教訓その十四〜安全靴は安全じゃねぇ!
その後、近くのファミレスで食事をする事にした。
一葵が奢ってくれると言うので、ありがたくいただくとしよう。
店内の様子、メニュー、料金、それら全てが普段と変わらない造りとなっている。
働いている店員ですら、愛想も人柄も良さそうな人達だ。
それに、ここだけじゃない。さっきの雀荘も、昨日のショップの店員も、普通の人達だった。
今になって分かった事だが、この学校も自宅に帰れないという事以外は、特に普通の生活と変わらない。
住む家もある。環境も整っている。勉学を学ぶ事もできる。今もこうして、自由に街で買い物や飲食が楽しめる。
初めは戸惑っていたが、住めば都…と言ったところだろう。
「お待たせいたしました」
そこに店員が、旨そうな料理を運んできた。
俺と一葵は、和牛ステーキを注文した。香ばしい匂いに包まれたミディアムステーキの登場だ。
「いただきまーす!」
一葵は早速、ナイフとフォークを丁寧に扱い、ステーキを頬張っている。
『一葵、食べながらで良いんだが、いくつか質問させてもらえるか?』
「今は肉が先。俺からも…まぁ、ジンが聞きたい事と同じだろうけど」
俺が一葵に聞きたい事…それはズバリ、コイツの《能力》とやらについてだ。
心理思考……なんたらかんたらとかいう、人並み外れた読心術。
何故一葵にそんな能力があるのか、そして、一番気になるのは一葵がこの学校に来た理由だ。
以前俺に《万引きとか窃盗》と言っていたが、あれは嘘だと思う。
今日それに気付いた。何故なら、単純に共同生活をしていて、一葵はそんな事をする人間じゃないと思ったからだ。
だが、この学校に来て改心したという可能性もある。一葵の過去を全て読める程、俺は頭が良くない。
ーーーー改心
それは、心を改まめる事。悪が善に変わる瞬間。
この学校に来てからは、別に教師達に強制される事なんてなかった。
ちゃんと授業に出る事、掃除などをサボらない。
その辺りの事なら注意されるが、そんなもの、普通の学校でも当たり前だ。
なぜ俺は、この学校に来てからじゃないとできなかったのだろう…。
なぜ俺は、あの時に先生の注意を受け入れられなかったのだろう…。
今まで通っていた学校の生徒達が、今の俺の姿(真面目に授業を受けたり、掃除している所)を見たら
《ジンって改心したんだなぁー》
と思うのだろうか?
この違いって何だろう…?
なぜ普通の学校じゃできなかったような事が、この学校だと当たり前のようにできるのだろう…?
「親を想う気持ちだよ」
肉を食いながら、一葵がふいに言ってきた。
……コイツ、また人の心を…。
一体、どこまで読めるんだ?
「だから言ったろ? 俺達はサボりアリなんだ」
働きアリの話は覚えている。必ず七割と三割に分かれる…と。
「不真面目な奴ってのは、周りに真面目な奴が居ると不安になるんだ。その結果、挫折…。でも、不真面目だらけになれば、自分の真面目さに気付く時もある。人間誰でも、一つくらい良い所はある。それに普通の生活じゃ気付けない。でも、この学校に来れば…………な?」
俺が真面目…?
俺の良い所…?
確かに、今まではそんな事考えた事なかった。
自分はどうしようもない馬鹿だと。クズな人間だと。
それがこの学校に来てから、見方が変わった。
同じような奴がたくさん居る。
安心した。でも正直、不安だった。
ここだけで、こんなにも不真面目な奴がいるのかと。
「確かに教師の外見は恐い。だが、それを武器に脅されるような事はされてないはずだ。用は、自分が成長するにも変わるにも、経験が大切って事だな」
俺は色んな事を学んだ。
そして、これからもたくさんの事を学べるのだろう。…この学校で。
「しんみりしちゃったな。寮に帰ろう。話は、そこでゆっくりするさ」
『そうだな。ステーキ、ご馳走様』
俺達はファミレスを出た。
夜空は空気が澄んでるおかげで、星が綺麗だった。星を綺麗だと思う事も久しぶりだ。
ーーーーーーー
寮に戻ると、人影が四つ、固まっているのが見えた。嫌な予感がする。
『………一葵』
「……《また》か」
また? 知り合いなのか、アイツら?
