日常から冒険へ そして、神々との接触
楽園の果て たみえ
プロローグ
人類は表面上、平和な毎日をおくっていた。それは、一部の人々とって毎日が平和すぎる程で、裏をとって悪く言えば、退屈でしかたない日々だった。
―――それが一瞬で変わった。
全く不思議な事が起きた。
「核が消えています!」
と各国の首脳たちは連絡をうけた。
人々の大量の命を脅かす(おびやかす)、原子爆弾、水素爆弾(水爆)がなくなった。
化学兵器を大量にもっている軍隊、特殊部隊は唖然とした。
一夜で、世界の科学兵器がなくなり、警察が装着していた銃一丁さえもなくなったのだ。
もちろん、動物を捕獲する銃でさえなくなった。
兵器ではないが、人々が声を上げて反対する原子炉もなくなった。
ロケットも、人々に希望を与える有人型ロケット、宇宙船も消えた。
科学製品の中でも、テレビ、携帯、パソコンはなくならず、動いた。
車は「ブロロロッ・・・プスンッ。」
「なぜ、動かない?」
人々の足である、車、電車は消えなかったが、どういう訳だか動かなくなった。
連日のように、交通という足をとられたテレビ、新聞、ラジオ、ネットは大きくそれを伝えた。
地上は、大きな希望と絶望を与え、核と銃がなくなった世界は、一部の人を除いて楽園になったように思われた。
しかし、これが新たな地獄の始まりだった。
化学兵器が無くなるという、ひずみなのか、魔物、怪物いわゆるモンスターがでてくるようになった。
それに伴い、人類も魔法が使える者がでてきた。
そして、モンスター対策のため、魔法使いはもちろん、武術をつかえる者たちも珍重されるようになった。
モンスターは人が住む、住まない問わず各地に現れた。
幸いモンスターの知能が低かったため、人々はモンスターの現れない所に逃げ、高い塀を作り囲み、飛行型モンスター対策に魔法使いたちは、塀のなかを結界で守った。
まるでRPGゲームの中のようだった。
それから二十年が過ぎた頃―――。
第一章 日常から冒険へ
「お父さんはな。若い頃、野球をやっていたんだぞ。」
意思の強そうな黒い瞳の三十代の男が言う。
「やきゅう、好き。」
その息子である小さな男の子、オカモト ショウはうなずく。
モンスターが発生してから、スポーツ選手は武人、軍人へと変遷を迫られた。
それでも野球は、娯楽として、人気の高いスポーツだった。
ショウの父であるショウジは、野球選手だったが、別の都市に移動している最中、モンスターに襲われ、妻が殺されてから、軍人になる決意をして、軍人になったのだった。
二年前、軍で、ショウジは塀をモンスターから守っていた最中、多少負傷したが、モンスターに勝った。息子の「いたいの、いたいのとんでいけー。」で、ショウジの傷は治った。
小さい子の言葉、言霊で魔法が効く事は、ショウジを、“いずれ、息子が偉大な何かになる”と確信させた。
一時は、世界のおよそ三分の一は、モンスターに占拠されたが、三十年経った今では、人類の知恵、魔法の力、軍力によって大分、モンスターから土地を取り戻した。
海に魔法科学の力で、結界を張って漁業が安心して出来るようになった話は古くない。
日本は、風水がよいためか、東京と京都がモンスターが現れにくく、立派な壁と結界で、おおわれていた。
さらにモンスターによる外国人難民も受け入れたため、日本の多国籍化は一層、高まった。
東京、オカモト ショウ17歳。父子仲良く育った、髪がショートカットのごく普通の男の子。
「ちょっと、郊外の廃墟で冒険にいってもいいか?といってもヘリョリン倒しに行くだけだからさぁ。」
ヘリョリンというモンスターは、丸いゼリーにかわいい点の目が2つ、猫みたいな口、三本の指の30~50cm(伸ばすともっと伸びる)の腕だか足だかが2本ついている。モンスターとしては最弱だ。
ヘリョリンは、緑(青)草食、黄 雑食、赤 肉食と信号と同じく危険性をあらわしており、赤色は好戦的で噛みついてくる。
ショウは、父、ショウジから剣術を習っており、なかなかの腕で、魔法も特に習っていないが、けっこう使える。
「いいが、万が一を考えて、ダリレル君も連れて行きなさい。」
「冒険についてこいって? それは、賢明な判断だな。一人では危険だからな。」
とダリレルは前髪をかき上げる仕草をした。
ダリレルは黒髪の長髪で、顔はなかなかの二枚目だが、裸にチョッキで丸い腹が出ている…いわゆるカンチガイヤロー。
だが、剣の腕はショウと張り合える程だ。
街のレストランの前で二人は立ち止まった。それはダリレルが立ち止まったからで、ショウは嫌な予感がして、本当は、そこから走り去りたかった。
「ここでおごってくれたら、ついていってもいいぜ。」
ショウは渋い顔をした。
レストランに入ると、
「俺はお冷で十分です。」
「まずは、ステーキだよな。」
とあっ、という間にダリレルは皿の上のものをたいらげた。
「次は、チーズと目玉焼きのせビッグハンバーグだな。」
レストランで結局ショウは、ステーキ、チーズと目玉焼きと濃厚ソースののった大きいハンバーグ、大盛のナポリタン、シーフードグラタン、さばの味噌煮と大盛ごはんと味噌汁の定食、タワーサンドイッチ、長崎ちゃんぽん、色んな具材がのったデラックスピッツァetc.と大量の料理をおごる羽目になった。
ダリレルは、食べ方が汚く、食べ物が大量に頬についても気にせず、よく噛みもせず、飲み込むように食べるから嫌だったのだ。それに散財だし。
とりあえず、ダリレルが仲間に加わった。
ダリレルの過去を少し明かすと、小さい頃、両親を目の前でモンスターに殺されて、ショウの近所の親戚にひきとられた、いわば暗い過去を背負っている二枚目(出っ張った腹をのぞく)だ。
本名はダリレルという名じゃないらしいのだが、本名は教えてくれない。
ダリレルの親戚の人も本名は知らないので、『ダリレル君』と呼んでいる。
それにしても、ダリレルの親戚の人はダリレルに、少しでも食事のマナーを教えた方がいいと思っているショウだった。
ショウとダリレルは、街の塀の外のかつて人が住んでいた廃墟のモンスター退治、ヘニョリン退治に行った。
最初、一匹、二匹、三匹と順調にヘニョリン倒していくと、ヘニョリンの生息場所、人気のないビルに着いた。
「ここがヘニョリンの第一生息場か。いくぞ!」
ダリレルが偉そうに指揮をとった。
「わかっている。」
ショウも応える。
ヘニョリンは、ショウたちの気配を察してか、集まってくる。
三色のヘニョリンの群れがあらわれた。
だが、ショウは刃の付いたブーメラン、ダリレルは鞭であっと言う間に群れを片付けた。
「相手にもならないな。」
「まったくだ。」
ショウの意見にダリレルは素直にうなずいた。
「強い魔力が使われた気配を感じる。」
そうショウは言ってふらっと階段を上り、奥へずんずんとむかった。
「ちょっと待てよ。」
ダリレルの腹は揺れ、ショウのあとを駆け足でついていった。
