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さくらの季節   作者: 木内杏子
50/61

名前を呼ばれて

ついに五十話です!

いつも覗いてくださっている方ありがとうございます。これからもよろしくおねがいします。

 『他の人の魔法にはかからないでくださいね』


奏音くんが微笑んで、そして_____。


 「うわあっ!!?!?」

 また夢を見た。最近、こんな夢ばかり。魔法じゃなくて、呪いをかけられたんじゃないかと思うほどに、毎回この夢で起きてしまう。

 まあ、早起きできるといえばそれまでなのだが。


「桜ー!?どうしたの?」


下からお母さんが心配そうに声を上げる。そんなに!?そんなに響いてたの?!


「ううん、大丈夫〜!」



 あの日から、朝も一緒に登校することになった奏音くんは、私に毎日たくさんの質問をした。小学校の時のこと、姉のこと、好きな科目、嫌いな科目。


「最近、夢に奏音くんが出てくるんだよねー」

 何気なく私は言った。そうしたら、奏音くんはすっと私に顔をよせる。見つめあったまま動けない。熱い。ドクドクと脈打つのが分かる。長いまつげと黒い瞳に吸い込まれそう。でも、彼の瞳に目の中の自分が見えるくらいの距離まで来たのに、さっと奏音くんは身をひいた。

「どきどきしましたか? ……なんてね」


 思わせぶりな微笑で私は翻弄させられている。私はうつむいて、心を落ち着ける。平常心。平常心。はい!平常心!

 こんなにドキドキしていたら、本当に奏音くんが好きみたいになってしまう。好きだと錯覚しちゃうじゃないの。だめ、だめだめだめ。あーーーー。


 「何考えてるんですか?」

近い距離でにっこり笑われて、私は本当に意識してしまった。もうただの後輩じゃないかも。もしかしたら、もうずっと前から。


「いやいや、ないないないない……」

そんな馬鹿な思考、やめた方がいい。なしなし、いまのなし!

 念じても、目を開いたら、そこに奏音くんがいるわけで。お祭りの時のふと見た大人びた表情とか、体育館裏の耳をくすぐるような囁きとか。……音楽室でのキスとか。別れ際の真剣なまなざしとか。


 苦しい。私は、私は。

 先輩の弟さんだよ?だめでしょ、私。目を覚まさないと。気まずいよ、もし付き合って、先輩に会って、それで気まずくない?


「大丈夫ですか? 桜先輩? おーい。桜さん」


 さくらちゃん?私は、はっとした。名前を呼ばれて、うれしい自分がいた。

 好きだ。好きだ。私は、奏音くんが、好きだ。関係ない。先輩のことなんか。きゅうに、目の前が開けた。


「奏音くん……。私、魔法にかかったみたい……」

 私がそう言った瞬間、奏音くんが、目を見開いた。それからまたあの、いたずらそうな笑みを浮かべて言った。

「僕のものですね、桜さんの心は」


 私たちはどちらともなく手をとって、指をからませた。


「僕のことだけ見て」

 出会った時、幼くて、お兄ちゃんのことを知りたがっていた彼が、私より大人びた声音と表情で、そっと囁いた。私は、くすぐったくて、笑った。


「はい。よろこんで」


 

明希が言ってるセリフはモデルがいたりします。その人が、こういうこといいそう。とか思いながら考えています。

奏音が言ってるセリフは、自分がイケメンに生まれ変わったら、女の子に言いたいセリフです。甘いセリフでおとしてみたい←おい

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