32.王宮の夜(2)
「さぁ、入って。
ここが私の部屋よ」
イリーナがアリスに部屋に入るようにうながす。
「うわぁ、ステキ・・・・・」
部屋の中はシンプルだが、カーテンやクッション等は女性らしい雰囲気のものが多い。
花が沢山飾ってあるのも印象的だ。
「さぁさぁ、座って!
飲み物は何がいいかな?
私はダージリンのティーロワイヤルが好きなんだけど・・・・
アリスだったらロイヤルミルクティーかな?」
「は、はい・・・・・
お願いします」
さすがのアリスも、まだ遠慮がちだ。
侍女が飲み物を準備し終わると、
「下がっていいわ、ありがとう」
と人払いをした。
「飲んでみて!私おすすめの茶葉で淹れてもらったわ」
勧められて一口飲んでみる。
「うわぁ、おいしい・・・・こんなお茶初めて」
「ふふっ、良かった!
アリスったらずっと硬い顔をしてるんだもの。
せっかくお話したくて呼んだのに・・・・・
取って食べたりしないわよ、私だって傷つくわ」
「えっ!?
ええっと~、そんなつもりはなくてですねっ!
あのぅ・・・・・」
「ふふっ、冗談よ!
困らせるつもりはなかったわ。
ただ・・・・・
あなたと楽しく過ごしたいだけ」
ふと、寂しそうな表情を見せたのを、アリスは見逃さなかった。
「そういうことなら・・・・わかりました!」
「ありがとう!
ねぇねぇ、教えて、あなたはナゼ2人と旅を?
ここに来るまで、どんなことがあったの?」
パッと明るい顔つきになって、イリーナはたずねる。
アリスが一通り事の顛末を話す。
イリーナは興味深そうに聞き入っている。
「なるほど~、そしてあの森で私と出会ったってことね」
ふむふむと頷く。
「よく分かったわ、ありがとう。
今度はねぇ・・・・・
アリス、あなたロランのことが好きなんでしょ?」
「へっ!?」
ボッと一瞬にして頬が赤くなる。
「わぁ~、図星かぁ~」
「なっ、なっ、何でですかぁ~~~!?」
「んん~?女のカン、ってやつ?」
いたずらっぽく笑う。
「恥ずかしいなぁ、もう!
誰にも言わないでくださいね!」
「照れちゃって、アリスったら可愛いんだから~」
イリーナがアリスを抱きしめる。
「わ、わぁ、王女様、そんなこと・・・・・」
「ね、アリス、私のことはイリーナって呼んで。
敬語を使うのも、今はやめて」
また寂しそうな顔。
「う、うん、わかった」
アリスの返事を聞いて、嬉しそうな顔をする。
「ロランって、とっても素敵だものね。
背も高いし、すっごく美男子だし。
アリスの気持ちわかるなぁ」
アリスはドキッとする。
「でも、リュカも素敵じゃない?
彼きっと、アリスのことすごく大切に思っているわよ」
「えぇ?リュカが?
そんなことないで・・・・ないわ!
小さい頃なんか、よくイタズラばっかして怒られてて。
リュカのせいでロランと私まで怒られたこともあったのよ!
もうホントに落ち着きなくて、狩りも乗馬も下手くそで・・・・・」
「ふふふっ、そうなんだ。
でも・・・・・今の彼はどう?」
「今・・・・?
え・・・・今も乗馬は下手だし、狩りだって・・・・・」
ふと思い出す。
そういえば・・・・・
ダンジョンで一緒に大グモを倒したこと。
意外に料理が上手だということ。
森の中で、何かを見せないようにかばってくれたこと。
それから・・・・・
初めてダンジョンに行った日の夜、リュカの言葉に救われたこと。
「ね、心当たりあるんじゃない?」
「ええ~~~?
そ、そんなことないよ!」
そんなこと・・・・・ないよね・・・・・?




