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【コミカライズ原作】およそ100年幽閉されていた魔術師夫婦は世界を巡る  作者: 吉野茉莉


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第一話 途中の始まり エピローグ

 エピローグ


 荷物を引きずって廊下を歩く。私が持てる荷物はそれほどない。ほつれを直した服が多少あるだけだ。全く使っていなかった金貨が机の引き出しにあるのを見つけた。


 城の門の前ではアランが待っていた。


「さあ、行こうか」


 私が先頭になって門を出る。普段ならこの辺りで頭痛がしてくるはずだった。


「手を」


 横に立ったアランの右手を私の左手が掴む。


「手を伸ばして」


 アランに従って右腕を伸ばす。


「そうであるかのように、願う。認識を変える」


 恐る恐る足を進める。遅れてアランがついてくる。


 イメージは、別れ。


 私を閉じ込めていたのではなく、私を守っていてくれた城と結界にお別れを告げる。


 もう一歩。


 今まで一度も出たことのないラインを踏む。


「出られた!」


 思わずアランの手を離してぴょんと跳ねてしまう。


「やった!」


 後ろを振り返る。


 アランも嬉しそうに笑っていた。


 アランもきちんと生きている、死んではいない。


「おめでとう、かな、エミーリア」


「うん!」


「さて、どこに行こうか、中央都市はまだ健在だろうか」


「私は自分の家がどうなっているか見たいな。少しは思い出が残っているかも」


「そうだね、そうしようか」


 アランが追いついてくる。


 再びアランの手を取る。心なしか以前より温かみがあるように感じた。


 お互い見つめ合う。


「行こうか、私の主、そして愛しき妻よ。死がふたりを分かつまで」


「行きましょう、私の従者、そして大切な旦那様。死がふたりを分かつまで」

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