一葵は、ふぅ、とため息をつくと、覚悟を決めたように人影の元へ近寄っていく。
俺も慌てて後を追う。徐々に近づくたびに、相手の顔がハッキリ分かるようになった。
……坊主の兄ちゃん?
さっきまで麻雀をやってた…。そいつが仲間と思われる奴を三人も連れてきやがった。
「ボウズ、さっきの金、返してもらえるか?」
坊主の奴にボウズって言われたくねぇよ。
これは、あれか。仕返しってやつですか。あらやだ、物騒な世の中になったもんねぇ奥さん。
「渡さねぇよ?」
一葵が言った。なんかちょっとカッコイイのが釈だな。
「じゃあ痛い目みてもらうぜ」
坊主が走ってくると同時に、相手全員も押し寄せてくる。
二対四かよ。一人頭二人相手って事かな。
ってかコイツらもここの生徒だよな? 顔見た事ないけど。
だったら、喧嘩がバレた時のペナルティー(前にレイナが言ってた)とか気にしないんかな?
まぁ今は暗いし、周りに人はいない。
人はいないって言っても、ここは寮の裏庭だぞ? 絶対通報されるだろ。ってかコイツら馬鹿だろ。待ち伏せは良いとしても、場所を選べって感じだよ、全く…。
………いや、待てよ。
そうか、ここはCクラス用の寮だ。俺達はBクラスになったが、それは明日の月曜日から。今はまだCクラスという事になっている。
この学校はクラスによって寮が分かれている。それは勉強する校舎も同じ事。
つまり、この学校は第三校舎まで存在する。
それに、地域で区切られている。
ここら一帯はCクラスの地域だ。A、Bクラスの人は滅多に来ない。来る理由がないからだ。強いて言うなら、クラスが違う友人に会う時だけ、だろうか?
そして……今、この時間帯は…Cクラスの連中は
…食事の時間だ。
今は寮に居る生徒は居ないだろう。
食堂だけは全クラス共有なので、三つの寮の中心に食堂が存在する。
無料で飯を食える(食費は学費に含まれ、払うのは一般的に親)のだから、今日の俺達の様に外食していない生徒は必ず利用する。
毎回毎回外食ってわけにもいかないからな。
通りで部屋が暗いわけだ。外から見ても電気の明かり一つ付いていない。
静まり返った寮はなんか不気味だ。でも、外出時の戸締まりと電気の付けっぱなしは注意しなくてはならないから仕方ない。
あながち馬鹿ってわけでもない…か、うん。
「ジン、俺の能力に疑問持ってるよな?」
『こんな非常事に何だよ?』
「よーーく見とけ。そしてカッコイイ俺の姿をムビッとけ!」
ムビるって…。こんな暗いのに携帯の動画じゃ無理があるだろ。
「らああぁあ!」
坊主が一葵目掛けて右ストレートを繰り出してくる。
金を持っているのは一葵だから、まずは第一の標的とされているのだろう。
「甘〜〜い!」
とかふざけた口調で言いながらヒラリと避ける一葵。
もう少し緊張感を持ったらどうかね?
「………このっ、このぉ!」
「……ふっ、ほっ!」
坊主のパンチラッシュを余裕で避けまくる一葵。…スゲェなアイツ。この暗い視界でよくやるよ。
一方的に攻撃している坊主の方が、既に肩で息をしだしている。
かたや一葵は息一つ切らさず、反撃もしない程。反撃の余地などいくらでもあるはずなのに。
まぁ、ポケットに手ぇ入れてんだから反撃は無理か。
そのスタイルが気に入らないのか、坊主はさらにムキになってる。まぁ当たり前だよね。自分が必死で攻撃してんのに、相手はポケットに手ぇ突っ込んで余裕こいてんだからさ。
「うあぁああ!」
視界の不良により、いつの間にか坊主の仲間の一人が一葵の後ろに忍び寄っていた。
花壇のレンガを一葵の頭目掛けて振り下ろす。
…危ねぇ、一葵!
