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第23号 支え

ステップ30 支える側



朝日七花からのお願いで、間多理またり団を支えることになった四華よつか五来いつきたち。


しかし、2人は、七花の支えるが普通の支えるとは違うと感じていた。


四華と五来に頼んだ時点で、そうだろうと言えざるを得ない。


選手は、監督代理やチームスタッフがいる。

そして、瑠璃子みたいな主婦で構成されているサポートスタッフもいる。


では、支えるとは何なのか‥。


それは、個々の朝日七花という部分の穴を、存在を支える、ケアして欲しいということである。


自分のチームなのに、自分の都合でアメリカに来て、それが我儘であるのもわかっている。


だけど、やはり大切だからだ。


みんな、どこかで朝日七花を頼っていた。





まどかは次の試合に向けて考えていた。


よく七花が座っていたベンチでだ。

「試合の意味をまず考えないとね‥」


何やらノートをみている。


瑠璃子がそれに気付く。

気になり側に行く。

 

「まどかさん、みんな帰りましたよ?」

瑠璃子の声に、まるで我に帰ったようなリアクションをするまどか。


「る、瑠璃子さん!まだ、帰ってなかったんですか?」

「ええ、これでも、やることあるんですよ?」

瑠璃子は少し自慢げなポーズをとっている。


「ぷっ!」

まどかが笑い出す。


「よかったぁ、いつものまどかさんだ」

瑠璃子に言われまどかは、瑠璃子の方をみる。


「ありがと、瑠璃子さん」

頷く瑠璃子。


「まどかさん、ちょっと一杯いきません?」

「一杯?‥今からですか?」


「ふふ、お酒じゃないですよ?喫茶店です」

「あ、そ、そうですよね‥いきます!」



2人は喫茶店に向かった。



志津香しずかさんが優しく迎えてくれる。


相変わらず、全てが大人の女性と言わざる得ないほどだ。


「いらっしゃい‥あら?珍しい組み合わせね」

志津香は、優しく微笑む。


「たまにはいいでしょー!」と、瑠璃子は返す。

2人をじっとみる。


「ふふっ」志津香が上品に笑う。


「志津香さん?」瑠璃子が不思議そうに尋ねる。


「あのね、2人とも寂しいんだなーって思ったのよ」

それを聞いて2人とも顔が紅くなる。


「いいのよ、無理しなくて。ここは、そういう場所でもあるから‥」

志津香さんの声が、一声一声が体に染み渡る。


大きく深呼吸をする瑠璃子。

「恥ずかしいけど、七花さんがいないとわたしダメみたい」

そんな瑠璃子の笑顔をみて、まどかも思った。


「わたしもそういうことなんだ‥」


そんな2人を暖かく見守る志津香。


「そうそう、一つお話ししましょうか!」


2人とも一瞬で志津香の方をみる。



「ある1人の少女いたんです」

といい話が始まった。




ある1人の少女がいた。

この子は、ボーイッシュで、クラスでも目立っていた。


女の子なのに、みんなを引っ張っていくような存在だった。

みんなも、その少女に頼っていた。


何もかもだ‥。


それでも、その子は嫌な顔せず、みんなとの関係を楽しんでいた。


ところが、その少女がある間違いをしてしまった。


彼女に頼りきりのクラスメイトたち。


慌ただしくなるクラスメイトたち。


「〇〇さんが?」

「〇〇ちゃんが?」

「本当なの?」


色々な言葉が飛び交ったり、陰でうごめいたりした。


そんな中でも、少女は乱れず自分と向き合っていた。


「失敗は誰でもある。どう向き合うかだけ‥」


人間は完璧じゃないのに、完璧を求めたり期待する。


できる人だと、余計そうだ。


クラスメイトは色々なグループに別れ出す。


反対派、肯定派、中立派、無関心派などだ。


人に任せきりとは、責任がない分、いいたい放題でもある。


その全てを少女は理解していた。


このままではいけないと、みんなの前に立とうとした時、1人のクラスメイトが黒板の方へ向い、教壇の前で止まる。


リーダー的少女に比べ、普段から大人しい子で、あまり喋らない。


そんな子が、今、教壇そこにいる。


「あのー」

普段喋らない子の声だ。

みんな静まり、その子をみる。


「間違いをしたら、悪いことなんですか?みんなは、失敗や間違いをしないの?」


普段から喋らない子だ。

言葉がひとつひとつに、重みと説得力が加わる。


「わたしは、よく間違えるし、失敗もするよ?でも、成功したり、達成したら、すごく嬉しくなるんだ」


クラスがざわつく‥。

肯定的な意見も多くなる。


「頼るのは構わないと思うけど、頼るからこそ、何かあったら力にならなくては、なってあげなきゃダメなんじゃないかな?」


リーダー的少女の方をみるその子。


2人は見つめ合う。

リーダー的少女の頬には涙が流れる。

その子は頷いたあと前を向き、みんなをみる。


「これからは、みんなで藤崎さんをちゃんと支えていきましょう」





‥「す、すごいですね、その子は」と瑠璃子が第一声を発した。


「勇気がありますね」まどかも続く。


志津香は優しく微笑む。

「リーダー的少女は気付いてなかったのかもしれないけど、その子が影から支えてくれてたのかもしれないわね」


「リーダー的少女は、大変そうでしたもんね」瑠璃子は素直な気持ちを述べた。


「なんでもできて、なんでもやれる‥だからといって、一人で全てが出来るわけでもないのにね‥そう思っていたのかも‥瑠璃子さんとまどかちゃんも、そうなってはダメよ?」

そう言って、優しい笑顔を残して志津香はカウンターに戻っていった。



「ん?」

「え?」


瑠璃子とまどかは顔を合わせる。


「もしかして、さっきの話‥」

「志津香さんのこと‥かしらね?」



2人は、志津香が去っていったカウンターの方に視線をおくる。



「ぜんぜん、そうには見えない」

「はい、志津香さんは、大人のいい女性にしかみえません」



「志津香さん‥」瑠璃子は、ずーっと、視線をカウンターに向けていた。



志津香は美しい所作で作業をしている。

仕事をしながら、手は休まず志津香はポツリという。


「千草、今なにやってるのかしらね」

思い出し笑いも美しい志津香の周りの空気さえ、色づき踊っているようだった。




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