Chapter1:プロナの大迷宮(11)
白い光がやんで、急に辺りがしんとした。
「ここは……」
もとの図書室だった。
そばに横たわるロン。傍らにティナ。そして、ミカヤと呼ばれた黒髪の男。
「ネルとシエナがいない!」
私はすごく嫌な予感がして後ろを振り返った。
真っ黒な壁はただ沈黙している。私は必死でその壁を触った。ここに、地下へ転送される回路が書かれていたはず。
だが、触っても叩いても、壁は沈黙したままだった。
「どうして!?」
私が壁を叩き続けていると、ロンがふらふらと起き上がり、壁を探る。
「回路が……消えている」
「そんな……ネルとシエナは?なんで一緒に転送されていないの?」
「……シエナは初めから、プロナと運命を共にするつもりだったんだろうか……」
ミカヤが真っ青な顔をして暗い声でつぶやいた。
突然、激しい揺れが襲った。
揺れはますます激しくなり、立っていられなくなる。
「外へ出ましょう!崩れます……!」
私たちは、他にどうすることもできず、必死で図書館の入り口を目指した。
ロンの体を支えるために、私が肩を貸すと、反対側をミカヤが支えてくれた。
石造りの建物がめきめきと異様な音を立てた。バラバラと大量の書物が降ってくる。
「ライトフォーリッジの図書が崩れる……?考えられん。この図書にはマジックのプロテクトがされているんだぞ……?」
ロンがうめくように言った。
ネルスターのことが心配で泣きそうだった。
何を考えてるのよアイツは。任務の為に命投げ出すなんて、馬鹿げてる!