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教訓その十二〜花言葉ってスゲェんだな!

更新遅れました…。それでも待っててくれた方(いるかな(-.-;)?)ありがとうございます! 今回は文字数少なめですが、次回の伏線ということにしておいて下さい。


チャリン




『……ひもじい音だ』



俺は財布の中身広げ、我が全財産の全てを床に落とした。



もう金って金貨だよね? 紙じゃないよね? って勘違いしてしまいそうです。



昨日の買い物が響いたな…まぁその分たくさんの服に囲まれているのだが…。



さすがにヤバイ。ってか月一の仕送りの日に親が金を送ってくれるとも考えにくいし。



「どうしたぁ、ジンくん」


『いや、今月……ってか金がピンチ』


「ふむ、仕送りの見込みがナシ…か。それは辛いな」


この野郎、人の心読むんじゃねぇやい。


『その通りだ。ここじゃバイトとかできねぇのか?』


「できる事はできる。…が、ジンはまだ15才だろ。年齢制限があるため………アウツ」


…ちっ、確かにここじゃ年齢をごまかす事もできないしな。


ここに来る前は、金に困ったら日払いのバイトなんかをよくやってたんだけどなぁ。


周りの連中はカツアゲや万引きをやっていたが、俺はそういった行動だけはしなかった。


グループの中には居たから、先生や親に、俺も犯行者の一員として見られていたが、実際は手を出していない。


連中の行為を止められなかったのだから、罪は同罪扱いでも、何も文句は言えない。


ちなみにカツアゲや万引きで得た物でも、俺は一切受け取らなかった。


理由としては、なんかカッコわりぃからだ。


特に深い理由ではない。ただ、プライドが許さなかっただけ。それだけの事だ。



しかし、プライドだけじゃどうする事もできない時もある。


つまり、今の俺の状況だ。いつまで居るかも分からない様な所に預けられ、金の収入源もない。


これはリアルに困ったな…。生活する事自体に金は必要ないが、無一文ってわけにもいかない…。


そう、俺には《希望》なんか……ないんだ。



「じゃあ、稼ぎに行くか?」


突然一葵が立ち上がり、外出の準備を始めた。


『稼ぎって……まさか、カツアゲとかか?』


もしそうだったら、一葵を少し見損なうぞ。


「俺はそんな事しねぇよ。…いや、まぁ…下手したらカツアゲよりたちわりぃかもしんねぇ」


不気味な笑い方をしやがった。一体、一葵は何をやるつもりなんだ?

カツアゲより質が悪いだと…?


「今日は日曜だからな、昼間でもヒマしてる奴がたくさん居るだろ」


一葵は私服に着替えると、とっとと玄関に向かって行った。


俺も慌てて後を追う。


寮から出ると、冬にも関わらず眩しい太陽が俺達を迎えてくれた。


あぁ太陽よ、眩しいのは構わないが、どうせならもっと暖かくしてくれ。


と、まぁ日本の四季を無視した様な発言は辞めておくか。


「おはよう」


『お、ユキ。おはよー。今日も花に水やりか?』


「うん」


寮を出たすぐ裏には花壇があるため、外出の時には必ずしもここを通る。そのため、花壇に通うユキとの遭遇確率は極めて高いのだ。


まぁ…高いと言っても《他の生徒に比べれば》だがな。それに部屋の窓からは花壇が見える。ユキは知らないだろうが、俺は結構ユキを見ているのだ。


『水のやり過ぎには注意しろな』


「平気」


『じゃあ、俺は一葵と出かけるから。またな!』


ユキに軽く手を振り、振り返ろうとしたーーーその時


グイっと服を掴まれた。


『なっ、何だ?』


「スノードロップ」


『………はい?』


「花。スノードロップ」


『この花の名前が、スノードロップっていうの?』


ユキは、コクりと頷いた。でも、何で今それを俺に…


あ、もしかして、この前聞いたからか?

それをいまさら?


「スノードロップ。綺麗?」


しかしユキはホントに無表情だな…。声色こわいろも淡々としてるし、一定の高さだ。


そもそも疑問詞なのかも分からない。綺麗だと言いたいのか、綺麗かと聞いているのか…。


『綺麗だな。冬のクソ寒い時期に頑張って咲いてるよな、うん』


なんとなーく話しを合わせているものの、俺はそこまで花が好きなわけじゃない。



「花言葉は《希望》」


『…希望?』


ーー俺に希望はない。

ついさっきまで、そう考えていただけに、その言葉に敏感に反応してしまった。


「冬、寒い。遭難した旅人は、諦めた。でも、その時妖精が現れた。《もう少しで春だから、希望は捨てちゃ駄目》。妖精は、そう言って、一面の雪を花に変えた。その花が、これ、スノードロップ」



俺はユキの台詞をポカーンと口を開けて聞いている事しかできなかった。


驚いた。もう驚いた事が山ほどある。


とりあえず、ユキが一度にこんなに喋るのが珍しかった。


それに、妖精って…まぁ、このスノードロップのおとぎ話みたいなものなんだろうが、ユキがこんなにメルヘンチックな子だったとは…。



そして一葵じゃないが、まるでユキは俺の心を見透かしているようだったからだ。


『希望は捨てちゃ駄目…か。ありがとな、ユキ』


「…………?」


ユキ何故感謝されたか分かっていないような顔をしていたが、俺にとっては励みになった。



スノードロップ…か。良い響きだ。


小さくて真っ白い雪が、ドロップのように丸く咲いてるからこの名称になったのだろうと思う。


不覚にも、下向きに健気に咲くその花に、一瞬心を奪われた。


照れ臭いが、今度水やりに付き合わせてもらおっかな。



「あのー…俺の事忘れてません?」


あぁ、一葵の事すっかり忘れてたよ。


『わりぃ、行こうか。じゃあな、ユキ』


「うん。また」


今度こそユキに別れを告げ、不機嫌そうな一葵と一緒に街へと出掛けて行った。

スノードロップ…別名、『松雪草』というらしいです。 さて、次回のヤクザの学校はーー今まであやふやだった一葵君の能力がフル活用されます。さらにジン君が暴走します。遅くても20日までには更新しますので、暖かい目で見守っていて下さいm(__)m

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