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第14号 天才とか凡人とか

ステップ22 天才と凡人は‥


まどかのホームランに、みな見惚れていた。


まどかホームイン。

ベンチに戻るまどか。

「みんなー!やったよー!1点、1点返したよ!あと5点だー!」


みんなとハイタッチしながら、自分の席に戻るまどか。

チームの雰囲気が、ガラリとかわる。




「す、すごい‥」瑠璃子は思わず立ってしまったのだが、まだそのままだ。


「まあ、まどかですから‥」

「せ、先生!」

「はい?」

「あの!なんで、まどかさんを今回の練習のメンバーに入れたんですか?」

「‥気になります?」

「はい!とっても!」


「瑠璃子さんは欲しがりですね!」

「せ、先生!」

「ふふっ。謝りませんよ!‥あ、理由でしたね‥そうですねー‥」


瑠璃子は朝日をみてボーっとしている。

(先生、かっこいいなぁー、しかも可愛いし‥ステキだわ)

「‥さん」

「瑠璃子さん」

「は、はい!」

「なんか、わたし変なところあります?」

「いえいえ!ロングパーカーもかわいいですし、そこからみえる脚もキレイですし、か‥」

「瑠璃子さん!もう大丈夫ですから!話の続きをしますね」朝日は少し耳が赤くなっていた。

「はい!」


「まどかを今回入れたのは、まず身近で本当の凄さを知ってもらう、みてもらうためです」

「本当の凄さですか?」

「ええ、ネットやテレビや観戦とかではなく、プレイヤーとして間近でみて感じて欲しいんです」


「先生がいるじゃありませんか?」

その言葉に首を横に振る朝日。

「残念ながら、わたしにはその役目ができません」

「そんなことはありませんよ!」

「瑠璃子さん、わたしは過去の人なんですよ」

「過去ですか‥それでもいいと思います!」

「瑠璃子さん、ありがと‥」そう言ってロングパーカーの裾を気にしながらしゃがみ、地面に落書きをはじめる朝日。


「自分でその空気に触れるは、すごいことなんですよ?」朝日がチラッと瑠璃子みる。

(んー!!先生可愛すぎ!!)


「ただ見るより何倍、何十倍、何百倍の力があるんです」

「‥あ!さっき、みんなの目がキラキラしてましたね」


瑠璃子をみたまま頷く朝日。

「そして、天才と凡人を認識してしまうものなんです」

「先生が天才と凡人なんて言うの初めて聞きました」


立ち上がる朝日。

「うーん‥わかりやすいかな?って思って‥ようは自分の今いる場所がわかるってことです」

「今いる場所ですか‥」


「そして、その場所を知ってどうするか?なんです」

「‥先生、もしかして、コレってかなり深いお話しですか?」


「深い‥かな?」ニコリとする朝日。





Aチームは、ワンポイントで投げた西澤に代わり、陵がマウンドに立つ。

セカンドはももかだ。


バッターボックスは清華が右打席に立つ。

構えはまったく力の入ってない、悪く言えばやる気のない構えだ。


そんな清華に、陵はコンパクトスローで淡々と投げ込んでいく。

カウントは2-2。


清華のポーズはかわらない。

ただ、打席の立ち位置はホームベースよりに立っている。


陵の5球目は外角低めに外れてボール。

フルカウント‥。


清華は、ここまで一度も振ってない。

いったん打席を外しヘルメットを直してまた入る。


陵はなんか不思議な感じがした。

(あれ?)

投げた球は、清華のインコース膝下に行く。


「ボール!フォアボール!」


清華は、ゆっくり歩き出す。


投げた陵の頭の上には、ハテナマークが踊っていた。


三塁守備位置にいた千香子はすぐにわかった‥(錯覚ね‥清華ちゃんやるわね)


清華の気力のないような立って肩にバットを乗せているような構え。

ホームベースよりの立ち位置。

フルカウントからの、ヘルメットを直すために打席を外す。

再び打席には立つ時は、ホームベースよりやや離れて立つ。


陵が本職のピッチャーだったら、上手くは行かなかったかもしれない。

しかし、本職ではない。

本職ではないにしろ、投げれることが逆に清華の作戦にハマったといえる。


あれだけインコースをせめて、フルカウントからは、さすがにストライクを取りたい投手心理。


清華の膝元を基準に投げていた陵。

清華がホームベースより離れたことで、錯覚、勘違いしてしまったのだ。


フルカウント時点、清華が打席に入った時点で違和感はあったはず。

千香子はわかっていた。

しかし、これは、今のバッテリーの問題であり、対処しなければいけないこと。

言いたくなる衝動を抑えて守備についていた千香子。


(これも経験‥)自分にいい聞かせるように千香子は心の中で思っていた。


清華は、トコトコ歩き一塁に着くと、チームの方を向き、軽く頭を下げる。


清華も、まどかに続き流れを味方につけた。




「清華ちゃん、面白いですね」瑠璃子がみて感激している。

「清華もももかも、今日はものすごく色々学び吸収するし、自分の今の場所がどこか、何を目指しどこへ行くか‥感じて考えてるだろうなぁ‥」

朝日がみんなを眺めている。

その横顔をみる瑠璃子。


(なんてやさしい顔‥かわいい♪)




5-1、ノーアウトランナー一塁、打順は6番。

南野の番だが、代打が告げられる。

代打、柊夏。

打席に立つ夏。

その瞬間、千香子の頭の中にあるイメージが流れる。

夏がスリーベースヒットを打ち、清華が帰還。

5-2の3点差。

夏の球が抜けた場所は‥


一塁ライン側。

一塁ベースの右横ラインギリギリを抜けてワンバウンドし、ラインを超えファールゾーンへ。


夏は三塁へスライディングで到着。

脚についた砂を払いながら、ベンチへ右手を上げる。


喜ぶBチームのメンバー。


しかし、夏はその喜びと共にエンディングを悟っていた‥。




7番真司くんの代わりにでた一ノ瀬は、スクイズを決め5-3となる。


しかし、美沙、ニノは見事に抑えられた。

なぜなら、キャッチャーが千香子になったからだ。



「千香子ちゃんがキャッチャーやってから、ガラリとかわりましたね!」

瑠璃子は興奮している。

「ちかは変わりました‥本当によくがんばったと思います」

朝日の目が潤いに包まれていく。


「ピッチャーだけでなく、みんなを引っ張っている。わたしは、そこまで要求してなかったんですが、ちかは違いました‥ホント努力の天才と言う言葉が当てはまるかもしれません」

「先生が天才と認めるなんて‥」


「瑠璃子さん、わたしは天才が嫌いなわけではないですよ‥ただ、天才という言葉で片付けてしまう世の中がキライなんです」

そう言っている朝日を黙って見守る瑠璃子。

(ああ、この人も天才と言われていた側の人間だったから‥)


「ちかは、決して天才タイプではありません。だけど、努力は惜しまなかった。真司くんもそうですけどね!(そういい瑠璃子の方を向いてニコリとする)野球に関しては凡人だったり、並の人だったりかもしれなくても、すべての人に、伸び代はあるんですよ?」


そういい首を傾ける朝日。

瑠璃子は固まっていた。


(わたしが男だったら、ハグして告白しちゃうわ!)


ひとりで何やら騒いでいる瑠璃子みて、クスっと口元に手を当てて笑う朝日がそこにはいた‥。




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