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さくらの季節   作者: 木内杏子
28/61

自転車

「だめだわ……」

私は、自分の勉強机の上に突っ伏した。


お花見まで、1ヶ月ちょっと。それまでに自転車に乗れるようにならないといけないなんて。無謀にもほどがあるよ……。


そのまま、どうやったら自転車に乗れるようになるかを考えていたら、下からお母さんに呼ばれた。


「さくらー! 夏海ちゃんから電話よ」


「は、はーい!」


受話器を取ったら、夏海が笑いを含んだ声でからかってきた。


<自転車乗れるんですかぁ〜?>


「乗れないに決まってるじゃない〜」


<練習するの?>


「そのつもりだけど……」


<仕方ないから付き合ってあげてもいいけど?>


まじで!?やったね!私は嬉しくなって、


「いいの!?ほんとに!ありがとう」

と、即答した。こうやって、私は、夏海に付き合ってもらいながら、毎朝自転車の練習をすることになったのだ。




しかし。


「なんで!? なんでこんなに乗れないの!?」

「ひーん……。ごめんなさい……」


朝に練習を始めて5日。私はこけてばかりで前進が全くできていない状態だった。部活のない朝方から、夏海は練習に付き合ってくれているのだが、本当に嘘みたいに乗ることができなかった。


「もう一回!」


スパルタ夏海先生の声が公園に響く。夏海が自転車の後ろを持ってくれて、また私はゆっくりとこぎだした。


恐る恐るペダルを踏み、ゆっくりと回す。


「もっと早く回さないとバランス取れないでしょーが!おそい!」


言われた通り、もう少し早くこぐ。


「前見て、足元ばっかり見ない」

「は、離さないでね」


私が夏海の方を見たとき、バランスを崩した。

「いったーい」

夏海も一緒にこける。

「ごめん……」

「前見てって言ったのに……」


結局この日も乗れないままだった。




「よし! だいぶ進めるようになってきたね」


私は、二週間とちょっとかけてようやく少し進めるようになった。だんだん春が来て、暖かくなり過ごしやすくなってきた。


私は、もう少し長く走れるように、公園の外の道路で練習していた。夏海には本当に感謝している。よく、こんな運動神経皆無な私に教えてくれたよな……。


慣れてきて、だんだん距離が長くなるにつれ、私はすこし余裕になっていた。それが、間違いだった。


「桜!みぞ!」


「え!?」


ドンガラガッシャーン!!


何が起きたのか、一瞬わからなくて、腕に激痛が走った。


「いっつ……」

「桜!? 大丈夫? 出れる?」


「出れる」と聞かれて、私はあたりをみた。道路が目線の高さまで来ている。そうか、自転車ごとみぞに落ちちゃったのか。

私は、みぞの淵に手をかけて、みぞから出ようとしたけれど、腕がジンジンして力が入らなかった。


「もしかして、腕やっちゃったの?」

夏海が、青くなって言った。

「そうっぽい……」


なんとか、夏海に助けてもらって脱出できたものの、やっぱり腕には力が入らなくて、夏海に付き添われながら家に帰った。


「せっかく練習に付き合ってもらったのに、ほんとにごめん。ありがとね」


「いいのよ、腕、ひどくないといいね」



病院に行くと、骨折だと診断された。小さい頃からよくこけている私が、腕を骨折したのはこれが初めてではなかった。


これで、お花見に行けなくなってしまった。片手で自転車に乗れない。私は大きくため息をついた。

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