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第24号 助け

ステップ31 支えられる側




バッティングセンター


ホームランを連発している女性がいる。


周りの視線も釘付けだ。


「すごい!10本中、9本ホームラン」

「その前は全部だったよ」

「見た目若いけど、大人の女性だよな」

「あんな細いのになんてスイングするんだ」


もはや、周りの方が盛り上がっている。


バッティングを終え外にでる。

「最後の一球は、このせいだな」

そういいスマホをだす。


そして、誰かにかける。

「‥こら、シズ!なんで電話したんだ?」

「あら?お邪魔だったかしら?」


「最後の一本、ズレちゃったよ」

「まぁ、そうなの?でも、一本だけでしょ?」


「む、シズ、酷いぞ!全部大事なんだ!」

「はい、はい。チーはいつもそうよね!」


「わかってるくせに‥で、何の用だ?」

「そうそう、わたしがでしゃばるつもりはないんだけど、チーに聞いてみたいと思って‥ななちゃんのこと」


「七花か‥今アメリカなんだろ?あたしがどうのこうの言える立場ではないぞ」

「ふふっ、とか言ってイチバン心配しているのは、チーよね」


「し、シズ!‥」

「なぁに?チー」


さっきまでのボーイッシュさが消え、急に女らしさが際立つ千草美羽。

汗のせいだろうか。


「七花には、あたしの全てを教えてあげたし、大丈夫だろう」

「あら?ななちゃんはね!残された側は気にならない?」


「はぁー‥そういうことか‥」

「あら?何もいってないわよ?」

志津香は、千草に見えないとわかっていても笑顔になっていた。


「まあ、心配はしてないかな‥というか大丈夫だろう」

「へぇー、そうなんだぁー、チーがそこまでいうなら、大丈夫なんだろうね!」


「あぁ、大丈夫だ。それくらい七花は今までやってきたからな」

千草がバッティングをしてないので、周りの人たちは、我先にとやっている。

やはり、凄い人がいると、気後れしてしまうのだろう。


そんな中、ベンチに座り志津香と話している千草。


「でも‥」といい千草が言葉を詰まらせる。

「でも?なにかな?」と志津香が聞く。


「いやー、わかってるだろ?シズは」

「えー?夫婦でも恋人でも家族でもないのに、分かるわけないじゃない‥」


志津香の言葉に、少し顔が紅くなる千草。

「た、確かに‥、まあ、さ。大丈夫だけど、精神的な支えとしては、やはりダメージはあると思う」

「なるほどねー」

志津香は、またみえないことをいいことにニヤニヤしている。


「チー」

「ん?」


「ななちゃんのチーム観に行ってみたらどうかしら?」

「‥」


「嫌なの?」

「嫌とかじゃないんだ‥少し悩んでるだけだ」


「そう」何かを察した志津香。

「監督代理で頑張ってる、まどかちゃん‥寂しいだろうなぁ‥」

見えないことをいいことに、ニヤニヤが止まらない志津香。


「‥試合があるんだっけな」

「そうみたいね!こないだも、うちの店に来て瑠璃子さんと話していたわよ」


「師匠〜」

「やめろ!シズ!揶揄からかうな!」



電話している千草を、バッティングセンターにいる人々は、誰と話しているのか、楽しそうだな‥という思いで見守っていた。


千草は、バッティングセンターのスター、アイドル(年齢は気にしないで)となっていた。







練習試合前日ー


自宅の机に向かい、まどかは考えていた。

白を基調とした部屋で、余計な物はない。

机、ベッドに、これまた白を基調としたラグの上にガラス張りの小さなデーブルがあるだけだ。



「先発は‥真司くんかな」

真司ももう5年生だ。


まどかはノートに先発メンバーを書いていく。

その日までの体調、コンディションや当日の体の動きをみて決めるのだが、とりあえず安パイで書いていく。


七花なら、全て当日、自分の目でみて決めるだろう。

「七花さん、すごいや」

まどかはそういいながら、ペンを走らせる。


練習試合とはいえ、手を抜くのは御法度だ。


スタメンを決めるくらいで‥と思うだろう。


そのスタメンが大変なのだ。


「うちには天才は必要ありません」

‥と、七花が以前言ったことがある。


「天才はいらない‥か、みんな可能性のある才能溢れた子たちなんだよ‥って言ってたな」

クスりと笑うまどか。


「ゼロじゃない、みんなに才はあるんだよね」まどかは、七花に言われたことを噛み締めながら言葉にする。


それは、明日の試合に挑む自分に言い聞かせているかのようだった。



まどかは、スマホやタブレット、PCもあるのだが、こと野球に関しては自分で、まずノートに書くスタイルが定着している。



七花の背中を追いかけて、支えてきたまどか。


今度はみんなを引っ張って支えなくてはならない。



「七花さん、カッコいいや!」

そういい、イスの背もたれ寄りかかり背伸びをするまどか。



決戦の日は、刻一刻と近づいてくる。




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