表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Avenger  作者: kaluha
Chapter2:鬼退治
22/98

Chapter2:鬼退治(2)

 

 適当な定食屋で昼ごはんを食べてから、再び地主の家を訪れてみた。

 しかし、またも屋敷は留守だった。こんな大きなお屋敷なら、執事さんぐらい居ないのか。

「しかたないわね…。」

 

 私は再び宿へ戻り、主人に話を聞いてみることにした。

「へぇ…あんた、知り合いをたずねて来たって言ったけど、まさか地主さんのことかい。」

 主人は目をまるくした。

「何度尋ねても留守みたいで……。」

「ああ、そりゃ、あいにくさまだな。地主さんなら、一週間ほど前からどこかへ出かけているのか、ずっと姿が見えないみたいだからさ。まぁ、あんな奴、居ない方がせいせいするけどね。……おっと、こりゃ失礼。」

「一週間……?」


 変な話だ、私は部屋に帰り、もう一度資料を見てみた。

 やはり、依頼主はブルースプルスのアノルド・ハーネットに間違いない。

 しかし、依頼が来たのは昨日のことなのだ。

 アノルド・ハーネットは一週間前にこの村から居なくなっている。

 三日前の事件が起こるよりも前のことだ。

 誰かが、ハーネットさんをかたってアヴェンジャーに依頼を出したか、それともハーネットさんは人食い鬼の犠牲になることを恐れて、どこかこの村ではない安全な場所に居て、そこから依頼を出したのか。何かの事情で、警察の手は借りられないから。

 しかし、それにしたって、どうして村人全員が事件を警察に通報しないのだ?

 二人も死人が出ていて、自分たちも同じように身の危険にさらされているというのに。

 

 しかたがないので、もう一度村中を歩いて聞き込みを行うことにした。

 小さな村だから、聞き込みをしながらでも、一周回るのに半日で足りるだろう。



 地主さんの家族構成は分かった。

 妻は一年ほど前に亡くなっていて、一人息子と二人で暮らしているらしい。その息子さんも今は、この村にいないらしかった。

 しかしどうも地主さん、そうとう性根の曲がった人物だったらしい。まさに金の亡者。

 彼の周りでは、金銭トラブルが絶えなかったそうだ。騙したり脅したり。金を返せない者には容赦なかった。

 どの人に聞いても、地主さんのことを好かないと言う。

 

 人食い鬼の話になると、人々は決められたように口を閉ざす。

 そもそも、そんな事件は知らない、と言う。

 被害者の名前すら資料に書かれていなかったため、遺族に会うこともできなかった。

 

 余計なことはしないでいいから、鬼退治だけをやってくれ、と依頼書にも、村の人々にも言われているような気がしてならなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