第四章(1)
……重ねし刃にかけて誓う。我ら五人、この荒ぶる混迷の世を、心のままに凛として生き抜き、この桜のように潔く散らんことを……
春の嵐のような強い風が吹き荒れ、桜吹雪の舞う薄曇りの空の下、五人の若者 ーー いや少年少女たちが、互いに向き合い、その背に余るほどの剣を鞘から抜き、刃を重ねあわせていた。
……わたしは、新しい国を作る。草莽崛起の思想の下、皆が自己犠牲と奉仕の精神に溢れた、上も下もない、真に平等なる国家を、必ず作る……
……あたしは、将人様の夢をお手伝いするわ!……
……僕も、将人についていくよ。難しいことは分からないけど、みんなで助け合わなきゃね。あとは、汚れてしまった海や川を、元通りきれいにしたいなあ……
……俺も一緒にやろう。一度きりの人生だ。死ぬ時は葬送の火などではなく、逆巻く野望の炎の中で……
三人の少年と一人の少女がそれぞれの夢と誓いを告げた後、どこかで見たような、総髪で和装に雪駄という時代錯誤な出で立ち、そして"生意気"という言葉がそのまま実体化したような、こまっしゃくれたやんちゃ顔の少年が、最後にこう宣言した。
……わしは……やりたいようにやる。風の向くまま、気の向くままじゃ。まあ、将人とおまえ達がわしと一緒にやりたいと言うなら、手伝ってやらんこともないがの……
この総髪の少年の高慢な物言いはもはやお約束なのか、他の少年たちは"またいつもの病気が始まったか"という感じの呆れたような苦笑いを浮かべていたが、そこには嫌悪感はなく、むしろこの少年のこういった性格を面白がり、好ましく思っているようでさえあった。
少女を除いては。
……なによこのひねくれ者! 素直に「みんなと一緒にいたい」って言いなさいよ……
……やかましい。すぐに群れたがる女子供とわしを一緒にするな……
……ふん! いいわよ、後でやっぱり仲間に入れてくれって言ったって遅いからね!……
……馬鹿を言え。おまえみたいな未熟者と仲間などと、こちらから願い下げじゃ……
恒例の儀式のように始まった少年と少女の言い争いに、五人の中では最も年長と思われる、子供とは思えないほどに知的で大人びた雰囲気の、他の四人から将人と呼ばれている少年が割って入った。
……こらこらやめんか。おまえたち二人、仲が良いんだか悪いんだか分からんな……
少年は続けた。
……天一郎、おまえにその気があるなら、一緒にやろう。我ら五人が力を合わせれば、不可能なことなど何もない。何もかもが崩壊し、一から国を作り直せる。こんなチャンスは二度とないぞ……
……わしは国作りには興味は無い。だが、竹馬の友の頼みとあらば、力添えすることにやぶさかではない。わしが必要か?……
……必要だ。わたしに力を貸してくれ。天一郎……
……天一郎……
……天一郎……




