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教訓その九〜一未成年者の喫煙及び飲酒は法律で禁止されている?………うるせぇ!!

お酒とタバコは体に悪いですよ。ほどほどにしましょう。



「それでは皆様、準備は宜しいでしょうか〜?」


一葵が缶ビールを片手に持ち、立ち上がって音頭をとる。


「バッチコーイ♪」

「いつでもどうぞ?」


ヒナとレイナは、アルコールの弱いフルーツ系の缶チューハイを掲げる。


「長ったらしい言葉はゴメンだぞ、一葵」


マヤはビンに入った酒をコップに注ぎ、それをコーラで割ったものを持つ。


『みんな準備できたみたいだな。じゃあ、一葵』


俺は一葵と同じく缶ビールだ。正直、酒は弱い方なのだが、ここは男らしくビールなのだ。


「それでは…ごほん! えー…本日は、ダーッと行ってワーの昇格祝いということで、盛大に盛り上がりましょう! では、提供者であるヤス先生に、最大の敬意をあらわし………カンパーイ!!」



…と、いうわけで始まりましたよ宴会が。ちなみに場所は俺と一葵の部屋だ。


ヤス先生から頂いたものはビール、チューハイ、タバコ。よってコンビニ(学校の敷地内にある)で、おつまみも買ってきた。


もう完璧でございます。

俺は酒は弱いものの、こういったお祭り騒ぎは大好きである。


ましてや、この学校に来てからというもの、一度もこういう機会がなかったためかテンションが高ぶっている。


俺達は乾杯の後、それぞれが持っている酒を飲んだ。


俺と一葵はそのまま一気飲み。缶を空けた後、女性陣からは『ヒュー♪』と声があがる。

どうやらテンションが高ぶっているのは俺だけじゃないみたいだ。



その後、セブンスターに手を伸ばす。今までは一葵にちょこちょこ貰いタバコをしていた。さすがに自分じゃ買えないから仕方ないと、一葵は気前よくくれるが、やはり遠慮がちになってしまう。


自分の分。そうして吸える事が嬉しい。


セブンスター独特の味が、喉を刺激する。うーん、たまらん♪



そして、その後それぞれが自由気ままに飲んだり食ったり喋ったり。


テーブル一面に広げたスナック菓子やつまみを頬張りながら酒を飲む。


これは最強の贅沢じゃ。


「一発芸いきまーす!」


顔が赤くなり始めた一葵が突然叫ぶ。


「いーぞー、かっちゃん♪」


「一発の一発芸……はい、すべりましたぁ。ツルッツルでございまーす!」


懐かしいね、そのネタ。むしろ一葵を一発と呼ぶ奴は最初からいなかったぞ?


「滝登り!」


一葵の一発ネタとは、口から吐いたタバコの煙を、鼻の穴に吸い込ませるというものだった。


口から鼻へ昇る煙が滝登りに見えるから、この名称になったらしい。


「すごーい♪」


それを見たヒナは大喜び。まるで小さい子供のようにはしゃいでいる。いや、むしろ幼児体型だから日頃から年下にしか見えないが…。


「ジンも何かやれよー」


ほめられた事が嬉しいのか、それともヒナに『かっちゃん』と呼ばれた事が嬉しいのか、一葵のテンションは普段より遥かに高くてうざかったので殴りたいです。


しかし、パスを出されたからには答えなけりゃならんな。


『よっしゃ、煙突!』


俺は吸っていたタバコを逆にくわえた。


「あ、危ないよジンくん!」


そう、つまり火の点いている部分が口の中に入っている状態だ。

それを見たヒナが、心配そうに見てくる。


そっか…ヒナは《世間知らず》だからな。何せ普通の子のように遊ぶ事ができなかったのだから。


何か子供を騙す大人って感じがするが……ヒナからかうの面白れー。


未だアタフタしてるヒナの前で、俺は逆にくわえたタバコに息を吐く。


すると、本来くわえるフィルターの部分から、白い煙がモクモクと出てくる。


まるで煙突から出る煙のように。


「お……? すげーー♪」


喜んでくれました。

レイナもかなり驚いているようだ。



まぁ、この二人は特別だからな。こんな馬鹿なまねする奴、周りに居なかったんだろう。


ちなみに《煙突》は初めてやる時は勇気がいります。

というか危険なので真似しないでね。


『はい、じゃあ次はマヤ。タバコで何か技やってよ』


見た所、ヒナとレイナは非喫煙者だろう。さっきから俺と一葵が旨そうにタバコを吸ってるところを信じられないような顔で見てきたし。


マヤは喫煙者だろう。まぁ外見だけで判断するのは良くないが…。


俺はマヤが女の子という事を考えて、一応メンソールのタバコの箱とライターをマヤにポイっと投げる。マヤは反射的にそれを受け取ると、少し困った表情を見せた。


……しまった、既にネタ切れか? タバコの芸なんて煙突と滝登りぐらいだからな…。




「……あぁー…その…」


やはり、かなり迷ってます。素直にネタ切れと言えば、それが早いだろう。


だが、マヤにはそれができない理由があった。


ヒナがね、すっげぇ目を輝かせて見てんの。


今のヒナに《もうネタないよ》なんて台詞は、子供に《今日おやつなしよ》の破壊力と同じだろう。


ガッツだ、マヤ!



「ジン、ちょっとこっち来い!」



そして、なぜかマヤに隣の部屋まで引きづられていく俺。



どうしたって言うんだ、一体…。

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