30.王宮での晩餐(2)
「さあさあ、遠慮せずに食べてくれ。
なんたって君たちは、娘の恩人だからな」
「身に余る光栄です、陛下」
「ロランよ、そうかしこまらずとも良い。
そなたの父君は本当に勇敢で素晴らしい騎士だ。
我がエストゥルードの誇りだ。
そなたも、父君の後を継ぐ立派な騎士となるだろう」
「はい・・・・・精進致します」
歯切れの悪い返事だな。
と思いながら俺は2人の会話を聞く。
「イリーナも小さい頃からよく知っておる。
護衛を頼んだこともあるからな」
「ええ、本当に良くして頂きましたわ。
私の憧れでしたのよ」
「ほっほっほ、これ、このように騎士に憧れるなどと言ってな。
とんだじゃじゃ馬な姫で困ったものだ」
「まぁ!じゃじゃ馬だなんて。
お客様の前なのに、お父様ったらひどいわ」
「おやおや、こりゃいかんな。
なんぞ、ついつい楽しくなってしまっての。
こんな若い客人は久しぶりだからのう」
はっはっはっ、と笑う。
ロランのおかげで、実に和やかな雰囲気だ。
俺だけだったら、何を話したらいいか分からなくて困っていただろう。
目の前の豪勢な食事を、俺たちはたらふく堪能した。
公務があるとかで、デザートの前に王は席を立った。
「今宵はゆっくりとしていくと良い。
イリーナや、この後のお客人のおもてなしは頼んだぞ」
「はい、お父様」
王がダイニングを出ていく。
4人だけになった。
「ねぇねぇアリス、そのドレス、気に入ってくれた?」
イリーナが聞く。
「はい、とっても!
こんなに素敵なドレスを着たのは初めてです」
「ホント?良かった!
絶対アリスに似合うと思ってたの。
選んで正解だったわ、本当に可愛らしい」
服を選んだのは、この王女様だったのか。
アリスを可愛くしてくれたのはグッジョブだ。
心の中でイイネを100回くらい押す。
「そんな・・・・
王女様に褒めていただけるなんて、光栄です」
「やだ、お父様もいないんだから、そんなに気を使わないで。
私達きっと、年もそんなに変わらないわ。
そうだ!ねぇアリス、今日は私の部屋に泊まらない?」
「ええっ!?私がですか!?」
「女の子同士なんだもの、いいじゃない」
「え・・・えぇ~、でも~・・・・」
「ね、ね、お願い!
私、王宮で育ったから、同年代の女の子と話したことがあまりないの。
こんなチャンス滅多にないわ!
可愛いあなたの話を、ゼヒ聞かせて頂戴よ」
随分くだけた話しぶりだ。
森で会った時は、男だと勘違いするほど凛としていたのに。
こう見ると、ドレスを纏った姿は実に優雅な王女様だ。
だが話すと、決して飾らない人柄が垣間見える。
「アリス、お受けしたらどうだ?
くれぐれも失礼のないように出来るなら、ではあるが」
ロランが言う。
「ロランがそういうなら・・・・・
でも、本当に私でいいんですか?」
「もちろん!
こんなに可愛らしいあなたが、なぜ彼らと冒険者をしているのか、ゼヒ聞きたいわ!
今までの旅のこともね!
それに・・・・・」
とチラッとロランの方を見た気がした。
「ま、色々とね!
じゃあ決まり!
アリスは今日は私と一緒に過ごしましょ」
と半ば強引に王女様・・・・イリーナは決めてしまった。




