13.焦りとなぐさめ(2)
「すごいね、リュカは」
「え・・・・?」
「すごいよ、すごい・・・・」
涙声になるアリス。
そして俺からパッと顔をそむけてしまった。
泣いているのか・・・・!?
ふり絞れ、俺!!
ここでまた、アリスを笑顔にする一言を!!!
「だっからダンジョンに入る前に言ったろ~!
俺がいるぜ!って。
それをさぁ、アリスもロランも笑いやがってよぉ」
「うん、そうだね・・・・」
暗い声。
うう、俺はまた間違えてしまったのか。
こういう時、選択肢とかないのかよ!?
シナリオゲームみたいにさぁ!?
沈黙が辛い。
せっかくこの世界にきて初めて、アリスの笑顔が見られたってのに。
「私は・・・・・情けない」
アリスが言う。
「一緒に冒険者になろう、なんて言って、今日は2人に守られただけ。
大きな敵を前にして、怖くて何も出来なかった。
私は何の力にもなれなかった。
2人の仲間として・・・・自分が情けない」
そんなことを考えていたのか・・・・。
だからあんなに暗い顔を・・・・。
ただただ恐怖に震えて、ショックを受けていただけじゃなかったんだ。
責任感の強いアリスの考えそうなことだ。
「何言ってんだよ。
何があろうと俺たちは仲間なんだ。
情けないとか、そんなこと言うな。」
俺は続ける。
気持ちが収まらない。
「それにさ、初めてなんて皆同じだよ。
怖いって思った気持ちを、隠せたか隠せなかったか、ただそれだけ。
ロランはどうだか知らないけどな。
あいつは昔から、体力もメンタルもお化けだからよぉ。」
最後はわざとおどけて言う。
ザザァ・・・・二人の間を夜風が通り抜ける。
「っつ・・・・」
強い風に思わず目を閉じる。
次の瞬間
「あっ・・・・・・」
思わず息をのんだ。
うるんだ深緑色の瞳が、まっすぐ俺を見て微笑んでいた。
月の光を反射して、まるで宝石みたいだ。
どんな女神も妖精も、このアリスの笑顔にはかなうまい。
心臓の音が、ドクドクとうるさく響く。
アリスに聞こえてしまうんじゃないかと思う程だ。
こ・・・・これが恋ってやつなのか!?