ビルの廃墟の所々にヘニョリンがいるが無視して、強い魔力が使われたとショウが思った先に行くと、へニョリンの群れの中に、黒髪のおかっぱの眼鏡をした、黒いワンピースを着たショウと同じくらいの年の女の子が倒れていた。
「大丈夫か!?」
ショウはヘニョリンを吹き飛ばし、駆け寄った。ダリレルも続けて行った。
「私…なんとか大丈夫。魔法の使いすぎでMPがなくなって倒れちゃった。」
黒髪の女の子は、ショウに抱きかかれながら、弱々しい声で言った。ショウは、抱えながら言う。
「俺が来たって。大丈夫だから、休みな。」
「オレもついているぞ。」
とダリレルは、おなかを出しながら言った。
「休まなくても大丈夫…あのね、キスしていい?」
「なっ?」
男子二名は、顔を赤くした。
ダリレルに魔力はないので、女の子は、ショウに言った。
「口を重ねて魔力(MP)もらいたいの。ダメかしら?」
「キスは誰でもいいって訳がないだろう?」
「私は魔力が強い…あなたが好みだわ。」
と女の子が言った。
「名前も知らない娘と…。」
「私、アリムラ ナナ。」
「俺はオカモト ショウ。」
2人の世界にダリレルが口を出してきて、
「オレは、ダリレル。」と言った。
ナナは眼鏡を外した。気の強そうな瞳だが、目がくりくりしていて、かわいいとショウは思った。
「ダリレル、人助けのためだ。後ろ向いていろ。」
「あー、はい。はい。」
ダリレルは、だるそうに言った。
ショウとナナは唇を重ねた。
一瞬だったが、二人は長く感じた。
ショウは魔力をとられて、体がだるくなってきた。ナナは元気になっていくのが、顔色でわかった。
「ありがとう。助かった。もしかしてファーストキスだった? ごめんね。」
ナナは眼鏡をかけ直してお茶目に言った。
「・・・・・・。」
ショウは、ファーストキスだったが、なんだか恥ずかしくて言えなかった。
「私のは、ファーストキスだったんだから。」
ナナは改めて、顔を少し赤らめた。
ダリレルは独り、向かってくるヘニョリンを、鞭でペシペシ叩いていた。
いったん、パーティーはナナも加わり、ショウ、ダリレル、ナナは、家や宿に帰った。
実際は遠方に住むナナは、ショウの家に泊まるという案があったが、ダリレルが、
「却下!」
と偉そうに言った。ショウは父親に写メして、ナナが仲間に加わった事を報告したら、
「かわいい娘じゃないか。でも、嫁入り前の娘を実家に泊めたら、お前眠れないだろ。(笑)」
と冗談交じりのナナを気づかった返信が来たので、ショウとショウジの家の近くのすぐ泊まれる格安の宿をナナに紹介してあげた。
次の朝、ショウの父はおかしな事を言った。
「ショウ…俺の氏…タニモト?じゃなかったけ?」
「はぁ? 俺の名は、オカモト ショウでうまれて生きて17年間通ってきたぞ。じゃあなにか、丘じゃなくて谷、タニモトだって事か?」
「いや、そんな気がしただけだ。忘れろ。」
「親父、とぼけた事を言って大丈夫かぁ? とりあえず、俺ら3人で冒険にいってくるからな。」
「ああ、行ってこい、気をつけてな。」
合流して、一晩たって、ナナが元気になってから色々と聞いた。
あのビル(はいきょ)でヘニョリンをおいしく食べられるようになる魔法を開発しようとしていたらしい。失敗続きで、おいしい食べ物にしようとするのに夢中で魔力が切れてしまったと言うのだ。
ちなみにヘリョリンは、赤以外(赤はとても血生臭くて食べれない)、調理したら珍味として、又は魔力回復として食す事がある。ショウも緑(青)、黄のヘニョリンをそれぞれ一口食べた事があるが、世界には美味しい青汁もあるが、緑はおいしくない青汁をさらに青くさくしたような味で、黄は、青くささ+血生臭さでとても箸がすすむものではなかった。
ナナは、
「魔法は奥が深いから好き。パソコンに魔法をうちこんでも作用しないのよねぇ。銃、核がなくなったのも不思議だけど。」
心霊マンガがコンピューターと相性が悪いように(だそうだ)、魔法もコンピューターと相性が悪かった。
なので、某ゲームのように、とても、悪魔召喚プログラムなど出来はしなかった。
「金稼ぎと名声を上げたいな…。」
とショウは、からっぽの財布の中身を見ながら、ぼんやり言った。
お金を持っている敵は、一部の敵しかいない。ヘニョリンを倒しても食材にしなくては、一銭にもならない。
「それだったら、賞金首を倒して証拠を役所に見せる事ね。冒険者の常識だけど。」
さっそく役所へ行って、賞金首のポスターを見た。揃いも揃ってドラゴンなど強い敵ばかりだった。
「この中で一番場所が近くて、弱い敵はキマイラね。」
ナナは役所の掲示板を指して言った。
「俺らのレベルじゃあ、ギリギリ倒せるかどうかだな。」
「私が眠らせる魔法をもってるから大丈夫よ。眠らせた後に倒せばいいんだから。」
「頼もしいな。」
男たちは言った。
「場所はえっ…と西の山の山頂付近の土産屋に住みついたって。」
「結界の外へ出たら、西の山近くの所までワープの呪文で行くわよ。」
街にめぐらせた結界の中では、回復魔法、識別魔法等が使えて、ワープの魔法や攻撃魔法が使えない
「ナナは、西の山付近に行った事があるのか?」
「うん。」
ワープの魔法は一度以上行ったことがある所にしか行けなかった。
「ますます頼もしいな。」
ショウは、そう言い、ダリレルもうなずいた。
――結界の外、西よりの廃墟でナナは集中し、ワープの魔法を唱える。
「天よ。風よ。我々を西の山付近に連れて行ってくれたまえ。」
パーティーは一瞬で西の山付近に着いた。
(改めて、すごいな魔法って。)と魔法の使えないダリレルは思ったが、プライドで言わなかった。
目的地まで歩いて20分とかからなかった。途中の敵は、ゴブリンと樹のおばけ、ウッドマンくらいだった。ショウのパーティーに比べ、雑魚だった。
「ここかしら?山頂付近のお土産屋さんに住みついたキマイラがいる場所は。」
レベルの低い冒険者がうっかり、しなびた土産屋によってしまい、キマイラのエサになるという事例が何件かあった。
「皆、用意はいいか?」
ダリレルは掛け声をした。
「おう!」
「OK!」
三人は、しなびた土産屋に入る。
奥に獣の気配が感じられた。
「永遠なる眠りにつきなさい。」
ナナの魔法が発動した。
だが、キマイラは襲いかかってきた。頭が3つあり、ライオンの首が中央に1つ、山羊の首が左右に2つ、胴体がライオン、しっぽはヘビで、ライオンの首1つだけが眠っただけで、本体が動いていた。
「しまったわ! 次お願い!」
ナナは叫んで、ショウは鋼の剣で胴体を、ダリレルは、所々に刃のついた鞭で山羊の頭を2つ攻撃した。
敵の主戦力のライオンの顔は攻撃を受けてもなお、眠り続けており、そのまま起きる事はなかった。
刃のついた鞭は山羊の頭2つを絡ませ、ショウは鋼の剣に力を「ふんっ。」といれ、キマイラの胴体は、血吹雪をあげ、串刺しにした。
最後にショウは、胴体から刃を引き抜き、本体が死んでなお動くヘビを刺し殺した。
「やったわ。」ナナは跳びはねた。
「中々いい、チームワークだったな。」
と息を荒げたままのショウ。
