2話:初めての戦闘
「ここは、外か。ワープ機能って便利だな。でも二日に一回しか使えないのか。」
「ワタシノ、スベテノ、ノウリョクハ、シンカ、デキル。」
「つまりワープ機能もその片言の会話も進化できるってことか?」
「ハイ。アト、カタコトハ、ヨケイナ、オセワダ。」
このペンダントを育成するのも結構大事になりそうだ。それにしても、いつものことながらここどこ?
《機能:地点・時間報告を獲得》
「ココハ、エジプトノ、サファリデス。ゲンザイジコク、ゲンチジカン12:00。」
機能を早速一つ獲得したらしい。今ちょうどお昼か。そして言われてみれば確かに少し草が生えてる砂漠だ。まずはモンスターを狩ってレベルアップしたい。でもモンスターはどこに?
「グルルル…。」
突然聞こえたうなり声。後ろを振り返るとライオンの群れ。どうやらなわばりのど真ん中にいるらしい。
「やばい、どうしよう。俺今はこれでもライオンと同じネコ科なんですけど…。助けてください!スカラベ先生!」
「ヨウヤク、ワタシノヨサガ、ワカッタカ。コレヲナメロ。」
《機能:翻訳キャンデイを獲得》
スカラベ(先生)の羽の部分が開いてなんか小さな玉が出てきた。なめろと言ってたな。飴玉か。とりあえずなめてみる。
「おい、ネコ野郎。誰の許可を得てここに入ってんだゴラア!」
「ボスがいないうちに始末してあげようかあ!?」
めっちゃ物騒なことを考えている。正直どこのチンピラだと思った。チンピラなライオンでチンピライオン。
「こいつ、うちらのことチンピライオンと呼びやがった。」
「それなら牙でわからせてやらないといけないかなあ!?」
いかんいかん。相手も自分の思考がわかってんのかい!戦意は少なくとも俺の1000倍はあるだろう。さっきの(寒い)ギャグでさらに10倍されたはずだ。つまり戦意は10000倍。これがゲームのガチャの排出率ならいいのになあ。
「よし決めた。」
「ボスが来る前に片付けるぞ。」
「骨だけにして猫骨ラーメンだ。」
これはとてもまずい状況だ。もう覚悟を決めて戦うしかないか。まずは木の棒とかを拾って…。あ、ここ砂漠気候だから木ねえじゃん!
「スカラベ先生。今やばいことに気づきました。ここ木がないから当然枝もないわけでして、何か武器になるものありませんか?」
「シタヲミロ。コロガッテル。」
「まさかあ、石で戦えと!?」
石で戦うとはどこのゴブリンだ。でも2~3秒は稼げるだろう。俺は覚悟を決める。
「しょうがない!戦ってやるよ!」
「来やがったか。」
「皆、かかれえ!!」
《機能:戦闘画面を獲得。》
俺はまず1番前のライオンに石を投げる。小さいからおそらくダメージは少ないだろう。あれ?全員の頭上にいきなり緑色のバーが出てきた。石を投げつけたライオンは少し(視力2.0でようやくみえるかな~?ぐらい)バーの長さが減っていた。もしかしてこれは戦闘画面だな!見慣れた風景に5%ほどやる気が出る。
「モットダセヨ。」
言うな!これでも頑張ってるんだ!あと集中させてね。俺は石を投げ続ける。少しづつだがHPが減っている。でも相手のイライラは増えているようだ。
「こやつ、生意気な攻撃しやがって!」
「さっさと思い知らせてやらないと。」
さすがに初めての戦闘でライオンの群れと戦うなんて無茶だったようだ。開始15分でゲームオーバー。俺の最低記録だ。まあ死んでもまた復活するか俺が元居た世界に戻るだけだ……ろうか?
「イエ、シンダラ、ソコデ、オワリデス。リスポーンハ、フカノウデス。」
つまり今死んだら即終了。こうなったら捨て身で攻撃するか…。もっと強い武器があれば…。もっと、強い、武器が………。
《武器:猫手を獲得》
俺の願いは通じた。天は俺を見放してはいなかったのだ!!でもどうやって使うんだろう?何か使える技とか手に入ったかな?
《機能:能力・性能解説を獲得……地点・時間報告と統合され、機能:質疑応答に進化》
「武器:猫手
使える技
「キャットクロー」:爪を出してひっかく攻撃、3回まで連発可能。使用制限時間30秒
「猫パンチ」:手で殴る攻撃、使用制限時間なし。」
また新しい機能が手に入った。どうやら猫としての基本技ができるらしい。とりあえず強そうなやつを使ってみよう。
「くらえ、『キャットクロー』!!」
まず一番前のライオンに1発。ライフゲージが4分の1ほど減った。すごい攻撃力だ。続いて後ろに1発…スカッ。なぜかうまく決まらなかった。もしかして連発って技術的な要素もいる?
「その通りよ。勇者レオ。久しぶりね。」
いきなり後ろから女性の声がした。
評価やアドバイスを書いてほしい!楽しんでくれたこと、次を楽しみにしてくれることを祈ります。
次回:活動報告で発表します