「知ってたよ」
クルッと後ろを振り返り、レンガが頭上に落ちる前に一葵の拳が相手の腹を撃ち抜いていた。
「ごはぁ!」
殴られた相手は口から変な汁を吐きながら後方へ飛ばされていく。
殴られた拍子に、相手はその反動で無意識に手放したレンガをキャッチした一葵。
やべぇ。ちょっと……いや、めっちゃカッコイイ…!
そしてそのレンガを高く掲げ……!
「ジェンガーー!」
ゴメンやっぱ馬鹿だコイツ。
「この…」
相手は仲間がやられた事で、さらに頭に血が上っているようだ。
坊主がまたしても一葵目掛けて突進していく。
「左フックは劣り。本命はそのまま一回転した後に勢い付けた右回し逆蹴り」
一葵の一言で、走っていた坊主の動きがビタッと止まる。
「…は!?」
「何言ってんだコイツ。なんで俺の考えてる事が分かんだよ」
「なっ、なっ…」
ちなみに、言葉にならない事を言ってるのが坊主で、何言ってんだコイツ〜は一葵だ。
どうやら、一葵が今まで避けられていたのは、能力のおかげらしい。
相手の考えが分かるって事は、どんな攻撃をしてくるかも分かるって事。
これは、喧嘩にとって頼もしい能力だ。
「やべぇ、コイツやべぇよ。人の心読めるとかマジかよ」
「やっ、辞めろ…」
そして、読み切った心の声を一葵は本人の前で声に出している。
坊主からしたら最高に気持ち悪いだろうな。
「もし本当に俺の心が読めてるとしたら、俺の秘密がバレちまうー」
「辞めろー! これ以上言うなー!」
じゃあ坊主もわざわざ考えなければ良いのに……と、思うが、考えるなと意識すればするほど考えてしまうのが人間の性ってやつだ。
「妹萌え〜……か。ぷぷっ。まぁ…ぷっ。性癖は人それぞれだぷぷぷー」
「いやあぁあー!」
うわあードン引きー。
坊主ってそういう人だったんだー。
おそらく、坊主の仲間達も俺と同じ事を思った事だろう。
一葵、笑い堪えるも、台詞の途中で何回か吹き出してるし。
坊主は耳を塞いで首を横にブンブン降ってる。ちょっと可愛い。
「くそ…ちくしょう…よくも…!」
坊主の雰囲気が変わった…?
《ブチ切れ》ってやつかな?
その時、一葵が何かに気付いたように反応した。
「ジン! そっち行くぞ!」
一葵が叫ぶと同時に、突然坊主が俺目掛けて突進してきた。
「うらぁ!」
全力助走の勢いを付けての回し蹴りだった。
一葵の助言のおかげで反応ができた。視界が悪いから助かったぜ。直撃は痛いからね。
でも、避けられる程の余裕はなかった。
と、いうか、蹴りは避ける事は難しい。理由としては、目線より下から来るからだ。
やはりどうしても体が反応できないのだ。
さっき一葵はホイホイ避けてたが、勘違いしないでいただきたい。一葵は異常だ。
となれば、受け止めるしかねぇ…か。
右蹴り? ならば…!
俺は一瞬で状況整理を行う。
坊主は体格は良いが、身長は低い。
髪型は坊主。
縦よりも横に広い。
足短い。
髪型は坊主。
朝とかセットいらずで楽そう。
デブって言ったら怒りそう。
やっぱり髪型は坊主。
何回見ても坊主。
一瞬髪伸びた気がした。
気のせいだった。
やっぱり坊主!
そしてあの短い足じゃ俺の顔まで足は届かない。
結論、狙いは腕だ!
この無駄に速い計算と判断を勉強に使いたいものだな。
予想通り、坊主の足が腕目掛けて飛んでくる。
本当なら肘をぶつけてカウンターを入れたいところだが、視界の悪い今、一点張りのカウンター行為は危ない。
無難に筋肉の部分でガードするか。んで、その後に反撃しよ。血で精算してもらうんだ♪
足が肩と衝突する瞬間、俺は腕の筋肉にグッと力を入れる。
ちょっと痛いけど我慢しーーーー
『ぐわあぁ!』
蹴りを喰らった瞬間、文字通り俺は《ふっ飛んだ》。
尋常じゃない痛みが腕を襲う。
え、何?
何で?