「まぁ、こんなものだな。」
と髪をかき上げるダリレル。
写メじゃ証拠にならないため、証拠としてキマイラの死体を切り分け、それぞれ3人が、役所にもって行くことにした。
魔法で街の結界まぎわまで来て役所に行く途中、
大人たちは「あんな、子供3人で猛獣を倒すとは…。」
街のちびっこは「すげ――!」と感嘆をあげ、
通る道は、ちょっとした騒ぎになった。
役所では眼鏡をかけたおじさんが、普通にキマイラの死体をキマイラの賞金30万円と交換した。
3人は30万円を3等分10万円ずつに分けた。
「キマイラの賞金30万円って安くないか?」
「安いな。ダリレル様の美貌がかかっていたというのに。」
ダリレルは、いつものようにキレイな顔に、腹はチョッキから出ていて、言った。
「10万円にしちゃ、最新の装備だって買えないわよ。」
ショウは10万円で、武器屋で値切って、中古の高粒子ブレードを買った。
第二章 おちこぼれの神と魔女
自分たちの力では、ドラゴンはまだ倒せないけど、また資金稼ぎするため、とりあえず役所に来てみた。
掲示板のキマイラのポスターが『ダーメリア=アーシェント』という人間の賞金首に変えられていた。しかも、賞金は300万円。
「ダーメリア=アーシェント! 聞いたことあるわ。友人が敵視していたもの。」
ナナはちょっと知った風だった。
ショウはポスターを見ると、
『賞金300万円! ダーメリア=アーシェント 魔法使い 弱い冒険者を狙う、確認した者だけで58名殺した犯罪者。見つけ次第殺傷可。但し、ダーメリアは魔法・物理攻撃反射の模様。最近、日本関東で確認済み。』
「魔法・物理反射って、ほぼ無敵だな。」
とショウは言い、ちょっと考えて、
「ナナ、弱点知っているなら、次の相手、こいつにするか?」
「友人に、弱点を知っているかもしれないから、聞いてみるわ。」
ナナは役所から出たら、早速、ダーメリアの事を知っている友人に電話をした。
「ロゼリア、久しぶり。突然の事なんだけど…。」
ナナが電話をかけてすぐに、
「ダーメリアを倒すのに協力するって、本当!? あともう1人、白魔法使いも仲間に連れてくるって? ありがたいわ。今、東京の…。」
「ショウ、ロゼリアという魔法使いとマリエルという白魔法使いが仲間に入るって。」
白魔法使いは回復魔法が得意だ。ちなみに、ショウも回復魔法を多少使える。
ロゼリアは、ナナと一緒に魔法を学んだ仲で、眼鏡をかけて、癖のあるセミロングの髪、165cmくらいの身長、ドイツ人の30代後半の人だった。
マリエルはというと、北欧と日本人のダブルで亜麻色の長い髪で、美人で白い法衣からでもわかる程スタイルがよかった。
「ショウくん、ダリレルくん、よろしくね。」
ショウは、ロゼリアにダーメリアの事を聞くと、面を変え、
「あの人殺し。許さないわ。必ず、倒してみせるわ。」
ダリレルは、
「お嬢さん、ボクと付き合いませんか?」
と格好つけたが、マリエルはダリレルの上から下まで見て、
「ボーヤ、ダイエットしたら考えてみなくもないけど、バトルでは共にするからよろしくね。」
ダリレルは「腹はチャームポイント。」とかブツブツ言っていた。
世界は広いから腹が出ているダリレルが好みという国もあるだろうけど…。
「サーチの魔法を使ったら、ダーメリアは山梨にいるって。」
とナナ。
ワープの魔法使えるナナとロゼリアだが、山梨に行ったことがなく、今時、車のエンジンはかかるはずもなく、みな自転車で東京から山梨に向かった。
半日がかりで山梨についたが、夜になっても街まで届かず、ショウ一行は、廃墟に2つ男女わかれて結界つきのテントを張って、それでもモンスターが少ない所を選んで野宿することにした。
その時の見張りはショウだった。
ショウは光り輝くつばさの巨大な鳥らしきものが近づいて来るのを見た。
ショウはブレードをもって身構える。
近づいて見るとヒトらしかったので、身構えるのをやめた。
そのヒトは、光り輝くつばさを消した。つばさをショウは魔法だと思った。
「君がオカモト ショウ君 …勇者だね。」
中性的な顔だち、ショートヘア、格好。容姿は悪くも良くもない。見た目の年齢は10代後半~と不詳だ。
「勇者って、俺、みんなでキマイラ倒しただけなんだけど。何で俺を知っている?
おまえ誰だ?」
「君は特別だからね。私はミロク、神のおちこぼれだ。」
ショウはミロクと名をのった男(性別はよくわからないが男だと思った)を頭がおかしいと思った。
「ミロクって言ったって弥勒菩薩やつだってわけでもないだろ。」
「そうだね。私は菩薩じゃないよ。じゃあ、今後ともよろしく。」
平然と言ったミロクを怪しんで見ていたが、手品のようにミロクはドロンと、消えてしまった。
ショウは寝不足で、夢か幻を見たのかと思った。
朝、テントの前でダーメリア対策の会議をした。
物理・魔法反射の秘密はどうやらダーメリアの装備にあるらしい。
ネックレス等が魔法を反射させているのではないか?とロゼリアが言った。
物理反射する装備で値段の高い法衣にあるよね、でも、接近して法衣以外を物理攻撃したら、効くんだよねと、魔法使いの女性3人は、話合った。
みんなで話合い、作戦は決まった。
「ダーメリアは、近くにいるわ。」
山梨県の廃墟を自転車でうろつく。モンスターはヘニョリンとゴブリンと雑魚ばかり。
ロゼリアは手のひらサイズの水晶を取り出し、サーチの魔法でダーメリアの影を映しだしていた。
「くくくっ・・・。これで60人目かな。」
ダーメリアは冒険初心者(男)と戯れるように、攻撃魔法(小)で攻撃していた。
その冒険初心者は剣を振るが、その衝撃は自らにかえってきてボロボロだった。
「もう、大丈夫よ。」
マリエルは、冒険初心者に回復魔法をかけてやった。冒険初心者は全快し、彼はマリエルを天使の様だと思ったし、実際回復魔法をかけているマリエルの様は白い法衣をし、天使だった。回復した彼はマリエルに一礼をし、一目散に逃げた。
ダーメリアは、黒い三角の帽子をし、紫の髪はそこからはみ出す程度、黒い法衣で、やはり、首飾りをしていた。
ショウは戦隊ものの悪役の女幹部を連想させる妖艶さだと思った。
「ダーメリア、ここが運の尽きよ!」
ナナとロゼリアが声を合わせた。
ダーメリアは笑いながら、
「雑魚が増えたか。燃えろ。燃えろ。」
と火炎の呪文を唱えた。
だが、ナナとマリエルは攻撃魔法を軽減する衣服で、後の3人は火炎をよけた。
マリエルは続いて、ナナと自分に回復魔法をかけて、2人は全快した。
ショウは、踏み込み、ダーメリアの首を・・・。
ダーメリアの首飾りだけを断ち切った。
「もう、魔法が効くようね。」
「ナナいくわよ!」
「邪悪なものを燃えつくしたまえ。」
二人の火炎の魔法で、ダーメリアの物理反射の服が燃え、火傷した肌があらわになった。
ショウは火傷した女の首にブレードを当て、
「呪文使ったら、今度は首を落すからな。」
「くっ・・・。」
ダーメリアは火傷の裸になっても堂々としていた。
