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第16号 中学2年

ステップ24 時の人



朝日七花は不思議な選手だった。

勝っても負けても、野球に対する姿勢は変わらない。

勝っては満足せず、負けてはテンションが上がる。


そして、なにより野球を『楽しんで』いた。



中学2年の時‥


「お願い!ななか!」

廊下を歩いていたら、急に目の前に現れて頭を下げられた。


「顔を上げてよ、みき」

新城しんじょう美姫みき、七花の親友で、ソフト部のエースだ。


「緊急事態かな?」七花は、美姫より先に理由を言った。


「ひとり、怪我しちゃって‥それで、それで‥」

そんな美姫を、そっとハグする七花。


「大丈夫だよ、わたしがでるから」

「あ、ありがとー七花」


七花の中学は、女子ソフトボール部がなかった。

1年生の時に、美姫を中心に作りここまでやってきた。

七花は、女子野球部がないため、地元の草野球チームに入っていた。


「わたし、基本夕方は暇だからね」

と七花は言ってるが、それは部活に入ってないからね!っという意味で、実際は、練習や助っ人に忙しい。


では、なぜ女子野球部を作らなかったか?

それは、親友の美姫のためでもある。

ソフトと野球で人数を奪い合い、結局どちらも部としては存続できないとなると、本末転倒である。


美姫も、七花が野球部を作るものと思っていたから驚いた。

それと同時に、七花の優しさに包まれ溶けるようだった。


とにかく、七花が助っ人で出てくれるので安心した。

しかし、その安心も束の間のものになる。


ソフトの大会で活躍し、七花が注目を浴びた。

まあ、わかっていたことだが、今回は更に注目を浴びてしまったのだ。


初戦‥4打数4安打、3本塁打。

左で2本、右で1本である。


しかも、最後は投手として最後の1イニングを投げ三者三振。



七花は思った‥(やってしまった!‥これは、この大会がんばらないと‥)


この試合により、七花は時の人になる。

様々な人から注目を浴び、声をかけられる。


七花は、それらに対応しながら思っていた。

(みんなすごいな‥)


いやいや、すごいのはあなた、七花なんだとツッコミたくなる感想だ。



2年生が中心の七花のチームは、快進撃を続け、決勝まできた。


「ななか‥」

「ん?どうしたの?みき」


「ありがとね!」

美姫のその言葉に七花は首を横に振る。

「わたしこそ、ありがとだよ!」


そう言って、拳と拳をちょんと合わせグラウンドに向かう1番と17番。


決勝戦が始まる‥。



試合前ー

「ねぇ、みき、お願いがあるの」

「どしたの?ななか」


「1番じゃなきゃダメ?」‥とめずらしく七花が聞く。

「先生が、わたしを信頼して任せてくれて、考えた打順だよ?」

「わかってるけど‥なんか申し訳なくて‥」


美姫は、七花の頭に軽くチョップをする。

「みきぃ⁈」

「ななか!わたしたちがどれだけ感謝しているかわかる?信頼しているかわかる?」

美姫の顔をみて、真剣なのが伝わってくる。


「ホント、恥ずかしいけど、七花でアドバンテージ取れるなら取りたいんだよ!うちらの我儘だってのもわかってるもん‥」

チョップした手が頭の上で震えている。


「みき‥」七花は、その手を両手で包むように触る。

「わたし、楽しいよ!でも、どこかみんなのことを気にしちゃって‥。だって、ここまでがんばってきたのは、みきをはじめ、みんなだから‥」

「ななか‥」


七花の手を払い、またチョップする美姫。

「いたいー!」

「ななか!正規に部に所属しているかいないかは関係ない!いつも、いつも、みんなを助けてくれてたじゃない‥」

美姫のチョップの手がまた震えている。

そっと、優しくまた包む七花。

「わかった‥それと、ありがと」



美姫が言う通り、七花はソフト部のみんなに色々教えたりアドバイスをしていた。

今思えば、七花の監督としての才は、ここで加速していたのかもしれない。



リトルリーグで有名だった少女は、中学では、ソフトで有名になってしまった。


幼い時の自分が知っている子がいるだろうか?

七花は、注目を浴びることに不安と、少しの期待を抱いていた。


「あの子、あの朝日か?」

「リトルリーグで凄かったあの子か?」


など声が聞こえるが、七花は気にしない。

むしろ、知り合いがいないか気にしていた。



初戦からスタンドで七花をみている人がいた。


七花たちの試合を、いや、七花を見ていたといっていいだろう。



小次こつぎ中学のかわいい制服を着ている。

この中学は、制服がかわいいので有名なので、ある意味目立つ。


「こつ中のあの人、いつも武蔵の試合みてるよね?」

「また、いるね!」


‥と、周りから囁かれるほどだ。


胸くらいまである長い髪を左右で肩あたりで束ねている。

メガネをかけているが、それがまた女らしさをUPしている。

スタイルもよく、出るところはでていてメリハリのある体型だ。

ミニスカートから覗く脚もスラリとしていて綺麗なラインを引いている。


そんな女の子が小次中の制服を着ていれば、目立って仕方ない。


一生懸命メモをとる女の子。

「あっ、お姉ちゃんいた!」

小学生くらいの女の子が近付く。

「よくわかったね!まどか」

まどかは、姉の横にちょこんと座る。

「お姉ちゃんは、すぐわかるよ?」

そんなまどかの頭を撫でる姉。

「お姉ちゃん、メガネしてる!」まどかは興味津々だ。

「あっ、これ?伊達メガネよ、似合う?」

「似合うー!まどかもメガネしたい!いい?」

メガネをまどかに渡す姉。

まどかがメガネをかける。


「ちょっと大きいけど、似合うわよ!まどか」

「やったー!お姉ちゃんみたいになれてうれしいー!」


まどかと姉は、満面の笑みで満たされている。




まどかの姉、門倉ほのか‥中学2年で小次中で異例のデータ分析を中心に活躍している女の子だ。

今回は、野球部のお願いで収集解析を行なっている。


(また、朝日さんをみれるんなんて‥)



門倉ほのかは、リトルリーグの七花を知る人であり、ライバルでもあり、友でもあった。




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