Chapter4:とある人形遣いの恋物語(13)
ジリリリリ……
突然玄関の呼び鈴が鳴り、イヴはびくりと飛び上がった。
時計を見ると午後4時10分前。家族はそれぞれの用事で家を空けていて、誰も居ない。
――どうしよう。出たくない。今日は、誰にも会いたくない。ううん、もうこの先、誰にも会いたくない。このまま消えてなくなってしまいたい。
イヴは膝を抱え、じっとしていた。
しかし、しばらく待っても呼び鈴は鳴り止まないので、イヴは仕方なく玄関へ向かった。
そこで待っていたのは、丈夫そうな皮のジャケットを着た背の高い女性と、黒いコートを着た男性だった。
「初めまして。イヴリーン・ウォルターさんですね。突然お伺いして申し訳ございません。私はアヴェンジャー社のキールと申します。こちらは同じく、ネルスターです。」
イヴの予想した通り、二人はアヴェンジャー社の人間で、依頼が無事に終了したことと、その件に関することで、イヴにポールの家まで出向いて欲しいと言うのだった。
「ウォルターさん、あなたに、ポール・リンクスさんに会っていただきたいんです。」
「ポールに……?」
イヴはどういうことだろうと思って聞き返した。
「彼に、会ったんですか?彼は、なんて?私のしたこと、恨んでいるでしょうね」
イヴは全てを諦めたような声で言った。
しかしアヴェンジャーの女性は静かに首を振った。
「恨んでは、いないと思います。ともかく私たちと一緒にポールの家へ来てはいただけないでしょうか。」
イヴは戸惑いながら、仕方がないので二人についてポールの家へと向かった。
イヴがポールの家へ行くのは、あの、彼の秘密を暴露された日以来だった。
あの日と同じように、家のもっとも奥の、ポールの寝室に通される。
「うそ……」
イヴは反射的にポールに駆け寄っていた。
ポールはベッドの上に静かに横たえられており、その目は固く閉じられている。
「ポール!」
ポールはイヴが最後に彼を見た時とまったく同じように、穏やかな表情をしていた。でも、イヴがどんなに呼び掛けても、返事は返ってこない。
「そんな、ポール、どうしちゃったの……!死んでしまったの?」
イヴはポールにすがり付くようにして叫んだ。
「死んでしまったんじゃない。……壊れたんです。」
ネルスターが静かに、真実を告げた。
「壊れた……?」
「今までずっと一緒に居て、まったく気が付かなかったんですか?」
「気が付かなかったって……」
まさか。
まさかポールは、