マリエルは魔封じの縄で、女に手錠をして、ダリレルがしょっ引いた。
ショウは情けをかけ、回復魔法をかけようとしたが、
「いらんっ。」
ショウは同様に焼けた肌に毛布をかけようとしたが、同じ態度だった。
ダーメリアは、痛々しい火傷した裸をあらわにして、山梨市の門まで連れていく事になった。
門には前もってナナが連絡した警察が6~7人待機していて、
「ご協力、感謝します。」
とパーティーは、ダーメリアを引き渡した。
賞金300万円を5人で分けて60万円ずつにした。
パーティーはいったん、東京に帰ることにした。
ショウは、賞金を父親のショウジに見せ、その賞金で防具を揃え、残りのお金はショウジにあずけようとしたら、ダリレルの養父と家の前で顔を合わせ、
「ショウ君! ショウジさんが亡くなった!」
と言った。
ショウは旅のバトル中は、携帯の電源を切って、そのままだったのだ。
パーティーのダリレルは、ショウジが亡くなっていたのを知っていたかは、定かではない。
「街の外でドラゴンと会わなかったか!? 廃墟にドラゴンが出た。危険を省みず廃墟で遊んでいた子供たちを逃がすために、ショウジさんが盾になって・・・。」
「うそだろ・・・。」
ありがちなセリフと思いながら、それしか言葉がでなかった。
家の中に入り、ベッドの上のショウジの死体と顔を合わせた。
回復魔法でなのか、ドラゴンの攻撃した痕がなく、まるで眠っているようだった。
「おやじ~~~~!!」
ショウは叫べば、起きそうだと心のどこかで期待していた。
でも、ショウジは起きてこなかった。
ショウは親愛なる父親を失った、重い喪失感にかられた。
そして、過去のショウのショウジとの記憶が浮かんできた。
剣技を習った事、一緒に料理を作ったこと、一緒にキャッチボールをしたことなどなどが、鮮明に思い出された。
第三章 最強の剣VSドラゴン
ショウは父ショウジのお通夜で、人が集まり大変だった。
叔父さん、叔母さんが(魔法ではなく、比喩的な意味で)飛んできた。
深夜、なかなか目が冴えて眠れなかった。
ショウは、自分の自宅の周りをうろついていた。
そうしたら、輝く何かが見えたと思ったら、ミロクだった。
「お父さんの事、残念だったね。」
「あのなぁ。」
ミロクに全然気持ちが入ってなく軽く言われたので、ショウは反発してしまった。
「お父さんを殺したドラゴンを倒したい?」
「ああ、今度はそのドラゴンを倒すつもりだ。」
「あのドラゴンに睡眠の魔法、攻撃魔法は効かない。今の君たちじゃ、ドラゴンと戦っても、勝てる見込みは、50%以下だ。」
ショウは思った事を口に出す。
「五分もあれば上等だ…と言いたい所だけど、仲間を傷つけたくない。特訓でもすればいいのか?というか、なぜドラゴンと戦って勝つ見込みが50%以下だと言いきれるんだ。」
「今のレベルじゃ設定上――と言っても君にはわからないだろうね。」
ミロクはニヤリと笑って、
「100%勝てる反則技の剣をあげるよ。」
「本当か!?」
ショウは信じられなかったけど、ミロクはどこからともなく、光り、輝くそして音符がところどころ浮いている大剣を受け取った。
「最強のプログラムを組んだからね。」
「強そうだけど、音符が間抜けだな。」
ショウは試しに、その光り輝く大剣を軽々と――軽いのだが、素振ってみせた。
「プログラムって何の事だ?」
「最強のプログラム――オーケストラは世界の真理をあらわしたものだから。」
「違う。剣がプログラムって、3Dコピー機でも使ったのか?」
どう見ても、光り輝く剣は、3Dコピー機の石膏や樹脂で出来てないのが一目でわかる。
「違うけど。ちなみに使う意思がない時は、柄だけになるから。」
「本当だ。」
大剣が、いつの間にか柄だけになっていた。
「あ、誰か来るね。私は去るよ。」
ミロクはさっきの大剣の刃のように、消えていた。
ショウは大剣の柄だけもって家に帰り、寝床に入った。
お葬式、相続などに追われ、ショウは、およそ半月、冒険どころではなかった。
仇のドラゴンを討つため、ショウ、ダリレル、マリエルの3人で行くことにした。
なお、あのドラゴンは攻撃魔法が、ミロクから〝効かない〟と聴いたので、攻撃魔法が得意なナナ、ロゼリアはパーティーから一時的に抜けてもらった。
ドラゴンの場所は、ショウジが助けた子供たちの一部から大体聞いた。
街の門の外の廃墟にでる。ショウは、軽くて丈夫で攻撃魔法と火炎に強いという性能と値段の高い鎧を装備にした。
ダリレルの装備はというと、武器はショウのお下がりの高粒子ブレードと鎧は(ここまでくると、上半身ベストだけ、はない。)、ショウのものより劣るが、いいものなのだが、デザインが、腹出しだった・・・。
歩いて行くと、ドラゴンの爪痕がところどころにある。
爪痕をたどっていくと、ショウはドラゴンの気配を感じた。
ドラゴンがあらわれた。
おそらく、父ショウジを殺したドラゴンは(こいつだろう。)とショウは思った。
ドラゴンの目の前に立つ、ショウ、マリエル、ダリレルは、身構える。
ショウの音符のついた大きな輝く剣により、ドラゴンの厚く硬い皮は、バターのように切れた。
「すごい…。」
マリエルは剣についての感想をもらした。
ドラゴンを斬ったのと同時にショウとドラゴンの周りを真っ暗闇が襲った。
そこに爪の長いしなびた手、腕がでてきた。ドラゴンは、その腕に抱かれ、絶命した。
ショウも真っ暗闇に―――恐怖した。
体が動けなくなり、ショウは放心状態になった。
ダリレルは、
「だっせいなぁ。」
と言って、ショウの暗闇に近づいたら、ダリレルも恐怖で放心状態になった。
様子を見ていたマリエルは、暗闇がおさまってから二人に近づいた。
ショウとダリレルは、依然と放心状態で魂が抜けた様だった。マリエルは回復魔法を二人にかけてみた・が効果がなかった。
「あのさぁ。」
ミロクが絶命したドラゴンの奥から出てきた。
「奏〔かなで〕のドのサタンの迫力にやられたみたいだね。」
マリエルは困惑して、
「あなた誰? 奏の“ド”って意味がわからないのですけど…。」
「しかたないなぁ。」
ミロクは放心して魂が抜けている様な二人の前で手のひらをスッとかざすと、二人とも
ハッと目覚めた。
「剣・奏の使い方知りたい?」
目覚めたばかりのショウはうなずいて、
「そりゃあ、もちろん。」
ミロクはぺろっと紙を差し出した。
紙には、こう書かれていた。
「どういう意味だ?」
ショウは、二人にも見せたが意味がわからなかった。
ミロクは少し笑って、
「つまり、さっきのドラゴンとショウは、再誕前のサタン(左端)だったルシファー様に腰抜かしたって事。扱えきれない力を出してしまったみたい。
奏を使いたくば、大いなるルシファー様と呼べば大丈夫。その他のミカエル様や、そこに書いてある神々の名を呼べばいい。」
と、ざっと説明してミロクは、いつの間にか去ってしまった。
こうしてショウは、仇のドラゴンをあっという間に倒したのだった。
第四章 東京モンスター殲滅?
