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さくらの季節   作者: 木内杏子
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偶然の出会い

 「あー腹立つわー!」

あたしは、公園に1人取り残されて、つぶやいた。

 大切だから伝えないってどういうことなんだろう。大切だから今後悔してるんじゃないのか。まあ私が何を言ってももう明希は意志を曲げないだろう。あたしは公園を後にして駅へ向かった。もうこの町に来るのはやめよう。


「あの、落としましたよ」


 後ろから声をかけられてあたしは振り向いた。熊のキーホルダーを持った、男子高校生だった。グレーのベストに紺のチェックのズボンだから、北高の人だ。でも、このキーホルダーはあたしのじゃない。


「いや、これはあたしのじゃないです」


 差し出されるキーホルダーを返して、あたしはまた前を向いて歩き出そうとした。


「あ、ちょっと待ってください。知ってます。これはあなたのじゃないことは」


は。じゃあなんで落としましたなんて言うんだよ。あたしは怪訝に思ってもう一度振り向いた。


「さっき、明希とけんかしてた人ですよね」


 メガネをかけたその男子高校生は人がよさそうにほほ笑んだ。なにこれ、新手のナンパ?ってか、公園からずっとつけてきてたってこと?きも。


「あんた誰なんですか」

あたしは思いっきり嫌悪感を漂わせて聞いた。


「すみません、名乗ってませんでした。僕は浦川祐介といいます。明希の親友です」

「明希の親友さんがあたしに何か用ですか」


 「ちょっと聞いてしまったんですけど、もしかしてまだ明希は桜ちゃんに何も言えてないんですか」


 ああ。この人も知ってるんだ。そこでやっと、あたしはその人に笑いかけた。

「もうあたしが何を言っても無駄みたいで。大切だから伝えないって言われてしまいました」


「そうなんだ」


 その人は優しそうにあたしに笑いかけた。

「僕もあの二人には幸せになってほしいんです。明希は親友だし、それに桜ちゃんはとても優しい人だから」

 「あたしも、そう思います。あの、もしよければ協力していただけませんか」

 いいことを思いついた。この人から明希に何か言ってもらおう。

「うーん。いいですけど、中三の秋くらいからだったかな。あいつを怒らせてしまって。それから話をしていないんです。あのとき明希が怒ったのも桜ちゃん関連のことでした。君と同じように桜ちゃんに思いを伝えろと言った時だったかな。そういえば、君の名前を聞いてなかった」


 忘れてた。誰とか浦川くんにいっておきながら、自分の名前を言うのを忘れていたなんて。

「ごめんなさい。中山かれんです」


「中山さんか。よろしくお願いします。メアド教えて下さい。僕はSNSをやってないんです。ガラケーだから」


 古風な人だな。あたしたちはメアドを交換してその日は帰った。よし、こうなったら明希と桜ちゃんを全力で応援しよう。


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