EPISODE,60:求めるものと揺らぐ思い
あの後、隼斗はすぐに抱きしめるのをやめた。
本当はずっと続けてほしかった気持ちもあったけど、夕食作らないといけなかったからすぐにやめてしまった。
なんだか、お預けにされた気分。
正直ずっと続けて欲しい気持ちが消えなかった。
「はぁ・・・」
「大丈夫?」
「あんまり・・・。さっきのハグずっと続けてほしかったから、なんか・・・やめてほしくなかった」
「あぁなるほどね。・・・今日の夜──」
「やらないと怒るからね?」
「わかってるよ。もとからこっちも続きしようと思ってたから」
「それなら良かった」
最近、隼斗の存在が私の中で大きな存在になってる気がする。
だから隼斗と一緒にいるこの時間がなくなってしまうのが怖い。
隼斗が私の前からいなくなってしまうのが怖い。
考えても、考えても思う。
私は隼斗のことが好きだということを、自覚してしまう。
本当は早く告白して、付き合いたい気持ちがあるけど、本人から拒絶されたら、私は絶対に壊れてしまう。
だからこの思いを伝えるわけにはいかない。
伝えるのが、怖い。
自分が自分じゃなくなりそうで怖い──
「彩音?」
「──えっ?」
ふと我に返ると、隼斗が布団を敷いて寝る準備をしていた。
なんなら私の分まで敷いてくれていた。
「なんか食後からずっとなんか考えてそうだったからそっとしておいたけど、気分どう?」
「うん、大丈夫・・・。って今何時?」
「もう寝る時間かな?22時30分だし」
「あ、ほんとだ」
「本当に大丈夫?」
「うーん・・・、自分でもわかんないかも」
「そっかぁ・・・どうしようか・・・」
「あ、でも」
「またハグして?」
「あ、うん。わかった」
そう言った隼斗のもとに、私は駆け足で向かう。
そして待ちきれなくなった私は、抱きついて甘える。
「えへへっ」
「元気になったなぁ」
「うん、なったよ。ありがと」
「どういたしまして」
そう言って隼斗は、ゴロンとそのまま私ごと横になった。
そして片手で掛け布団を私達に敷いて眠りについた。
ここ数日、彩音の様子がおかしい気がする。
学校ではいつも通りに振る舞っているが、家では──
「は〜や〜と〜」
「おっと・・・、急だね・・・」
この通り、寝る時だけ抱きついて来たのが一転して、家についたら四六時中ハグしてくるようになった。
「今料理中だから、危ないよ」
「うーん、ケガしたら困る・・・じゃあ、ちょっとだけ離れるね」
「うん、ありがと。食事中と料理中以外だったら大丈夫だよ」
「ほんと?ありがと」
そう言って再び俺に抱きついてくる。
抱きつかないでって言ったんだけど・・・、まぁいっか。
そう考えてる時点で、俺はかなり彩音に甘くなったと思う。
心の中では、自分にできる限り支えてやりたいという気持ちが大きくなっている。
「あのさ、隼斗」
「ん?」
「今夜も、お願いしてもいい?」
「ん、わかった」
「やった、ありがと」
そんな最近、彩音からのお願いであることをしている。
「はあぁ・・・。癒やされる・・・」
「それなら良かった」
膝枕である。
最近はこうすることが多くなって、本人も満足そうにしている。
正直、俺もこう癒やされてるのを見ると、ホッとする。
だからある意味感謝かもな、彩音には。
EPISODE60です。
最近はリアルの方で色々と大変な目にあって疲れていたりします。誰だってそうだと思いますけどね・・・。
そういえば、最近初めてコメントもらってある意味続けて良かったなと思い、同時に感謝が込み上げてきました。
ではまた、EPISODE61でお会いしましょう。




