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教訓その十七〜告白は言葉の前に勇気だ!



くそ…。まさかの新クラスになった初日に遅刻で、罰として放課後の掃除をする事になっちまった…。



そもそもの遅刻の原因は一葵の寝坊&精神崩壊にある。


まぁ精神を崩壊させたのは俺なんだが、元をただせば起きない一葵が悪い。自業自得だ。



結局一葵は午前中いっぱい、譫言のように愛のキャッチボールと呟いていた。


俺まで巻き込まれるんじゃ、一葵の前で愛のキャッチボールという用語は禁句にしようと思う。



さて、新クラスになったが、まぁ特にやる事に大差はない。


一葵、ヒナ、レイナ、マヤ。皆一緒のクラスだし、Cクラスにはコイツらの他に特に仲の良い友達も居なかったからね。



Bクラスになって変わった事と言えば、デブロン毛の再登場といったところだな。



俺に薬を盛ったお詫びとして、今掃除を手伝って貰っている。


あ、別に脅したり強制とかはしてないからね。

デブロン毛が自主的に参戦してくれただけだ。



んで、大体の掃除は終わってきたところだ。まぁ毎日昼休みの後に掃除の時間があるから、そこまで汚れてるわけじゃないし。


生徒が下校した教室で一葵とデブロン毛の三人きりってのが、異色コンビだけど。



「ジジジ、ジンくん」


窓を拭いていたデブロン毛が、俺に話しかけてきた。


「し、親衛隊は解散したんだ。そこで、そっ、相談があるんだ」


ほー、ヒナ親衛隊が解散したのか。まぁ、あんな騒ぎになっちまったんだから仕方ないか。


「ヒッ、ヒナちゃんに、こっこっこっ、告白をししししようとおおお思ってる…!」


『ふーん、そうか頑張れよって……えーー!?



デブロン毛がヒナに告白?


うん、普通にフラれるだろ。


だってお前正直キモいもん。デブだもん。常時汗かいてるもん。まともに喋れてないもん。


ヒナとデブロン毛が付き合ったら…。


駄目だ、想像がつかない。バランスが明らかに釣り合っていない。



天変地異の前ぶれ。もしくは幼女拉致監禁罪のどちらかとしか思えん』




「ジン、全部声に出てるぞ?」

「ひっ…ひどい…」



おっと、声に出てたか。

まぁ別にヒナとデブロン毛が付き合う事に異義はない。


そこはヒナの判断だしね。俺にとやかく言う権利はないわけだ。


『悪いな、…で、相談って何だ?』


「こっ、告白って…どうすれば良いのですか!?」


『んなもん自分で考えろ。

ってか何故俺に相談する。


別に俺達は仲の良い友達でもない。というか友達じゃない。友達だと思いたくない。認めたくない。知人でもヤダね!』


「ジン、だから声に出てるってかお前絶対ワザとだろ?」

「ひっ、ひどい…」


あ、バレたか。


『まぁヒナを呼び出して、素直に好きって言えば良いじゃん』


「そっ、それができないから困っているのです…」


うーん。まぁ確かにデブロン毛は挙動不審な一面もあるし、会話の時に相手から目を逸らすし、とにかくヘタレだね。


「親衛隊の頃は、会長を通さなくてはヒナちゃんと会話する事もできませんでした」


『はぁ? 何でヒナと喋るのに許可が必要なんだよ?』


つか会長って誰だよ。


「抜け駆けだと思われるからです。ヒナちゃんを影から見守る…それが、僕達の努め。でも、それは告白の勇気がないから逃げているだけでした。


でも…! 親衛隊も解散し、元会員にも告白の権利を持つ事ができたんです! ただ、誰一人として告白をした人は居ません。みな、あと一歩が踏み出せない。だからこそ、僕が最初に告白してやろうと決めたんです! ヒナちゃんへの想いなら、誰にも負けませんよ!」


なんか熱く語ってるよ。

正直めっちゃウゼェ。


「見事だ…お前のその心意気…!」


一葵よ、何故に貴様は泣いているのだ?


はぁ…まっ、仕方ねぇ。フラれりゃ諦めるだろ。

ちっと励ましてやるか。



『デブロン毛よ…』


「はっ、はい…」


『普段は会話につまるし、人の目を見れないお前が、今はどうだ? ヒナについて語る時は、やけに生き生きとしてるじゃねぇか。その調子で、素直なそのままの気持ちを伝えりゃいい』


「…っは!」



『告白は言葉の前に勇気だ』



「ジンよ…それはちと臭いセリフだにょ」


一葵よ、何故に貴様は俺にケチをつけてくるのだ?

つか語尾がウゼェ。



「分かりました。ありがとうございます…!」


ふと一瞬だけ、ほんの少ーーーーしだけ、決意したデブロン毛の表情が『男』の顔になった気がした。



「じゃあ早速、行ってきます!」


『おう、無残に散ってこい!』


「待て、まだ掃除が終わってな…」


『じゃあ俺も行く。後はまかせたぞ一葵!』


そして俺とデブロン毛は、ヒナの元へ向かった。

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