のち、ショウジを殺し、ショウが倒したドラゴンが、魔法が効かないマジックドラゴンだとわかったのだが、ショウは大剣・奏の強力な力は、魔法だと思っていたので意外だった。
ロゼリアは、ミロクからもらった紙切れを見て、
「これは、真法よ。」
「だから、あの剣には魔法がかかってないって。」
「シンの法と書いて真法よ。もし、ルシファーが再誕しているなら、これは真の法、ってわけ。」
パーティー内で1人、ロゼリアは、紙切れを見て何か納得している様だったが、ショウたちには今一つ訳がわからなかった。
「剣・奏の切れ味はバッグン。ドラゴンの皮をバターのように切れたらしいわね。それには、神々の守護がついている…。素晴らしい剣だわ!
ショウ、その剣で世界中のモンスターを倒せるわ。」
「ええっ! でも、この剣には恐ろしい効果があったぞ。」
「サタンを呼んじゃ、恐怖するのが当たり前だわ。」
「確かにミロクから使い方の紙をもらったけど、イマイチ使い方わからないけど、敵を攻撃する時、その紙に書いてある方々をよんでみるわ。」
ショウは、試しに1人で役所で手配されている東京付近に住むグリーンドラゴンに挑んでみた。
「ミカエル!」
と呼び、ドラゴンを大剣・奏で攻撃する。
豪奢なウェーブの金髪、整った顔、筋肉のついた鎧を着た身体、真っ白な羽根のミカエルも半透明で出て、ドラゴンに一太刀くらわす。
ドラゴンは、ショウとミカエルの攻撃により、
「ギャ――――!!!」
と断末魔を上げ、あっさり倒した。
ショウは“ドラゴンキラー”とちまたで呼ばれるようになった。
「オレ様もその剣をもっていりゃ、ドラゴンキラーと呼ばれるようになったのに。」
とダリレルは本気で悔しそうな顔をした。
次は、役所で『絶対近づかないように』と張り紙された、皇居近くの(皇居自体は塀と結界がなされている)モンスターの住みかのビル群を攻略することにした。
モンスターの住みかのビルの周りには、意外にも花畑ができていた。
ビル近くのモンスターの内でも一匹のデーモンは違っていた。
容姿は人間に近く、しかし角、牙、するどい爪、コウモリのような羽をもっていた。
目がつり目だが、瞳が優しく、美しい顔をしていた。
同じ種のデーモンとは群れず、花と戯れていた。
ビル近くの花の群生に一匹、そのデーモンは花を眺めていた。
そこに野宿から起きたばかりのマリエルが、パーティーから離れ、花畑を眺めにきていた。
デーモンは、花を眺めていて、気が付かない様子だった。
しかし、10分経っても、20分経っても、一向にデーモンは、その場所を離れる様子ではなかった。マリエルは、花を眺めているデーモンの優しい瞳を見て、そのデーモンの前に無謀にも姿を現した。
デーモンはマリエルを見て、
「美しいお嬢さん。花でも摘みに来たのかい?」
マリエルは驚いたけど、気を強くもって、
「あなたは、他のデーモンとは違うわね。」
「ああ、よく変り者だといわれるよ。」
デーモンとマリエルは少しの間、一匹と一人は長く感じたが、見つめ合った。
マリエルとデーモンは頬が赤くなった。
マリエルはデーモンを美形…。そして優しい目をしていると思った。
デーモンの方もマリエルを見て高嶺の花のように美しいと思った。
マリエルは、
「私は、マリエル。あなたの名は?」
デーモンは少し困った様子で、
「他の種族からデーモンと呼ばれているけど、わたしには名がないよ。」
それから、デーモンは明るい表情をして、
「マリエル、まるで天使のような名だね。名は体を表すというけど。」
「ありがとう。」
マリエルは素直に喜んだ。
「ナナシさん、うちのパーティーに入らない? うちのパーティーは強いのよ。」
「こんなきれいなお嬢さんがいて残念だけど、それはできない。仲間が大事だからね。」
「…そう、こっちも残念よ。」
マリエルは本当に惜しい様子で、それからパーティーと合流した。
マリエルは、皆に花と戯れていたデーモンの事を言った。
“敵にならないといいね。”という話になった。
ビルに入るとデーモンの群れで、あの優しいデーモンは奥の方にいた。
「あのデーモンは倒さないで!」
マリエルは指して叫んだ。
他のデーモンはショウが奏で、次々と倒した。
すっとビルの奥からミロクが出てきて、
「私は、あのデーモンを倒すよ。」
ミロクは光の翼で飛んで、一瞬のうちにマリエルの前にいた、ナナシのデーモンの心臓に光の剣を突き刺した。
「マ、マリ…。」
ナナシのデーモンは、名を呼ぼうとしたが、身体が消えた。
マリエルは、少しの間、何が起きたか理解できなかった。
そして、
「いや―――!!」
と叫んだ。
彼女はミロクを睨んで、
「あんたは、一生許さない。」
と言ったのをミロクは少し笑って、
「こわい、こわい。」
と言った。
「モンスターの親分は最上階にいるよ。エレベーターが壊れてないから使うといい。」
「ふん、誰があんたの言ったことなんか。」
マリエルは動かなかった。
他のメンバーは、さっきの光景を見てマリエルを説得するのは、不可能だと思って、エレベーターを使ってボスへと向かおうとした。
ロゼリアはミロクにデーモンの事より、不思議に思った事を尋ねてみた。
「なぜ、ボスのいる場所を知っているの?」
「ん? 上から強い魔力を感じないか?」
「確かに上の方から若干感じるけど…。」
「あと、ショウの剣、奏は真法で出来ている。ショウから聞いたけど、プログラムを組んだって、どうやってあの剣をつくったの?」
「ひみつ。」
といってミロクはいつものように消えてしまった。
ロゼリアは呆然とする間もなく、皆(マリエル以外)と一緒にエレベーターに乗った。
エレベーターを降りて、最上階の部屋で強い魔力を感じる方を探す。
「一番奥に強い魔力を感じる!」
ショウは、そう言うと、ショウと同様にナナ、ダリレル、ロゼリアは、部屋の奥へと駆け寄る。
一番奥の部屋の前でナンバー2だと思われるデーモンと対面する。
「ニンゲンの分際が…。ここまで着たという事は、我々の同胞を相当殺したな。お前らを殺す!」
「殺されてたまるか。アッ、ラーよ!」
ショウは「ラー。」とだけ呼ぼうとしたら、「アッ」も口から自然と出てきた。
大剣・奏から(アッ、)ラーが出てくる。
エジプト神話のラーのような隼の顔したわけではなく、ミカエルを呼びだした時のような容姿で相変わらずの豪奢な金髪に王冠と、端整な顔だち、金の鎧をし、白い羽根がない代わりに太陽のような後光で、半透明で王者の風格、腰に付けた柄から刃が抜かれる。
ナンバー2のデーモンは、易々(やすやす)とショウとラーの二撃により倒れた。
そのデーモンが落した本をロゼリアは興味津々で開く、ナナはハッと気づく、
「ロゼリア、その本開けないで!」
時はすでに遅しで、ロゼリアは石化した。
「ロゼリア、ロゼリア!」
ナナは本に、魔法というべきか、呪いというべきものがついているのに気がついた。ショウも本に何かの魔法がかかっていたのに気がついた。
見る間もなく、ロゼリアは石像になった。
「騒がしいな。」
キングデーモンが部屋の外の騒がしさに耐え切れず、出てきた。
