28.王と王女
「礼を言いたくてな」
礼・・・・・?
王が俺たちに・・・・?
「そなたら、森でわしの娘を助けてくれたそうではないか」
娘・・・・?
一体、誰のことだ???
「この者たちで間違いなかろうな?
イリーナ」
もう一人の足音。
「はい、間違いありません」
「うむ、そなたら、顔を上げよ」
王様に言われて、3人で恐る恐る顔を上げる。
そこにいたのは・・・・・
『イコン!?』
さっき森で会った、イコンと名乗るあの冒険者だった。
王座の隣に立っている。
「そういえば、名前を聞いておらなんだな。
そなたら、名は何と申すのだ?」
3人がそれぞれに名乗る。
「ん、ベルセルク?
その方はもしやベルセルク家のせがれか?」
ロランに王が訪ねる。
「はい、不肖ながら・・・・」
「ほっほっほ!そうであったか!
まこと縁とは不思議なものよの。
そなたの父には、この国を護ってもらっておる。
此度は娘まで護ってもらうとはのぅ」
愉快そうに王は話す。
そういえば、ロランの父はこの国の聖騎士だったな。
「今は隣国に行ってもらっておっての、戻ってきたら父君に話そうではないか」
「いえ、恐れ多いことでございます」
ロランは頭を下げる。
「ロラン、リュカ、それにアリス。
我が娘を助けてくれたこと、感謝する。
今日はこの城に泊まるが良い。
ささやかではあるが、この城でそなたらをもてなそう」
そう言って、王とイコン・・・・いや、娘?のイリーナは広間を後にした。
「イコンって・・・・女の子だったの!?」
アリスが驚いた声を上げる。
「そう・・・・みたいだな」
ロランがボーっとした様子でつぶやく。
俺たちは頭の整理がつけられないまま、兵士に案内されて城の一室に通された。
客間であろうその部屋は、小さめのオフィスビルの1フロア分はあろうかという広さだ。
大きなベッドが4つ、ダイニングテーブルや椅子、ドレッサー等もそろっている。
元の世界で言う、ロイヤルスイートルーム?みたいな感じだろうか。
「素敵~~!!!ステキ、ステキ~~~!!」
アリスは興奮して語彙力を失っている。
「私達、ヒルデガルド城に泊まれるのよ!?
どんな高級ホテルよりも贅沢じゃない!?
もう、信じられなーーーーい!」
とにかく嬉しそうだ。
まだボーっとしているロランに話しかける。
「イコンがまさか、王女様だったなんてな。
俺はてっきり男だと思ってたから、びっくりしたよ」
「ああ、本当にな。
しかも今日、ここに泊めてもらえるなんてな・・・・。
俺はまだ色々と信じられないよ」
「はははっ、俺もだよ」
コンコン、部屋をノックする音がする。
「失礼します」と侍女らしき人が入ってきた。
「本日は国王陛下とイリーナ王女様が、お客様方とディナーをご一緒されるそうです。
ご案内しますので、まずはそれぞれ湯あみをなさって下さい。
その後お着替えがございますので、女性の方はドレッサーへいらして下さい。
男性の方はこのお部屋でお仕度をお願い致します。」
そういわれて、それぞれ湯あみに向かった。
なんだか・・・・大げさなことになってきたなぁ。
男2人で着替えをする。
ロランは・・・・
立て襟のブラウスに、金の刺繍の入った白いベスト、ジャケット、折り目の入ったストレートなパンツ。
さすがだ、めちゃくちゃサマになっている。
まさに王子様!って感じの仕上がりだ。
かくいう俺は・・・・
襟にリボンのついたブラウスみたいなものと、深緑色のベスト、ブラウンの短いバルーンパンツみたいなものと、タイツ。
なんつーのか・・・・
そういや元の世界に、こういう芸人いたなぁ・・・・
みたいな仕上がりだ。
誰が選んだんだよ、この服!クソ!
「リュカ、なんか俺、変じゃないか~?
こんなの着たことないから、なんか照れくさいな」
またこいつはこんな事を・・・・
「びっくりするほど、似合ってるよ!
まるで王子様だ」
俺はやけくそになって言う。
「なんだよ、それ。
俺が王子様なワケないだろ~」
はぁ、無自覚なイケメンの発言ほどムカつくものはないな。
土日の更新はお休みします。




