8.ダンジョンへいこう
この幼馴染3人で、冒険者となりそれぞれの技量を上げるための旅に出る、っていうのが大きいあらすじだ。
冒険者登録はすでに済んでおり、この街で支度をしてからダンジョンに向かうところだったようだ。
ここが「フォルテナブル・クエスト」の世界だとしたら、俺も少しは知識がある。
異世界転生者だと話しても、また頭がおかしいと心配されるだろうから、このことは黙っておくことにした。
正直、俺を心配してくれるアリスの存在がいるだけで嬉しい。
俺たちは、この街から一番近い初心者向けのダンジョンを目指すことにした。
何かあってもすぐに引き返せるしな。
なんてったって全員が、レベル1のひよっこ冒険者達の集まりなのだ。
ダンジョンへ行く道すがら、3人で話しながら歩く。
「ねぇねぇ、なんかワクワクしない?
昔は3人でよく冒険者ごっこしてたよね。
それがさぁ・・・・私達3人とも、本当の冒険者になっちゃうなんてね!」
アリスが言う。
かーっ、本当に可愛いな!!
「おいおいアリス、これはごっこなんかじゃない、本当のクエストなんだぞ。
楽しんでる場合じゃないからな」
ロランめ、可愛いアリスの気持ちに水を差すようなこと言うんじゃねーよ!
こいつは俺の敵だからな。
「はぁ~い」
と素直にアリスが返事をする。
うーん、返事まで可愛い!!
隣を歩くアリスをついつい見てしまう。
「なによ~リュカ!
さっきからジロジロこっち見て気持ち悪い!」
バ、バレてる。
「お、おぉ・・・・ゴメン」
気持ち悪いって言われた・・・・ショックだ。
元の世界での暗~い記憶がよみがえりそうになる。
つか、アリスってこんなキャラクターだったかな?
俺の記憶では、もっとおしとやかで女の子らしいキャラだったような・・・??
「リュカ、本当に大丈夫か?
ずいぶん口数も少ないし、俺は心配だぞ」
こいつはイケメンのくせに性格もいいときた。
くっそー、ムカつくぜ!!!
「ロラン、リュカの心配なんかしなくていいわよ!
こうやってしおらしいふりして、私達の同情を誘おうとしてるんじゃない?」
ぐさっ・・・・アリスの口から出る言葉が刺さる。
俺ってホント、嫌われてんのな・・・・。
「お、着いたぞ」
街から歩いて20分ほど経っただろうか。
洞窟の入り口のような物が見えた。
「わぁ、これがダンジョンなのね」
中から冷気と湿った土の匂いが漂ってくる。
全員がなんとなく足を止めた。
初心者向けとはいえ、初めてのダンジョンなのだ。
「よし、行くぞ」
ロランが言う。
「うん・・・・」
アリスが心もとなげに言う。
よし!ここは俺が何か気のきいた一言を言って、アリスを安心させなければ!
「心配するなよ、俺がいるだろ」
最高の決め顔を作って言ってみる。
きっとアリスもこの横顔にほれるに違いない!
しーん。
妙な沈黙と共に、2人が俺を見つめている。
もしかして俺、カッコよすぎた?
照れるぜ・・・・・
アリスがプーッとふきだした。
「あはははっ、やだぁ、何それ~」
ロランは呆れ顔だ。
「お前がそんな調子だと、なおさら心配だよ・・・・」
はぁ!?
俺は赤面する。
「う、うるせーな!
お前たちが緊張してたから、場を和ませようとしたんだよ!
ジョークだ、ジョーク!」
気恥ずかしくなって言い訳する。
おっかしいな、俺、なんか変なこと言った?
俺のおかげで(!)緊張感がなくなったのか、2人はダンジョンへと歩みを進めた。
俺も後に続く。
初心者ダンジョンの部分の記憶がないな・・・・
ここって何のモンスターがいるんだったか・・・・
ま、初心者ダンジョンなんだし、いきなり危なくなったりはしないだろ。




