ゆっくり、話がしたかった」


これも、本当のことじゃないけど。嘘ついてごめん、明希。でも、話はしたかった。


「まあ、いいけど。じゃあ公園じゃなくて俺ん家行くぞ」


その答えを聞いて、僕はホッとして、中山さんに返信した。


『Re至急

とりあえず、今日は帰ってください。僕がどうにかします。明希と少し話したかったですし』



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