何だ、この蹴り?
人間の蹴りの威力じゃ…
…………!!!
暗くて気付かなかった。
あの野郎…《安全靴》なんか履いてやがる…。
安全靴とは、主に工事現場などで使用する靴の事で、普通の靴に比べると特殊な造りになっている。
つま先の部分に鉄板が仕込んであるのだ。
これは本来、工事などで重い物が落下しても足が守られるようになっている。
そんなもん履いて蹴って……くんな…よ…。
「ジーーン!!」
一葵の声が聞こえる。なんか周りの景色ゆっくりになってる。
おー…スローモーショーン。
あー…地面コンクリートなんだよなー…。
頭打ってアバババってなるんかなー…。
《希望は捨てちゃ駄目》
そんな声が聞こえた。
誰の声?
女?
ヒナ…じゃないな。
レイナでもマヤでもユキでもない。
でも、若い女性の声だった。
地面にたたき付けられる。
その衝撃はたいした事はない。
『花壇…』
偶然にも、すぐ横には花壇があった。
土が衝撃を吸収してくれたみたいだ。
………スノードロップ?
あぁ、そうか。ユキが作った花壇が…そしてスノードロップが守ってくれたんだ。
さっきの声って、もしかして………。
俺は起き上がる。腕がズキズキと痛む。が、幸い俺は右利きだ。左腕を負傷しても問題ない。
ゴメンな、ユキ。
ゴメンな、マヤ。
お前らが大切に育ててたスノードロップ、潰しちまったよ。
丁寧に手入れされていた花壇、ぐちゃぐちゃに壊しちまったよ。
あーーマジ最悪。
暗くて視界が悪いのに…
さらに変な汁が目から出てきて視界が悪くなりやがった。
「あれ? コイツ泣いちゃってるよ! そんなに俺の蹴り痛かった?」
痛みで流れてきたんじゃねぇ……!
『ぶっ殺す!!!』
俺は勢い良く坊主に突っ込んで行った。
「正面からくるとは…おもしれぇ!」
ばーか。正面から行くわけねぇだろ。
体格的に不利だ。たぶん、力は俺の方が弱い。
でも、喧嘩ってのは力だけじゃない。技によって力は活きる。
一葵のおかげで分かった。坊主の戦闘スタイルは力で押すだけの、ただのパワー馬鹿。
ならば、坊主には動いてもらうよん♪
『らぁ!』
俺は坊主の前でしゃがみ込み、左すね目掛けて蹴りを突き出した。
「おっと」
坊主はそれを、足を上げて避ける。
『ふっ!』
続けて突き出した足を左に捻り、坊主の右足に向けて水平蹴りをする。
「よっ」
坊主は俺の足が通り過ぎた場所、つまり最初に立っていた位置に上げていた左足を下ろし、今度は右足を上げてそれを避ける。
デブのくせに、機敏な動きをする…のは、《させている》からだ。
そう、わざと避けさせている。
そろそろフィニッシュだな。
水平蹴りを避けられ、俺はそのまま遠心力で一回転する。
体制としては、蛙が座っている姿と全く同じ格好だ。
計算通りだ、問題ない。
俺はこの体制のまま、隙を……チャンスのタイミングを計っている。
そして、坊主の上げた右足が、地面に下りてくる。
地面に足が着きそうになった、その刹那ーー
俺は蛙体制から坊主のあご目掛けてアッパーカットを繰り出した。
坊主は後ろに避ける。
なーに、これも予定通り。
問題は、ここからだ。上手くいってくれ…!
次の瞬間、坊主は後ろに倒れていた。
ーー計算通り!!
