夕日の差し込む音楽室で
あの体育祭から二週間すぎた。私たち三年生が部活に来るのも、もう一か月くらいしかなくて受験へとちゃくちゃくと向かっていた。この前は模試を受け、そして中間テストもこなして、少し秋っぽくなった音楽室にいる。模試の結果はあんまりよくなかった。別に何になりたいとか、ここに絶対行くんだなんて思うこともなくただ親に勧められて書いた志望校で、成績が悪くてもなんとも思わなかった。
最近気まずくて奏音くんとも一緒に帰っていないし、あれから私の恋バナを語ることもなく過ぎている。
『今日はやけにホルンパートの一年生と話し込んでいるな……』
私とはあんまり話してくれないくせに。慰めてくれて、耳元でささいたくせに。ああ、話したいな。自分から話しかける勇気はない。そもそも本当に奏音くんは私にあんなこと、言っただろうか。聞き間違いじゃなかろうか。空耳?あの時は頭がおかしくなっていたのかもしれない。二週間、空耳なのかそうでないのかよく分からないまま、何度も再生してしまう。
『お兄ちゃんのことなんか、見ないで……』
ああ、私は馬鹿だ。自意識過剰だ。そうだ、言い方の問題。耳元で言われただけで勘違いしちゃだめだ。そう、普通に言ったら、『お兄ちゃんのことをあきらめろ』って言われただけ。それだけ。はい、終了!
机に突っ伏していた頭を上げると……
「うわっっ!」
「先輩、解散ですよ。下校時刻です。帰りますよ」
少し微笑んでいる奏音くんが目の前にいた。いつの間にか、みんないなくなっていた。
「う、え、お、うん!」
至近距離で目線が合い続けているのに気づいて、私は、顔そむけようとした。でも。顎をつかまれて、無理やりまた視線を交わされた。
「……奏……!!」
赤い夕日の光がが差し込んで、私たちは唇を交わしていた。一瞬?いや、長く?
唇が解放されて、奏音くんのいたずらっこのような瞳がまた見えた。
「先輩、僕がお兄ちゃんを忘れさせてあげます。だから、僕……いや、俺を見て」
奏音くんの耳は赤くなっていて、夕日のせいかと思うほどだった。私はまばたきも忘れて、奏音くんに手を引かれて椅子から立ち上がった。
忘れさせてくれるのなら。奏音くんに頼ってもいいのだろうか。
私より少し前を歩く赤い耳をした、私よりとっくに背が高くなった後輩の横顔に見とれた。
これ、友達も見てるんだよな……。書いてから大分大胆な展開にしてしまったし、やばいやばい。と思ってあせっておる作者です。まあ、奏音くんも最初のころとは違う裏の顔が露出していますね。まあさせたの私だけなんですけどね(笑)
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