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Chapter3:弱虫ヴィンスの逃亡劇(epilogue)
ほんとなんですってば!
僕が2年と半年も現実逃避して南の島でバカンスしてたとでも思いますか。
信じられないかもしれないけど、そこではすべてが魔法仕掛けなんです。タクシーが、空を飛ぶんですよ。
彼らはきちんとした統治機構とすぐれた文化を持っていて、少し横暴な国家警察が市民の秩序を守り、都市と都市は低空飛行する飛行船で結ばれている。
ほんとに、夢でも見てるみたいでしたよ。
……いやだから、夢じゃないんですってば!
嘘だと思うなら年間50万ドルなんていう破格の報酬を約束する胡散臭い外国法人と雇用契約を結んでみてください。法人名はたしか、『PALLETTE PS.CO.』とか言ったと思います。ただ、無事にこっちの世界に戻ってこられるかどうかは保証できませんが。
え?……そうです、僕は50万ドルに目が眩んだんです。おかげで散々な目に会いましたよ。
それでなんで無事に帰って来られたのかって?
僕は幸運だったんです。彼らと巡り合うことができたので。
覚えておくといい。
彼らの名前は、「アヴェンジャー」と言いました。