EPISODE,64:後始末は不可能に近い
「・・・んんっ──あれ?ここどこだ?」
俺は白いベットの上に寝かされていた。
覚えていることといえば、親父に脇腹刺されて出血したまま彩音を助けようとして──
「そうだ・・・彩音は──ん?」
起き上がろうとしたとき、ベットの足のほうに、コテンと頭をのせたまま眠っている彼女の姿があった。
「良かった、無事で・・・あっ」
彼女の左手の指は無残にも傷ついていた。
俺はそんな指を見て、深く傷ついた。
自分の守らねばならないものを守れなかったことへの悔しさや、後悔が俺の心の中に渦巻く。
自分の無力さに悲観した。
そんなときだった。
「・・・隼斗?」
眠っていた彩音が目を覚ます。
すると彼女は、俺に飛びつき。
「もう!なんであんな無茶するのよバカ!私本気で心配したんだからね・・・」
「・・・悪い。でも、ああでもしないと結局いい未来にはならなかっただろ?だからこれはある意味仕方のないことなんだよ。だから泣くな・・・」
「うっ・・・うん・・・」
そうはいったが、さすがに泣くか。
そんなことを考えながら、俺は優しく抱きしめた。
脇腹の痛みに耐えながら。
あとから聞いた話だが、どうやらあの日から2週間近く眠りっぱなしだったそうだ。
無理もない話だ、あんな重症負ってたら長く眠るに決まっている。
「医師の話によるとね、あと数か月は入院だって」
「まぁあんなに深い傷負ったらそれぐらい当然か」
「ねぇ、なんかしてほしいこととかある?」
「そうねぇ・・・あ、そういやあのあとあいつどうなったの?」
「逮捕されたよ。法廷とかのもろもろは私のおじさんがやってくれてる」
「そっか・・・、いろいろ迷惑かけたな」
「まぁ、おじさんも『気にするな』って言ってたし。隼斗はゆっくり休んでね」
「ありがとな」
「それで?」
「はい?」
「してほしいことある?」
なんかものすごい威圧を感じる。
理由は簡単だった。
俺が眠っている間、ずっと独りぼっちだったんだ、寂しい気持ちが強かったんだろう。
だったらやることは一つ。
「病室だけどさ、今夜一緒に寝る?」
「そうさせてもらおっかな。・・・ありがとね」
「いいや、むしろ癒しになってるからありがたいよ」
こうして俺たちはその夜、久々の快眠を味わった。
EPISODE64です。
今回はいつもより短めでした、次回あたりは多めに書きあがっているかもしれないので、勘弁願います。
ではまた、EPISODE65でお会いしましょう。




