23.森の中で
街を出て、森へと向かう。
ダンジョンと違いどこまでも広がっているので、道に迷わないようにするのが肝心だ。
冒険者しか歩かない道の足跡を、地図を頼りに辿って歩く。
森の中なので、出てくるモンスターも様変わりした。
キツネやイタチのような獣型をしたもの、蛾やスズメバチのようなもの、サルのようにすばしっこいヤツ。
様々なものがいる。
小型だがすばしっこいものが多いので、剣士であるロランは苦戦しているようだ。
「この森のモンスターは、剣で倒すには向かなそうだ。
俺が先行するから、宜しく頼むよ」
そう言ってロランの前に出る。
「そうみたいだな」
渋い顔をしてロランが言う。
「会わないことを祈るけど、ボス級のモンスターが出てきた時は頼りにしてるぜ!」
アリスの魔法も抜群に効いているようだ。
楽に進めてありがたいが、なるべく早く森を抜けたい。
2日間の野営は視野にあるが、それ以上は体力的にも場所的にも危険が伴う。
森の中心部を避けるように言われているから、少し遠回りにはなるけど・・・・
モンスターを倒しながら進んでいると、後ろから馬のひづめのような足音がした。
振り向くと、馬に乗った冒険者風の男たちが3人、連れ立ってこちらへ向かってくる。
俺たちの横までくると馬を止めた。
「おお、お前らか、ギルドのねーちゃんが言ってたひよっこ冒険者達ってのは」
先頭で馬を走らせていた、大柄でまっくろな髭をはやした男が言う。
冒険者というよりは、山賊みたいな身なりだ。
ギルドのねーちゃんってのは、あのおしゃべりなガイドのことだろうか。
「全員弱っちそうだなぁ。
しかもこの森をちんたら歩いて行こうってのか。
森の主に食われて死んじまうんじゃねーのかぁ?」
ガハハハハッ、と大声をあげて笑う。
「そうかもしれねぇ、なぁ。
お、そこの女は可愛い顔をしてるじゃねーか!
こいつらなんか置いて、俺たちの馬に乗れよ。
王都までアッという間だぜ」
もう一人の細身でツリ目の男が言う。
どちらも品のないヤツらだな、俺はムッとして睨む。
アリスがさっとロランの陰に身を隠した。
しまった、俺がかばうべきだった。
「おい、やめろ」
もう1人の男が凛とした声で言う。
フードを深くかぶっていて、顔はよく見えない。
「連れが失礼な物言いをして、すまない。
こちらも先を急ぐので、失礼する。
君たちも気を付けて。
さぁ、いくぞ」
連れの2人には似合わない紳士なふるまいだ。
男たちをうながして、3人組は馬で去っていった。
「なぁに、あの人たち!
私達が主に食われるとか失礼なこと言っちゃって。
一緒に行くなんて、頼まれたってゴメンだわ!」
ロランの陰から、アリスがひょこっと顔を出す。
「そうだなぁ、ああいう冒険者もいるんだな」
ロランが呑気に言う。
「1人だけはまともそうだったけどな」
最後の1人を思い浮かべて俺は言う。
あの人がリーダーかな。
日が暮れてきた。
完全に暗くなるまで進んで、その場で野営することにした。
森の真ん中は避けたハズだけど、あたりに洞穴がないかどうかだけは、見ておかなくっちゃな。




