EPISODE,67:不安の種と見守るべき存在
入院してから2週間近く経った。
涼太の持ってきてくれた本を読んで暇をつぶすという、なんとも生産性のないような一日をしばらく送り続けているが、大して退屈はしない。
元から忙しくてリラックスできてなかった分を一気に休めてる感じがするのか、意外と退屈はしない。
そんな俺には、ある悩みというか不安の種のようなものがあった。
彩音の様子だ。
先週辺りから美空ちゃんにお願いして見守ってもらっている。
というのも、絵名さんから聞いた『心ここにあらず』という一言。
そういったことはかつて一度もなかった。
そんなわけで、美空ちゃんにお願いしてもらったのだが・・・
「それで?なんでそんなことをしたのかな?」
「「マジですいませんでした」」
今日の午後に彩音が見舞いに来てくれたのだが、美空ちゃんを連れてニコニコしながらキレていたのが良くわかった。
そんでもって明らかにバレてるのが良くわかった・・・。
「えっと・・・、先輩にお願いされまして・・・」
「そうなの?隼斗」
「あー・・・はい。全く以ってそのとおりでございます・・・」
「ふーん、そうなんだ・・・。で?なんでそんなことをしたの?」
あまりにも怒りっぷりに、絶句しながらも説明した。
「ふーんなるほとねぇ」
「まぁ、要は不安になりすぎた結果ってことだね。本当にすいませんでした」
「でもまぁ、そこまで心配してくれるのは嬉しいよ。でもさ──」
「ん?」
そう言いながら彩音は俺の肩に手を置き
「それ以上心配されると、こっちも止まらなくなるからね?」
「っ!?えっ──」
そう言いながらベットの上に乗って俺の上にうつ伏せになりながら優しく抱きしめた。
「もしかして、寂しかったの?」
「うん、だってずっと一緒にいるじゃない?」
「そうだね。なんなら一緒に住んでるし」
「いつの間にかね、隼斗に満たされないと生きていけない感じになっちゃったみたい」
「孤独に生きるのが嫌になったとか?」
「そんな感じ。だからさ、隼斗」
そして彩音は囁いた。
「最後まで、責任とってね?」
それは、まるで俺に何かを期待してるような感じがした。
彼女が何かを言いたげだったのはわかる。
でも、それに触れたら崩壊してしまう。
この淡い関係が崩れてしまう。
そんな恐怖に怯えている感じがした。
「あー、えーっと・・・。先輩がた!では私はこの辺で!」
空気を壊すかのようにそう言って美空ちゃんは逃げた。
「・・・とりあえず、あいつへのご褒美は無しだな」
「ご褒美?」
「なんでもない。こっちの話だよ」
そう言った後、彩音はベットから降りた。
「あのさ、隼斗」
「ん?」
「退院してさ、また私達一緒に暮らすじゃん?」
「そうだね」
「それでなんだけどさ、もしかしたら今後いっぱいスキンシップが増えると思うの。だからさ・・・」
「うん」
「その・・・、なるべく拒絶しないで欲しい。嫌って言わないで欲しい」
「要は彩音からのスキンシップに拒否権は無いと」
「うん、無理言ってるのはわかるけど。どうしても」
「いやまぁ、別に拒絶するつもりはないから、今後も遠慮なく良いよ」
「迷惑かけると思うけど・・・、ありがとね」
「いいってことよ」
そう約束し、彩音は病室をあとにするのであった。
EPISODE67です。
最近は6月に入ったからか暑さが急激に増していろいろ忙しさが増して来た感じがします。
まぁ去年もそんな感じでしたが、さすがに暑さが増すのはもう少し先であって欲しかったです。
ではまた、EPISODE68でお会いしましょう。