「タイミングが悪いな。」
とダリレルは、堂々と言った。
「人よ。なぜ、我々を殺す?」
「人に害をなすからだろう。」
真っ直ぐにショウは言った。
「我々の種族は、人と会わないようにして生きてきた。それでもかっ!」
元々でかいデーモンの身体に、王としての態度に、ショウは圧倒されそうだった。
「我々は人間を食べた事もある。しかし、テリトリーを侵してきたものだけだ。
人が家畜と呼んでいる心ある動物、牛、豚、鶏を殺して食べているのとどっちが悪い!?」
「・・・、・・・。」
ショウは答えに迷った。
「うまいから、家畜を食べているに決まっているじゃねーか。」
とダリレルは緊張感なく言った。
「ならば、我々も人が美味いからと言って食べていいのかっ!」
ショウ、ナナ、ダリレルたちは、かえす言葉が見つからなかった。
「お前らのせいで、我々は失うものが多すぎた。王の責任として、我を殺すがよい。」
「悪かった。貴殿は殺さねーよ。それより石像になっちまった彼女を、図々しいが、なおしてくれないか?」
ショウは、キングデーモンの崇高な意思に対して『貴殿』と呼んだ。そして、頭を下げた。
「ナンバー2の最期のトラップは、我にも解けぬ。」
三人の中で一番、ナナはがっかりした。
「貴殿らを生み出したやつは誰だ?」
「神だ。」
「本当か?」
「嘘をついてどうする? 何が我に利がある?」
「ミロクー! 聞こえるか?」
「聞こえているよ。」
ミロクが窓から光輝く翼で入ってきた。翼をしまい、ショウに近づく。
「おまえ、おちこぼれのカミサマって言っていただろう。デーモン、モンスターを生み出した神って知っているか?」
「知っているよ。」
「なら、そのカミサマと話し合えるように、あえるように出来ないかな?」
ショウは、無茶を承知で聞いてみた。(そもそも、ミロクがショウたちの側にいたのも奇跡だと思ったが。)
「ああ、そのカミサマなら殺してもいいよ。」
ミロクはケロリとのうのうとした表情で言った。
「ころす・・・何もそこまでもしなくていいんだ。」
ショウは、驚いた。
それよりもキングデーモンが激しく驚いて、
「我々を生み出した神を、人間が本当に殺せると思っているのか! 愚かな!」
「これあげるから、がんばってくれ。」
ミロクは、取っ手のようなものを、ショウに差し出した。
「奏…盾ヴァージョン。」
「わっ!」
ショウが、その取っ手を持ったら、突然、音符の浮いた光輝く、大人一人よりも大きい盾が出てきた。
奏・剣と対になっているようだった。
ミロクは何かに気が付いたように、ナナと寄りそうように立っているロゼリアの石像に向かって、光の手刀で首をはねた。
「なにをしたの!?」
ナナは無論、怒った。石像だったロゼリアは、みるみる欧色人種の肌の色に――人間にもどった。ただし、首と身体は切断された亡き骸だった。どういう訳か血液はでなかった。
他の皆、唖然としたが、キングデーモンは、
「人が…。恐ろしい事を。」
とつぶやいた。
「私は人じゃないよ。」
ミロクは、マイペースに言った。
「ミロク、許さないわよ!」
ナナは激怒しながら、攻撃呪文を唱えはじめた。
「いかずちよ!」
ショウはナナを止める気配なく、ロゼリアの胴体と胴体から離れた首に回復魔法を必死にかけた。
光って、いかずちが落ちてくるとおもいきや、光のみで、電気自体がミロクに落ちてこなかった。ミロクは、
「そんな事をしても無駄だよ。ショウもね。」
ナナは、次の毒の攻撃呪文を唱えはじめた。
いつもへらへらしているミロクは、真面目な顔して、
一言、
「だまれ。」
ナナは、のどから声が出なくなった。
(「ミロク、覚えておきなさいよ。」)
とナナは言おうとしたが、やはり声がでない。
「ショウ、MPの無駄だ。ロゼリアは正気にもどった。」
「正気? ミロクがロゼリアを殺したんじゃないか!?」
「・・・。じゃあな。」
ミロクは光の翼で飛び去った。
「あやつは何者だ?」
もちろん、ミロクの事をさし、キングデーモンは言った。
ナナは、ロゼリアの亡き骸を抱いて、大声のはずの無声の叫び、そしてクリクリした瞳は伏せ、涙は頬を伝った。
ショウもつられてか、涙を流した。
(「ミロク、何を考えている? ――――。」)
ショウは、そう思った。
ショウはキングデーモンに詫び、ビルから、ロゼリアの亡き骸とそれを見て驚いたマリエルと声が出なくなったナナとダリレルをつれ、街にもどった。
ちなみに、ショウはワープの呪文を覚えていたので、大いに助かった。
ナナは、時間が程々経った頃、ミロクの一言に恐怖した。
もし、戦っている敵の前で「だまれ。」と言われたら?
身震いがした。
そして、声は一晩、寝たらもどった。
ロゼリアの葬儀が東京で慎ましく行われた。
第五章 偽りの神との出会い
「さぁてと、ショウが戦いやすいように、用意しなくちゃ。」
ミロクは、天界らしい、雲の上のローマ様式らしい神殿で、羽が生えて白い法衣を着た天使たちの前で言った。
天使たちは、侵入者を見ると、剣や槍などで襲いかかってきた。
その瞬間、天界らしいところは、バチバチと雷鳴で包まれ、天使たちは、画面がブレるようにザザザッと消えていった。
「これで良し。あとはショウたちを呼ぶだけだ。」
「ショウ。」
ロゼリアの葬儀が終わって、2日後の昼、ショウの家。
「ミロク!」
ミロクはいつものように光の翼で飛んできた。
「三次元流のカミサマと会う覚悟は、出来たかい?」
「ああ、出来ている。でも皆で神様に願いごとがしたい。ミロク、お前、おちこぼれの神様って言ったのにすごいだろう。モンスターを生み出した神様ってもっとすごいんじゃないか?」
「多分、期待はずれだと思うよ。」
ミロクは平淡に言った。
「じゃあ、カミサマに続くゲートをここで開いていい?」
「え? ここでか?」
「駄目?」
ショウは少し考えて、
「いいけど、俺の生活に支障ないか?」
「ないね。至高神様にちかって、ない。」
「シコウシンって、いまだにわからないけど、じゃあ、いいっか。」
「大剣、奏をかざして。」
「こうか?」
大きくない家のなかで、音符のついた光輝く大剣を出す。
「じゃあ、詩を歌うから続けて歌ってくれる?」
「…わかった。」
ショウは大剣を構えたまま、ミロクに続いて歌う。
“ルルル ルシファーよ 愛を求め、悪をつくり、サタンと呼ばれ、
ド 土星の試練と忍耐のもと居た、
レ 霊(0(レイ))は、愛と光、光と愛を求め、
ミ ミカエルは、霊魂に光と愛を教えよう、
ファ ルシファーは、再び愛の光をとりもどすだろう、
ソ 創造主は創をつくり、様々な霊と愛を創ろう
ラ ラーは太陽神、太陽は昇っては沈み、昇っては沈む、
ラーは、また未来に昇ろう
シ 至高神より全てが始まる ああ 素晴らしき神よ
ラララー
ヴィシュヌとシヴァが音を紡ぎ、世界のリズムをかなでる
奏よ
この世界の幻を消すための力を示したまえ“
剣の先から光の空間ができる。
「すげー。」
「これで、カミサマの道はつながったよ。」
「でも、こんな民家に神様のところと、つなげちゃっていいのか?」
