27.王都ヒルデガルド
「うわぁ~~、にぎやかね~!!」
アリスが目をキラキラさせて言う。
「あのガイドさんが言ってたホテルって、どこかな?
私達、森でいくらギルを稼げたかな?」
「あっ、あのお店可愛い~!
ねぇねぇ、ちょっと見ていってもいい??」
「おいおい、少し落ち着けよ。
まずは宿探しが先決だ」
なだめるようにロランが言う。
女の子だなぁ、と思いながら俺は微笑ましくアリスを見つめる。
楽しそうにしているのを見ると、何だかこっちまで嬉しくなってくるんだよな。
恋ってすげーや。
アリスには、ずっとずっと・・・・笑っていて欲しい。
王都というだけあって、本当ににぎわっている。
元の世界で言ったら、ここは渋谷とか六本木とかか??
3人であちこち見ながら歩いていると・・・・
前から鎧を着た兵士たちがやってきた。
あれは・・・・王宮の兵士たちだろうか?
周囲が避けて歩いているので、俺たちも避けようとすると・・・・
その一行が目の前で止まった。
兵士の1人が言う。
「お前たち3人は、これから王宮に来てもらう!
国王陛下がお呼びである」
「は?」「え?」「ん?」
3人とも意味がわからない、という顔でお互いを見る。
「あの・・・・ちょっと仰ってる意味がわからないのですが・・・・」
ロランが恐る恐る聞く。
「これは王命である!
断ることは許されぬ!!」
「は、はぁ・・・・」
有無を言わさぬ兵士の迫力に負ける。
俺たちは、半ば連行されるようにして王宮へ行くはめになった。
周囲の視線が痛い・・・・
これじゃまるで罪人かなんかだ。
「私達、一体どうなるの・・・・?
なんで王様なんかに呼ばれてるのお・・・・?」
アリスが泣きそうな声で言う。
「とりあえず今はしたがうしかなさそうだ・・・・
俺も意味がわかんねーよ」
いや、ホント、どういうこと?
しがないひよっこ冒険者の俺らに、王様が一体何の用なんだ?
王宮の前に着く。
重厚な門が開いて、城の姿が見えた。
これがエストゥルード国王が住まう、ヒルデガルド城か。
兵士に連れられて、大広間のような場所に着いた。
「こちらでしばらく待つように」
そう言って、3人にされた。
「はぁ・・・・一体何なんだ?」
ロランが息を吐く。
「まったくだ。
早いとこ宿に行きたかったのによぉ。
腹も減ったし・・・・」
俺の腹がぐぅ~と音を立てた。
「ねぇねぇ、王宮ってすごいのね・・・・
私、初めて見たわ」
アリスは王宮の中に興味深々のようだ。
長い階段の上に、王座と思われる大きな椅子が置いてある。
建物は立派だが、装飾も少なく中は意外とシンプルだ。
城にありがちな壺や鎧や鏡なんかの調度品は、ほぼ見当たらない。
国民思いで、豪奢なものは好まないエストゥルード王の人柄がうかがえる。
しばらくして兵士の1人が言う。
「国王陛下のお出ましだ。
床に膝をついて座れ。
許可が出るまで、顔を上げるなよ。
くれぐれも粗相のないように」
俺たちの間に急に緊張した空気が流れる。
王座の奥から衣擦れの音と静かな足音がする。
椅子に座る気配。
「エストゥルード国王のお出ましである」
兵士の1人が言った。
「さて・・・・
そなたらを呼んだのは他でもない」
ゴクリと唾を飲み込む。
一体この国の王が俺たちに何の用だ?




