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第3号 朝日とのはじまり3

ステップ6 先生とカケル


真司くん入団試合ー


一回の裏、ピッチャーは高杉翔たかすぎかける

バッターは、真司くん。


高杉には、真司くんに関する情報は何もない。

なので、真っ向勝負。

真司くんがこれから投手になるなら、なおさらだ。


綺麗なフォームから、モッチーの構えるミット目がけて投げる。


キーン!


ファール!!


高杉は驚いていた。

(僕のストレート、速いほうなんだけどな)

チラッと真司くんをみると、何やら楽しそうに見える。


深呼吸をする高杉。

気を取り直し、2球目を投げる‥


キーン!


「打たれた?!」


しかし、セカンドライナー‥

アウト。


高杉はアウトにしたが、負けた気分だった。

その影響か、続く2番打者にフォワボール、3番にはヒットを許し、早くも4番打者を迎えていた。






‥‥今日の様に、よく晴れたある日のことだった。


「高杉くんを預かってほしい?」

朝日は驚いた。


他チームの監督直々に話があると言われて聞いてみれば、自分の選手を預かってほしいとは。


「お恥ずかしい話ですが、やはりお互い甘えがある、いえ、出てしまうのです」

朝日は思った。

フラットイーグル監督、高杉理たかすぎおさむは、息子に野球を楽しんでほしいのだと。


「失礼になるかもしれませんが一ついいですか?」

「ええ、構いません!どうぞ」


「息子さんは、球が速いですしキレもある‥エース候補ではないんですか?それでも、わたしに預けたいと?」



「朝日さん、息子は、翔は、野球の厳しさを理解してないんですよ‥そして、監督の息子‥が、翔をダメにするんですよ」

少し間を置いて話し出す朝日。

「良くも悪くも監督の息子という看板が邪魔なんですね?職人の世界みたいですね」


「職人ですか‥職人に限らず、仕事の世界でも確かにありますね。社長の‥とか、親方の‥とか‥周りから甘やかされ、ちやほやされたりとか‥」高杉は自分にいい聞かせるように話しているようだった。

「そうですね。それで高杉さん。本当にわたしでいいんですか?」


「はい。悔しいですが、朝日さん以外にいないというか、間多理団しかないというか‥翔も、朝日さんの指導なら受けてみたいと言ってまして‥」


深呼吸して話し出す朝日。

「高杉さん、間多理団うちが送り迎え禁止なのはご存じですか?」


高杉は驚いていた。

「そうなんですか?そこまでは知らなかったです。何か理由でもあるんですか?」


少し面倒くさいなぁ‥と思いながら話し出す朝日。


「子供たちに、自分の意思で野球に来てほしいからです。送り迎えがどうのこうのいうつもりはないですし、否定しているわけでも、肯定しているわけでもありません。わたしのチームでやる以上、わたしの定めたルールに従って野球をしてほしいんです」


高杉は圧倒されると同時に、反省させられた。

「朝日さんは、野球だけではないんですね‥だから人気あるわけだ‥」


高杉の言葉に少しびっくりしてる自分と照れている自分がいた。


「人は何かにぶつかった時に、どう乗り越えるのか‥大人が何でもかんでも手出しすれば、それはキレイなゆで卵で、見た目は綺麗でしょうが、自分で苦労して剥いて食べたものほどの感動も経験も入りません」


まるでささやくように朝日は言った。


「ゆで卵ですか!朝日さんは面白い人ですね!」高杉が笑う。





真司くん入団試合ー


高杉対4番小野との対決になる。

ワンアウト一、ニ塁。


心臓の鼓動が早まるのを感じる。


‥「いい?高杉くん。あなたのストレートは確かに速いほうだわ。でも、ただ速い球を、キレよくなげてもダメなのはわかるかな?」

高杉は、がむしゃらに速い球を追い求めていた。

速ければ打てない‥と考えていたからだ。


朝日に教わったのは、ストレートを使い分ける‥だ。


それを今思い出す高杉。

4番小野に対して、ランナーがいるも真っ向勝負のストレート。

外角低めに決まる。


「いい?ストレートもスピードを変えて投げると、バリエーション増えるんだよ」と朝日に言われて、高杉は胸がワクワクしたのを覚えている。


2球目も外角ストレート。

小野がくらいつく。

引っ張ってファール。


キャッチャーのモッチーも感心する。

(2球目はスピード抜いたな‥)



例えば、1球目が100とした場合、2球目は75の力で投げたような感じだ。


当然バッター小野には、1球目のストレートのイメージがある。

そのイメージでバットを振れば、タイミングが早くなりファールになる可能性が増すのだ。

3球目はインハイに際どいボール球を100の力で投げたが、小野がファールにした。


朝日は黙ってみている。

(そのままだと、打たれるわよカケルくん)


勝負の4球目‥アウトローにボールが軌跡を描く‥


小野のバットは空を斬る。

高杉は朝日の方をみる。

朝日はサムズアップしてくれた。


(よくあそこで35%のストレート投げれたわね)


高杉は続く5番打者をキャッチャーフライに打ち取りこの回を凌ぐ。



空を見上げる高杉。

「野球‥楽しいや!」






ステップ7 先生と休日


朝日七花の休日は早い。

朝、4時に起きる。

大好きなゲームを1時間くらい遊ぶ。


5時過ぎになると朝食だ。

平日はごはん、週末はパンと決めている。

ご飯を食べながら、ゲーム機(PS4スリム、Pro、PS5)で動画をみる。

大好きなエガちゃんねるをよくみる。


食べ終わるとマッタリ時間が発動。

6:30くらいまでは、ゴロゴロしている。


そこから、雨戸を開け、歯磨きなどを済ませて朝食の食器を食洗器に入れあとは任せる。


出かける予定があれば、その準備。

なければ、ゲームや漫画、アニメや映画を観る。


今回は、出かけないのでお家でマッタリだ。


休日に野球に関しては何もしない。

完全に野球に関しては、オフになるのだ。


お昼は10時過ぎに食べ、夜は食べない。

夜は、ノンアルコールを飲みながら、何かをつまむ感じなのだ。


そんな、朝日のお昼が近くなったころ、LINEの通知が来た。


「え?マジ⁈」

朝日は、すぐ返信し支度する。


朝日の大好きな漫画やアニメのフィギュアが入荷しているらしいのだ。


そう、朝日は、クレーンゲーム、UFOキャッチャーが得意なのだ。


お姉ちゃんが向かいに来てくれ、ゲーセンに向かう2人。


その日は、大好きなキャラを含め沢山取ったようだ。


野球に関わってない人がみたら、まさか朝日が、監督とは思わないだろう。


この、スイッチの切り替えが彼女の強み、良さなのかもしれない。







昼夜兼用の食事を済ませ、ゲーミングデスクで何やらはじめた朝日。


ゲーム部屋と言えそうなその部屋は、フィギュアも飾られている。



キーボードをたたく軽快な音が部屋内に心地よく響いていた。





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