「いいの、いいの。ちなみにカミサマの所に行きたくない時は、光が素通りするだけだから。」
と言って、光の空間に腕を入れ、腕は光輝かせた。
「さて、私は君のパーティーの女性陣に嫌われているから去るね。 あ、そうそう偽天使たちは、消しておいたから。」
とショウが何か反論する前にミロクは、どこかに去った。
ショウはナナ、マリエル、ダリレルのパーティーで神様の元に行く事にした。
ショウは、人間と相容れないモンスターをいなくしてもらうため ―キングデーモンが自分らと同じ悲劇を起こしたくないと言ったため。(と言っても、その悲劇を起こしたのは、ショウたち本人だが。)
ナナは神様にロゼリアを甦らせてもらうため、
マリエルも、もちろんナナシのデーモンをできれば、人として甦らせてもらうため、
ダリレルは、自分の美貌を(自己申告)永遠でいて、不死を願うため。
それぞれ、神様に願いがあった。
ショウの家の光の空間に足を踏み入れると、雲の上のローマ神殿らしいところに着いた。
「すごい力を感じる。」
ショウとナナは、力を感じる方へと足を運ぶ。それにマリエルとダリレルは付いていった。
神殿内で10分もしない内に、王座は見え、白髪白髭、白い服のおじさんが座っていた。
「あのお方が神様?」
白髪白髭、白い服のおじさんの声が神殿内の1フロアに声が響く。
「私は世界をつくった神だ。なぜ、人間の分際で私の元にいる? しかも、私の天使たちはどうした?」
「もう一人…じゃなかった、もう一柱の自称“おちこぼれの神”が、ここにつなぐ道をつくってくれた。」
ショウは天使の末路を言うのを、ためらった。
「まさか、その“おちこぼれの神”が私の天使たちを殺したというのだな。」
ショウは正直に首を縦に振った。
「キサマらは何をしにやってきた?」
「モンスターを生み出すのを止めてもらいたいんだ。」
「私は、ロゼリアという人を甦らせて欲しいの。」
「私は、好きだったデーモンをできれば、人として甦らせてほしいの。」
「オレは、この美貌のまま、永遠に生きたい。」
皆、神様の前で口々に言った。
「わはははっ、愚かものたちが。人を甦らすということは、生と死のバランスを崩すことだ。そんな事は、わしには出来ん、」
今度はダリレルに向かって、
「小僧、人が一人で永遠を生きるとは、どういう事かわかっているのか?」
「うっ…。」
ダリレルは、あまりにも考え無しだった。
「もう一人の小僧、近代兵器をなくし、人間同士の争いをなくすために、モンスターを生み出してやったのに。」
「それでも、人同士で争いがあった…。」
ショウは、ダーメリアの事を思いながら言った。
「そうだ。人間は、わしが考えている以上に、愚かだった。」
ショウは少し考えて、
「Aという国とBという国が争っていたら、A国とB国の共通の敵、C国をつくれば、表面上、A国とB国が仲良くなる・・・そんな感じか?」
「そういうことだ。人間はずる賢いからな。」
世界をつくったと言った神は、すこし笑った。
「立派な神様だったら、そこを考え直してモンスターをいなくしてくれないか?」
「たわけ!! モンスターがいなくなったら、また人間同士の大きな争いがおこるではないか。それでなくとも、まだ人間同士で争っているのに。」
「そうかもしれない。でも、いずれは人間同士が争わず、手を取りあえる世界になれる方に俺は、賭けてみたいんだ。」
「キレイゴトを。蟻一匹と等しい人間の分際で、私にたて突く気か?」
「モンスターを生み出させないための、いう事を聞いてくれないなら、力づくしかないか。」
ショウの頭に、ミロクの「殺してもいい」「(カミサマは)期待はずれ」という言葉がチラつく。
ショウは、“奏”の盾と剣を取り出した。
「奏、シコウシン(至高神)よ!」
完璧すぎる程の美貌の、しかも人形的ではない。ロングの金髪、白い肌。上半身だけが、ふわりと姿を見せた。
「存在事、消えてしまえ。」
そう、おじさんの神は言って、ショウ、パーティーの空間全体を無にしようとした。
しかし、至高神、盾がその力を相殺してくれて、空間が、ベキベキとだけ音をたてた。
「何! 人間ごときが。」
「神殺しか。ちょっと気がひけるが。」
ショウは敵とみなした神の真近、真正面に跳びかかって、
「奏、再びシコウシン(至高神)よ。力を貸してくれ。」
光輝く刃が神を光と舞う音符で囲い、神を波動砲のような光が突き刺し、一発で神は絶命した。
「クリアしました」
第六章 平和な日々
ショウはゲーム・ヴァーチャルポッドに裸で入っていた。ポッド内は特殊な液体で満たされていて、上からは栄養を、下からは汚物の処理がなされていた。
無理に起き上がろうとしてポッド内に頭をぶつけた。
しばらくすると、ポッドは自動的に開いた。
育った記憶が2つあり、ショウは混乱したが、オカモトショウジ…父親役だった人は、あんなに仲良く、尊敬していた人は、他人なのだ。
悲しかったが、それより、ゲーム中の、死んだと思った父親が生きていた事の方が嬉しかった。
周りを見渡せば、狭い白い壁の個室、
「コン、コン。」
ドアからノックする音が聞こえた。
「はーい。あ、裸だ。いけね。」
ポッドの横に、現実世界でよく着る服とバスタオルが用意されていた。
ショウは急いで体をふき、服を着た。
10分後くらいに
「コン、コン。」
また、ノックがなった。
「はーい。今度こそ、どうぞ。」
カチャッ・・・
ゲーム中、死んだはずのロゼリアが白衣を着て入ってきた。
「はーい。ショウ、驚いた?」
「うん、驚いた。ゲームの中の1年が、現実世界の1日だったな。」
岡本 翔は、試作のヴァーチャルゲームに夏休みの間だからと応募して、高倍率にも関わらず、見事に、主人公に選ばれたのだった。
「そう、ゲーム開始して30年、いや、30日、途中からどういう訳か、バグっちゃって、心配したのだけど、主人公のショウ君が死んだり、クリアしなくっちゃ、現実世界のショウ君たちが目覚めなくって。このゲームは、あの世界はショウ君中心だから。」
「ロゼリアは死んで、先に目覚めたんだな。」
翔は、ロゼリアが死んだ時、ミロクがロゼリアの首を切った時、『正気にもどった』と言ったのを思い出した。
「ミロク役は?」
「それが、“ミロク”というキャラクターは設定していないのよ。でも、モニターチェック係から聞いたのだけど、バグか何かで、所々出てきて。」
「奏という剣と盾もプログラムに設定していないのだけど、私以外の開発者も知らないっていうのよ。」
「あいつ…本当に神様だったのかな…。」
ロゼリアは付け加える様に、
「神様といえば、最終ボスの神様には、ショウのパーティーは、どうしても、どうやっても勝てない設定だったのよ。負けてショウのパーティーは全滅。
神様を信じている開発者が許さなかったのよ。冒険も長くして神様を見つけ出す設定だったし。」
「ひでーな。」
と翔は笑って言った。
「ナナは? アリムラ ナナ役は?」
「ナナちゃんもショウ君と同じように本名よ。ゲームクリアして、ナナちゃんも目覚めたわ。」
「そうか。」
「でも、きっとまだ記憶混乱中だから、再会するのはちょっと待っててね。」
