26.森の中で(4)
馬が歩いていった先に・・・・いた、イコンだ。
2頭の馬が心配そうにイコンを囲んでいる。
「君たちは・・・・・」
イコンが驚いた顔で見る。
「この子が、連れてきてくれたんです」
馬の顔をなでながら、アリスが言う。
そういやアリスは乗馬が得意だった。
馬が好きなのだ。
「サラ・・・・。
そうか、助けを呼びにいってくれたんだね」
サラと呼ばれた馬は嬉しそうにイコンのそばに寄る。
「怪我をされたんですね?
大丈夫ですか?」
ロランが聞く。
「ああ、ちょっとモンスターにやられてね。
あと少しで森の出口だっていうのに、1人で馬に乗ることも出来なくて」
イコンが困った顔で言う。
「アリス、ヒールで治してやれないか?」
俺がうながす。
「ちょっと見せて下さい・・・・。
うん、これなら私のヒールで治せそう!」
アリスが呪文を唱える。
白い温かい光で、足に出来ていた傷はみるみる小さくなっていった。
「完全に治ったわけじゃないですけど、馬に乗ることはできると思います。
あとはきちんと休んでもらえば、大丈夫!」
アリスがにこっと笑う。
「驚いた・・・・君はマジシャンか。
君たちは本当に冒険者なんだな」
「ひよっこですけどね」
イコンの連れの山賊のような男が言った言葉を思い出して、皮肉っぽく俺は言う。
「あの時は本当にすまなかった。
だが、彼らもあんなことになってしまって・・・・
行きずりの者たちだったが、助けてやれなくて申し訳なかった」
イコンは暗い顔をする。
行きずり・・・・
やっぱりな。
イコンとパーティーを組んでるにしては、風貌も素行も違いすぎると思ったんだ。
それなのにイコンはこんなに心を痛めている。
人が好いんだろうな。
「さきほど、あと少しで森の出口とおっしゃってましたが・・・・
もしかして出口をご存じなんですか?」
ロランが聞く。
「ああ、ここからまもなくの所だよ。
助けてもらったお礼に、馬を貸そう。
出口まで案内するよ」
「わぁ!良かったぁ~。
私もう、足が棒になっちゃってたの。
今日は歩けないよーって思ってたぁ」
「こらこら・・・・アリス。
すみません・・・・助かります」
2人の様子を見てイコンがふふっと笑いを漏らす。
「君たちは仲が良いんだな。
羨ましいよ。
さ、乗ってくれ」
ロランとアリスが自然に一緒に馬に乗る。
あ、また・・・・・
王子様とお姫様の構図だ。
くそ、俺もいいとこ見せてやるぜ!
手綱を取って馬にまたがる。
ヒヒィイイイン!!
「うわぁあああっ」
俺の乗り方に馬が驚いて、いななく。
「あ、そういえばリュカって乗馬下手だったもんねぇ。
大丈夫?私と乗る?」
アリスに心配された。
ちくしょー、俺がお姫様扱いかよぉ・・・・トホホ。
「大丈夫だっ」
ふんぞり返ってまたバランスを崩しそうになる。
呆れた顔でアリスが見ていた・・・・。
うぅ・・・・情けないぜ。
イコンの案内で、安全に森を抜けることが出来た。
お互い目指すところは王都だが、イコンは先を急ぐと言っていたので、森の出口で別れることにした。
王都に行けばまた会うこともあるかもしれない。
歩いてもそう時間はかからないから、と教えてもらった。
「助けてくれてありがとう。
縁があったらまた会おう」
馬に乗ったイコンが颯爽と言う。
「こちらこそ、危ない所をありがとうございました。
馬まで貸して頂いて、感謝しかないです」
俺たち3人とそれぞれ握手を交わし、イコンは王都へと馬を走らせた。
「さ、俺たちもいくか!」
王都まではあと少しだ。




