31.王宮の夜
アリスがイリーナと行ってしまったので、俺たちは部屋に戻ることにした。
久しぶりの宿が、まさか王城になるなんてな。
窮屈な衣装を脱いで、寝間着に着替える。
と、先に着替え終わったロランがバルコニーに出ていた。
夜風が気持ちいい。
「いやー、まさかこんな事になるなんてな!
兵士に連行された時はどうなることかと思ったよ」
軽い調子でロランに話しかける。
返事がない・・・・
「ロラン?
どうしたボーっとして。
まだ信じられないのか?」
「リュカ・・・・
俺は・・・・・」
「?」
「あの方のことが気になって仕方ない」
「え・・・・・あの方って、イリーナ王女様のこと?」
「うん・・・・・」
えぇーーー!?
気になるってどういうことだよ・・・・
まさかロラン・・・・
マジかよ・・・・!?
俺が二の句を告げずにいると
「おいおい、お前が何を考えているかわからないけど、そういうんじゃないぞ。
何ていうのかな・・・・・
どんな方なのかなって、すごく興味があって・・・・」
ロランは続ける。
「俺たちの前に初めて現れた時、俺たちを助けてくれた時、あの方は本当に凛としていた。
怪我をなさっているにも関わらず、うなだれた様子も一切なかった。
女性だと知ってなおさら、何と強い方なのだろうと驚いたよ」
「それが王女様だったなんて・・・・・
ドレス姿を見て初めて、ああ本当に高貴な女性だったんだと納得したよ。
こちらが気圧されると感じるほど、品もあってさ」
「それなのに、アリスにもあんなに気さくに声をかけて下さって、気取ったところが全くない。
なんて素晴らしい方なんだろうと、俺は本当に感心しているよ」
いつになく饒舌だ。
こいつの口からこんなに女性の話を聞いたのは、多分初めてな気がする。
もともと容姿がいいからモテていたけど、女の子達・・・・アリスもそうだが、その気持ちに気付いていないのか何なのか・・・・・
浮いた話、というのは一つもなかったはずだ。
「お、おう、そうだな。
会ったばかりだけど、俺も素晴らしい方だと思うよ」
ロランの様子に少しばかり驚きながら返事をする。
「そうだろそうだろ!お前もそう思うだろう!
俺もそう思うんだ!
彼女は本当に素晴らしい人だよな!!」
「お、おう・・・・・」
ロランの勢いに圧倒される。
こりゃー・・・・・・・
脳裏にふとアリスのことがよぎる。
今頃あの王女様と、どんな話をしているのか・・・・・。