ガチャと戸が開くと同時に、
「よっ!」
と声がして、姿をあらわした。
顔が少しでかく、吹き出物が所々にあり、腹だけじゃなく、体全体が太い男。
はっきり言えば、相当デブ。
「ダリレルだ。」
そう男は言った。
「多田君…ダリレル君。」
「顔が全く違うじゃねーか。腹の所と無神経な所だけは、変らないようだが。」
翔は、正直に感想を述べた。
ダリレルだった男は近づいて、
「オレとお前の仲じゃないか。本名は多田 三郎というんだぜ。」
ダリレル(仮)は、本名を言う所だけ、段々声が少し小さくなっていた。
ダリレル、元、多田 三郎は、本名を気に入ってなさそうだった。
翔は、頭の中で一瞬、ナナが超ブスだったら、どうしょうとよぎったが、ナナが万が一に、超ブスでもいいし、ゲーム始める前、プレイヤー達がゲームの説明受ける時に集まった時に、すごいひどいブスな女性はいなかったな…と思った。
そういえば…と思った。
「父さん、ショウジさんは目覚めているのか?」
ロゼリアは、うなずいて、
「ショウジさんは、一足先に目覚めていたわ。でもショウ君と会うことに、ためらいがあるみたい。」
「でも、会いたいんだ。」
多田は放っておいて、ヴァーチャルポッドがある狭い白い部屋を出るとショウジが、すぐそこにいた。
「ショウ、すまんな。今の私はただの、ゲームとパチンコと野球好きのオヤジだ。」
ゲームの中のショウジよりガタイが1まわり小さい。
「ゲーム好きなのは、プレイヤー全員そうだよ。父さん。」
「もう、父さんと呼ばないでくれ。私の名は、谷本 正治。オカモト ショウジは、ただのゲームプレイヤーさ。」
翔は涙が序々にあふれてきた。
「でも、時々会ってキャッチボールをしよう。」
翔の現実世界の両親は共働きで、いつも帰りが遅く疲れていて、ヴァーチャルゲーム中のショウジの愛に比べられないものだった。
「ああ、約束しよう。」
正治はうなずいた。
10分後、うろついているのもなんだから、ロゼリアにたずねて、
「ロゼリア、ナナとも会ってもいいか?」
「ちょっと待って。ナナちゃんと会ってくる。」
白い狭い部屋にもどって、ちょっとした間、翔はナナについて考えた。
ゲームとは違って魔法の使えない自分(翔)に興味がわかないんじゃないか、ゲーム中の俺は格好良く見えて、現実の俺はどうでもいいんじゃないか…。と。
「どうした?」
「別に・・・。」
隣りにむさくるしいダリレル(三郎)もいたので、少し不安になった翔であった。
少しして、ナナは現われた。ゲームと同じ姿、眼鏡の下には、目がクリクリとしている。
ただ、ゲームと違って黒い服から白いワンピースを着ていた。
「ナナ!」
「翔。ここでは、はじめましてね。」
「そうだな、はじめましてだな。」
「ナナは、俺もだけどさ。ロゼリアが生きていてよかったと思うだろう?」
「うん、ロゼリアが生きていて、本当に良かった。しかも、ヴァーチャルゲームの開発者の一員だって聞いて驚いちゃった。」
「ダリレル! いや、多田、部屋から出ろ。」
「えー。オレもかわいいナナちゃん、拝みたいのに。」
とブツブツ言いながら、多田は部屋の外へ行った。
狭い部屋に若い二人きり、
「…キスしていいか? 魔力はないけど。」
ナナは、悪戯そうに首をかしげて、
「いいわ。ここでもファーストキスなんだから。」
「俺もだ。」
ナナは眼鏡をとり、翔と唇を重ねた。
マリエルも現実世界にもどっていた。
そして、泣いた。
私の好きだった彼は、プログラムだった。
でも、特殊なプログラム。
ロゼリアに聞いても、他の開発者に聞いても、
“デーモンが(に)恋をする”そんなイベントはないと。
(プログラムが心をもってしまうなんてあるのかしら?)
マリエルはまた、少し泣いた。
翔は体をふいたバスタオルをたたんだ時、ハラリとタオルに付着していた紙切れを見つけた。
“奏”の使い方の紙だった。
「ミロク…あいつ本当、何者だよ。」
エピローグ
『クリアして皆、起きたはずなのに、なぜミロク、あなたはゲームの中にいるのです?』
ロゼリア含め、ゲーム開発者十数名は“生命の樹”マザーコンピューターにゲームの中のミロクへメッセージを送った。
ミロクからすぐメッセージが返ってきた。
「生命の樹、このシステムは…一日で一年体験でき、現実とはかけ離れた事ができる事、それは、時空をねじまける事、それと、人間を模しているとはいえ、人の心を生み出すプログラムを開発してしまった事、それは大罪だ。
このコンピューターは壊させてもらう。」
研究者側は、またすぐ反応する。
『そんな。止めてください。』
「長年の多大な研究を無碍にしてしまって、悪いな。」
ミロクはマザーコンピューターを壊したのか、モニター画面は砂嵐 で“ザァーー”と音がなるだけだった。
開発者は肩を落したのと同時に、神の存在を知った。
後日―翔は短い夢を見た。
コウモリの翼のミロクがいた。そしてこう言った。
「あまりにも人間に嫌な思いさせたせいで、堕天させられた。」
翔は、
「お前、皆から嫌われていたけど、結局、悪い事はしていないじゃないか。」
ミロクは笑って、
「魔神も神も、そう変らないさ。」
そして、翔は目覚めた。
翔は、ふっと思った。
この世界も誰かのゲームや夢のようなものではないかと。
でも、非現実な話だとすぐ思いなおした。
「俺は俺だ。」
もし、ゲームや夢だとしても、今を精一杯生きるのが正しいのではないかと、翔は本能で思うのだった。
そして、自らの手を握った。
あとがき
はじめまして。たみえと申します。
稚拙で駄文で申し訳ありません。
それでも、楽しく読んでいただいたら光栄です。
私は統合失調症(妄想、妄動、幻聴などの病気)を患っており、私の中でソフィア(神様じゃない偽者の大嘘つき〔でも、悪い娘じゃないです〕)、エレメエル(丁寧な性格)がいます。私が意識して言葉を吐けば出てきます。他の統合失調症の症状で苦しんでいる人には申し訳ないんですけど、かなり楽しいです。
皆さんは神様を信じますか?
私はもちろん信じます。
箱舟イロハうた(イロハ、ゐ、ゑ込み 48文字)
末の地 居し身 聞け はこふね 帆止まぬ
空上へ 積む際 人を高めろ 悪も許せよ 天になれ おわり
というのも私と易(神様)によって出来ました。
あと統合失調症を患う前、そして、かなり神様の夢を見ました。
至高神、ミカエル様、シヴァ神など見ました。天使アリエルになったり、ヴィシュヌ神になったり、一番のイベントは、ルシファーがサタンから大天使にもどり玉座に座る、ルシファー再誕の夢でしょうか。
いつか『夢エッセイ』として小説化したいと思っています。
私のホームページに、ルシファー再誕の事は激下手なマンガで描いてありますが、小説化した暁には、そのホームページを閉鎖したいなぁと思っています。下手すぎるので。
下手なマンガなので、ルシファー再誕の所、最後の一話は、文章で曖昧に書いてしまっていたりしますし、もう少し皆に見やすいようにしたいと思います。(布教?)
では、神様を信じる人も、そうでない人も、これからもよろしくお願いします。




