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魔術師と学術師  作者: 3期


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試験(2)

ティア教員と呼ばれていた人物がふらふらとした足取りで生徒の前に出て、試験内容の説明を始める。


「ではぁ〜〜、ただ今より皆さんには私が召喚した障壁を破壊して頂きます。もちろん"魔術"であればどんな手を使っても構いません〜。障壁は全部で6枚用意致します。障壁の強度レベルは左から下級魔術師Ⅲ 下級魔術師Ⅱ 下級魔術師Ⅰ 中級魔術師Ⅲ 中級魔術師Ⅱ 中級魔術師Ⅰ となっていますぅ」


すっと片手を手前に払う動作をしただけで、ティア教員の前には人間サイズの長方形の障壁が6枚召喚された。

無詠唱で尚且つ魔力を媒介させるための道具を使用せずに魔術を発動させたことにも驚いたが――


さっきまで気が抜けていた空気が一変、生徒たちはティア教員に釘付けになっていた。


――召喚された障壁は、どれも綺麗に形が整っている。つまり放出された魔力を高レベルでコントロール出来ている。かなり洗練された魔術師であることは間違いない。

そして、中級魔術師Ⅰレベルの障壁だけでなく、下級魔術師Ⅲ〜中級魔術師Ⅰの障壁を6枚一気に召喚出来るということは。


……上級魔術師。


今私の目の前にいる人は、魔術師の中でも特に選ばれた人しかなれないと言われている上級魔術師だ。


上級魔術師を見たのはあの時以来だ……。そう、私の両親が亡くなったあの時……。


「破壊できた障壁のレベルがそのまま皆様の魔術師レベルになります〜。あ……ちなみに言っておきますけどぉ、小細工なんてしていませんので〜。これも一応ルールですので、その証拠を皆様にお見せいたしますぅ」


そう言ってティア教員は自らが作り出した障壁の前に立って詠唱を開始する。


やはりと言うべきか、道具は使わず腕をすっと伸ばしただけ。


瞬間、空気が張り詰める。まるで刃物の先端で突つかれてるような痛みが頬に走る。


bcan(ヴェン)(弾)」


圧縮された空気が弾けるように弾となり中級魔術師Ⅰレベルの障壁へ向けて発射される。


ガラスが割れるような音を立てて障壁は粉々に崩れ落ちた。


「……うん。ということで〜、今並んで頂いてる順番で1人ずつ始めていきましょうねぇ。……あと出来れば早く終わらせたいのでお1人1分以内でお願いいたしますぅ〜」


そして説明を終えたティア教員は何事も無かったかのようにまた障壁を作り出し、生徒たちの誘導を始めた。


生徒たちが自身の力を試せると浮き足立ってる中、ヘレナは胃の底が冷えるような感覚に襲われていた。


じわりと冷たい汗を流す。


ヘレナは、

上位魔術師の実力を目の当たりにして、あの時の光景がフラッシュバックしてしまったのだ。


なんでよりによって、今朝見た夢の内容があれだったのか……。


「わた……わたしは……」



――大丈夫よヘレナ! さぁ早く――


最後に感じた母の温もり。


―― ヘレナ、覚えておいてくれ。下級魔導師の一族と笑われても、最後まで魔獣の猛手に立ち向かった。そんな勇敢な姿を――


最後に見た父の姿。


嫌だ……嫌だ……嫌だ……嫌だ……!!


意識を持っていかれそうになり、足を強く踏み込む。


「わたしは……強くなったんだ……」


この日のために、ずっとずっと練習を続けたんだ。

何千何万と基本動作を繰り返して……。

足りない魔力を補うために技術を磨き続けた。

下級魔術師の血筋だからって、私は諦めなかった。


大丈夫。大丈夫。


頭の中に流れてきた過去の記憶を振り払うように首を横に大きく振る。


しかしその言葉とは裏腹に手に持っていた杖を落としてしまった。


拾おうとしても上手く掴めない。



なんで、手、震えてるんだろう、私。



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