なぜ倒れたのか分からない坊主に、馬乗りの体制になりタコ殴り。
……と、しようとしたが、一発殴っただけで一葵に止められた。それに坊主も意識が朦朧としている。
「な…んで?」
『安全靴って滑るんだぜ?』
「……すべ…」
『特に、地面が濡れてると…ね。しかも、お前が今まで立っていた場所は…』
「ま…マンホール…」
俺は歳をごまかして、工事現場でバイトをしていた事があったのだ。その時に安全靴を履いていたから知っている。
普通の靴より、安全靴は滑りやすい…と。
さらにさらに、マンホールは濡れている。まぁ、濡れてるからこんな手段を取ったんだけどね。
マンホールは濡れてると滑りやすい。その上、安全靴。このコンボなら滑って転ぶだろうと思った。
そして、足が着く瞬間に、あご目掛けたアッパーで相手の重心を後ろに傾けさせる。
すると、意識的にアッパーを避けようとするため、足は無防備になる。
結果、かかとから着地。そのままツルンというわけです。
「雨なんか降ってねぇ…のに…なんで…ここだけ…」
『それはな、花壇の前だからだよ』
さっき花壇に突っ込んだ時に気付いた。スノードロップと、土が濡れている事に。
おそらく、ユキが食堂に行く前にスノードロップに水をやりに来たんだろう。
《水のやり過ぎには注意しろな》
《平気》
ユキは、じょうろに組んだ水を全部花にくれていた。
でも、今日は違った。
昨日ヒナとレイナと買い物に付き合う前にユキは《寄る所がある》と言って帰った。
俺の勝手な読みだが、あの時ユキは、スノードロップについて調べに行ったのではないだろうか?
だから昨日は知らなかった花の名前を知っていた。
そして、水のやり過ぎには気をつけなくてはいけない事を学んだ。
これも俺の勝手な読みだが、余った水を花壇の外に流したのではないかと。
だから、花壇の外も濡れている。
坊主は暗さのせいで気付かなかったみたいだったが、俺は蛙体制の時に、手を地面に着けているので、濡れている事を察知した…と、いうわけだ。
「いや、普通に倒せば良かろうに。ジンなら、こんな面倒な事しなくても勝てるだろ?」
一葵が不思議そうに尋ねてくる。
『悔しかったんだ…。だから、《ユキの毎日の水やりの努力》で勝ちたかった。ただ、それだけの事だ』
「今のジンを、ユキが見たら惚れるんだろうなぁ〜………………ん? (あーー! ユキ居たー! 物影に隠れてこっちジーッて見てるーー! まさかのジンとユキのフラグが立つのか!?)」
ユキが俺に惚れるだって?
馬鹿言うなよ。むしろ、この状況見たら悲しむだろ。
それより、花壇どうしよ…。
マヤには怒鳴られるだろう…。
ユキはもっと無口になるだろう…。いや、下手したら口きいてもらえないかも…。
「…能力発動。ユキの思考を読み取る」
(ジン…あ、り、が、と)
(ユキから好意キターー!)
うわーやべー。
どうしよ…よし、とりあえず花壇を直して…しばらくユキから距離を置こう!
ユキ見かけたらすぐ逃げよう!
んで、直した花壇見たユキが違和感なさそうだったら、また話しかけよう!
(ジンの馬鹿ー! フラグ折れるー! ってか既にユキにバレてるからね!)
「正直にユキに言った方が良いと思うぞ?」
『いや、ユキってさ、あぁ見えて根に持ちそうだからさ』
(………ムカッ)
「(馬鹿ヤロー…!)い、いやぁ〜ユキは許してくれるって!」
『でもさ、ユキってまだ子供じゃん? 同い年に見えないってかさ、まー幼児体系だしね』
(…………嫌い)
「ジン、お前これから大変だぞ?(色んな意味で)」
『そうだよ、大変だよ。よっしゃ、気合い入れて花壇直すか!』
「お、おう…(…あ、ユキ帰っちゃった)」
『良く見るとさ、スノードロップってユキに似て可愛いよな。健気で純粋で…』
「そうだな…(もっと早くその台詞言えよ!)」
その後、坊主と仲間達にも強制的に手伝わせ、なんとか花壇は元通りになった。
潰してしまったスノードロップを取り除き、そのスペースに無事だったスノードロップを埋め変える。
やはり本数が少なくなってしまったため、違和感があるのは否めない。
毎日見てるユキはすぐ気付いてしまうだろうなぁ…。
でも待てよ…。
俺がやったって分かるわけないもんな、うん。
よし、これからは今まで通りにユキと接しよう!
次の日からと言うものの、ユキに話し掛けても態度が冷たいんだが、俺は何かしたのだろうか…?
やっと投稿できました。ちょっと一葵とジンをかっこよく書きすぎたかな…(^_^;)? 次回は一葵の過去話です。